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ブーツに袴(はかま)姿で堂々と長崎港を見つめる
「坂本龍馬之像」 |
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江戸末期の安政の開港から150年を迎える2009年、長崎市ではまち歩き観光キャンペーン「長崎さるく幕末編」(4月23日~11月30日)が開催される。「さるく」とは長崎弁で「ぶらぶら歩く」という意味。維新の志士や彼らを支えた異国の商人など多くの群雄が闊歩(かっぽ)した長崎には往時を物語る史跡・資料のほか、稲佐山の夜景や軍艦島など見どころがたくさん。“日本の夜明け”に思いをはせて、ぶらりぶらりとまちを歩いた。
志士らの足跡たどる 来年は「幕末編」
秋の「くんち」や冬のランタンフェスティバルなど季節の行事もさることながら、通年で楽しめるのが長崎のまち歩き。日本初のまち歩き博覧会「長崎さるく博(06年)」が好評を博し、現在は“遊・通・学”という3本柱で実施している「長崎さるく(全45コース)」。歴史や文化、グルメなどをテーマに、自由気ままに散策したり、地元ボランティアガイドと回るツアー、専門家による講座や体験を組み合わせたりと、楽しみ方はいろいろだ。
来年4月の長崎帆船まつりに合わせスタートする“幕末編”は、薩長同盟の仲介や日本初の“貿易商社”「亀山社中」(後の海援隊)の設立に奔走した坂本龍馬、彼らを支えた異国の商人たちにスポットを当てる。現在新コースも開拓中というが、NHK大河ドラマ「龍馬伝」(10年)の放送もあり今後ますます関心が高まりそうだ。
今回は「龍馬が見上げた長崎の空」というさるくコースに挑戦。ハタ(長崎の凧・たこ)揚げの名所・風頭から亀山社中跡、寺町へ抜ける約2キロの道のりで、スタートの風頭公園には坂本龍馬の像が建ち、堂々と長崎港を見つめている。周辺には国内初の商業写真家・上野彦馬の墓や司馬 遼太郎「竜馬がゆく」の文学碑、幕末の貴重な資料や写真を展示する亀山社中資料展示場(土・日・祝日の公開、入館無料)も。道中、「龍馬通り」と呼ばれる細い坂道もあり往時の面影を残す。
風頭公園入口にある小川凧店 |
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かつての炭坑の島として栄えた端島はまるで海上の要塞(ようさい)のようだ |
中島川にかかるアーチ型の眼鏡橋の夜景
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潮風を受け 軍艦島望む
長崎は船上からの眺めも素晴らしい。特に炭鉱の島として栄えた端島(はしま)を間近に見るクルーズはおすすめ。島全体を塀が囲い、鉄筋高層アパートが立ち並ぶ姿が軍艦「土佐」に似ていたことから“軍艦島”と呼ばれるように。
病院や学校、商店のほか、日本初の屋上庭園や海底水道も建設され、「娯楽施設もそろっていて端島に行けば新しい映画が見られた」と話すのはボランティアガイドの小西伸一さん(69)。1974年の閉山以降無人島と化しているが、来年の上陸開始に向けて現在準備中。三菱財閥創業者の岩崎弥太郎や日本の近代化を支えたイギリス人商人のグラバーなど、潮風を受けながら長崎ゆかりの人物に思いをはせてみるのも一興だ。
船上の眺め、360度の夜景
山頂に展望台
「円形劇場」と呼ばれる長崎市は四方八方に山々が連なるすり鉢状の地形からさまざまな眺望が楽しめる。特に標高333メートルの稲佐山は日本三大夜景に数えられる夜景のメッカで、“1000万ドルの夜景”といわれるほど。
山頂の展望台からは360度の景観が望め、夜景評論家の丸々もとおさん(43)は「多くの坂と白い道路照明、家の明かりなど、光と闇のコントラストで犬やハートの形に見えたりします。山のすそ野が見えるたそがれ時もおすすめです」と話す。山頂へ向かうロープウエーや山腹のホテルからの夜景観賞も。
そのほか長崎水辺の森公園や中島川にかかる石橋群、居留地区などもライトアップされ、幻想的な明かりが昼間とは違った長崎の“表情”をのぞかせる。
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