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共通語で“歩き回る”
熊本・人吉、城下町の旅情
いにしえより歴史を刻み続けてきた南九州−。特に熊本、鹿児島は黎明(れいめい)の闇に包まれた古代から現在まで、さまざまな歴史の舞台となってきた。今回訪れた熊本城、鹿児島市街はそれぞれ戦国期、幕末期の時代の波濤(はとう)を味わえる人気スポット。訪れた者を悠久のロマンに誘ってくれるはず。九州新幹線(2011年全線開業予定)“つばめ”に乗って、車窓に映る風景とともに時代を駆け抜け、“タイムトラベル”を楽しもう。
武将・加藤清正が1607年までに築城した熊本城(熊本市本丸)は、天下三名城の一つとして知られる。西南の役(1877年)では西郷隆盛率いる軍勢を迎え撃ち、近代戦にあっても敵軍を寄せ付けず、清正の築城の才を知らしめた。
案内してくれた語り部は、倉賀野昌宏さん(77)。東京で金融機関に勤めていたが定年を機に熊本に帰郷。以来ボランティアガイド歴10年のベテランだ。
倉賀野さんは熊本城の特徴を「敷地面積約100万平方メートルと日本一級。石垣はさまざまな傾斜が組み合わさった複雑な構造」と説明。現存する石垣を前に、築城の名手・清正のこだわりを紹介する。ただ惜しくも天守閣は西南の役で焼失。現在は鉄筋コンクリートの復元天守だが、その威容は戦国時代をしのばせる。その熊本城に今年4月、天守閣とともに焼失した「本丸御殿」が現出。約50億円をかけ復元され、当時の資料を基に築城当時の工法で建設された。本丸御殿は行政の場、歴代肥後藩主の会見の場として使われてきた。その見どころは、歴代藩主が座した「若松之間」のさらに奥にある「昭君之間」。天井は金箔(きんぱく)地で、三面の壁には「昭君之間」の由来となった中国の故事・王昭君の物語が華麗に描かれている。絵の復元だけで約8000万円が費やされたとか。豊臣秀吉の遺児・秀頼をかくまうために築かれた、という伝承もうなずける出来栄えだ。
熊本城の通年入城者は70万〜100万人だが(昨年は築城400年祭で約120万人)、今年は4月の本丸御殿オープン以来、3カ月間で65万人もの人が入城。倉賀野さんも「オープン当日はまるでラッシュアワーのよう」だったという。入場料大人500円。ボランティアガイドの問い合わせは、「くまもとよかとこ案内人の会」(熊本国際観光コンベンション協会)TEL096・359・1788
本丸御膳
本城・本丸御殿では、熊本藩士が食べていた往時の献立を再現した「本丸御膳」を味わえる。昨年作成された「熊本藩士のレシピ帖」をもとに地元の郷土料理店により提供されるもの。提供時間は午前11時半〜午後2時。5日前までに予約が必要で2人から受け付ける。1食3000円。予約は平日が熊本国際観光コンベンション協会TEL096・359・0363、土日・祝日は「青柳」TEL096・353・0311
NHK大河ドラマ「篤姫」が大人気だ。地元鹿児島には観光客が急増。この好機に鹿児島県は燃えている。「鹿児島はアツアツなの」のキャッチコピーの下、県を挙げ「篤姫」キャンペーンを敢行、ゆかりの地に篤姫を模したキャラクターが史跡を解説する案内板を設けるなど受け入れ態勢は万全だ。
要注目の1つが「石橋記念館」(鹿児島市浜町)。かつては鹿児島市内の甲突川に架けられていたアーチ状の石橋を移設・保存したもの。その印象的な形状から、大河ドラマのロケも行われた。第1話、篤姫の義父・島津斉彬の行列が鹿児島城下に入るシーンなどで登場。入館無料。問い合わせはTEL099・248・6661
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