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5年後には50年ぶりに本尊が開帳される山寺。
五大堂やせみ塚など見どころがいっぱい。写真は開山堂 |
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秋は山形でゆったり
秋の行楽シーズンは“ゆったり”の山形へ─。山形県は豊富な海・山の幸や温泉地、歴史深い寺社など“お楽しみ”が県内各地に点在する。俳人松尾芭蕉も訪れた山寺などの寺巡りもよし、ローカル線を乗り継いで温泉巡りをするもよし。都会では味わえないスローな空間を求めて山形を訪ねた。
★千年の時を刻む寺
肥東京駅から山形駅までは山形新幹線で3時間ほど。まずは山寺(立石寺)、若松寺、慈恩寺と千年もの歴史を持つ三寺を回った。山形駅から車で約30分の山寺は、慈覚大師が860(貞観2)年に開山した東北屈指の古刹(こさつ)だ。芭蕉が旅の途中、同所で詠んだ句〈閑さや岩にしみ入る蝉の声〉はあまりにも有名。参道には、悠久の時を感じさせる奇岩や古木に抱かれるように1015段の石段が続く。頂の五大堂から眺める景観は圧巻だ。
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藤島幸雄さん |
山寺観光ガイドの藤島幸雄さん(78)は「頂から見る景色も素晴らしいですが、逆に外側から見る山寺もいいですよ。特に紅葉の時季は絵画のような美しさです」と話す。
「西の出雲(出雲大社)、東の若松」といわれ、縁結びで有名な若松寺はことしで開山1300年を迎える。ことしはまた、12年に1度の観音御開帳の年に当たり、10月31日(金)まで普段見ることのできない秘仏が公開されている。
このほか、国重要文化財の十二神将など75体の仏像を有する慈恩寺(746年開基)も古寺巡りの名所だ。
リピーターも多いという肘折温泉。
夜明けとともに始まる朝市は肘折の名物 |
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★ローカル線で湯巡り
古くからの湯治場など温泉が多いことでも知られる山形。温泉巡りをするなら、ローカル線の旅がおすすめだ。
10月から新しいリゾートトレイン「みのり」が運行開始するJR陸羽東線(宮城・小牛田-山形・新庄)は、沿線に多数の温泉が点在する「奥の細道湯けむりライン」として有名だ。沿線上には東北一の湯量を誇り、すべての宿が源泉掛け流しという赤倉温泉や、義経・弁慶伝説が残る瀬見温泉などがあり、趣の異なる温泉を楽しむことができる。
今回の旅の宿に選んだのは新庄から車で60分の肘折(ひじおり)温泉郷(大蔵村)。がけから転落して肘を折った老僧が同温泉で治したという伝説が「肘折」の名の由来だ。1200年の歴史を持ち、昔ながらの湯治場の雰囲気を今に伝える。温泉はリウマチなどに効くほか、美肌効果も。
つたや肘折ホテル代表取締役の柿崎雄一さん(46)は「こぢんまりした温泉郷のためか、生活習慣や行事などにはるか昔から変わらない伝統がまだ残っています」と同温泉の魅力を語る。
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「あらきそば」の板そば「うす毛利」(800円)と同店の人気メニュー「身欠きにしんの味噌煮」(370円) |
★「そば街道」新そばの時季へ…
米沢牛や庄内浜の海の幸、ラ・フランスなど山形には豊富な味覚があるが、今回は、ちょっと“渋め”にそばを食べることに。同県は地場産の玄ソバに恵まれた、全国でも有数のそばどころ。
県内には、そば店が連なる「そば街道」が17もあり、各地で旅人のおなかを満たしている。その中でも「最上川三難所そば街道」(村山市)はそば街道の“元祖”。この辺りでは、長板と呼ばれる木製の器に太めのそばを盛った「板そば」が一般的という。
老舗「あらきそば」で板そばを頂いた。驚くほどコシの強い太めの手打ちそばは食べ応え十分。器の木の香りがそばの風味を一層引き立て“これぞ、そば”と納得の味がした。
つたや肘折ホテル
TEL:0233-76-2321 |
老舗「あらきそば」 TEL:0237-54-2248 ※水曜日定休 |
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