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石川県産のズワイガニは加能ガニ(左)と呼ばれる(わじま米久のカニ料理) |
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能登・穴水の名所、七浦七入の穴水湾の入江にある養殖場でとれるカキは大粒だ |
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魚介類に舌つづみ
日本海に竜の頭部のように突き出した能登半島(石川県)には海と山の名産品が数多くある。特に、冬は“味覚の王様”といわれるカニをはじめとした豊富な魚介類や特産の干し柿、米と水を使った日本酒など…。しかし、そうした食材を生かすのも人の腕次第。熱意と工夫で美味な一品を生み出す、そんな能登の“職人”を訪ねた。
能登の海産物の魅力はやはり新鮮さ。例えば輪島の魚市場では、毎朝6時ころから、前日夕方までにとれた魚介類を競りにかける。そこで競り落とされたものが8時ころから始まる朝市で並ぶ。新鮮な食材を使っての料理は能登の冬の名物だ。
その1つ「能登丼」は最近、金沢出身の料理人、道場六三郎がアドバイザーとなって誕生した。食材や米、水だけでなく、器やはしにも能登産を使い、調理方法も塩分を控えるなど健康面にこだわるのが条件。
そんな能登丼を出すのが能登町の漁港・宇出津(うしつ)にある「紅寿し」。金沢のすし店で修業し28年前に独立した紅屋国男さん(53)は「地元の定置網漁業でとれた魚は鮮度が良くて、硬直しておらずやわらかい。
その魚を海鮮丼のネタにしています」と話す。甘エビ、イカ、アジなどを乗せた丼とコウバコガニのみそ汁がよく合う。
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「今後、ころ柿の伝統を守って、さらに品質を高めるとともに、おいしい食べ方を広めたい」と話す細川宗宏さん・定子さん夫婦 |
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「蔵元が杜氏を務めるので自分の思い通りに酒造りができる」と中島浩司さん・喜久子さん夫婦 |
一方、能登を代表する冬の味覚として知られるのが「ころ(枯露)柿」。県内有数の産地、志賀町にある細川農園では毎年11月ころから柿の皮むきを始め、約1カ月かけて熟成させ、年6〜7万個を生産する。
祖父から始めて3代目の細川宗宏さん(54)は「ころ柿は長雨など気候の変化が味に大きく影響します。うちでは除湿器で湿度を70%以下に保って時間をかけて干すようにしています」と話す。一個一個大事に作ったころ柿はやわらかく、熟成した甘みが口いっぱいに広がる。
職人が生かす旬の地場食材
最近では、中身を凍らせたシャーベット状の新製品を新発売。ころ柿に使う渋柿は最勝と平核無(ひらたねなし)の2種。特に、最勝は全国でも栽培面積が80ヘクタールしかなく、そのほとんどが志賀町で作られる。10個入り2250円など。
また、冬の味覚を肴(さかな)に飲む日本酒も能登の名産。酒造りの技能集団の統率者を杜氏(とうじ)と呼ぶが、能登杜氏は日本四大杜氏に数えられ、何百年もの匠(たくみ)の技を今に伝える。
6軒の蔵元を数える輪島で明治元年創業以来140年の歴史を誇る中島酒造店で杜氏を務めるのが6代目蔵元の中島浩司さん(54)。
1年10カ月前に起きた能登半島地震で酒蔵などが壊滅的な被害を受け、「一時は廃業も考えた」と言う。だが、顧客の後押しなどで昨年から通常通りの酒造りができるようになり、「これからも妥協しないで酒造りを続けます」と意欲を見せる。新酒造りにも熱心で、最近、珍しい桃色の純米にごり酒「花おぼろ」を生み出した。
紅寿し
問い合わせ/TEL : 0768-62-4150
細川農園
問い合わせ/TEL : 0767-36-1727
中島酒造店
問い合わせ/TEL : 0768-22-0018
わじま米久
輪島の魚市場から直送で仕入れた加能ガニ(石川県産ズワイガニ)を焼き、ゆで、しゃぶしゃぶで食べさせるカニ料理が自慢の旅館
TEL:0768-22-4488
かき浜
穴水湾の養殖場で育ったカキを炉端焼きやフライなどで出す民宿。カキのフルコースを3990円で。穴水町では10日(土)〜3月31日(火)まで「かきまつり」を開催。
TEL:0768-52-1988
まいもん処いしり亭
能登に伝わる日本三大魚醤(ぎょしょう)のいしりを使った料理を出す。イワシなどが多い原料にメギスを使い、やわらかな風味。
TEL:0767-52-8900 |
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