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こんな愛らしいサルたちを見ていると、つい近づきたくなるが、「互いに存在を無視しあうのが上手な距離感」と、西さんのアドバイス |
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個性豊かな9つの温泉
“ま・み・く・い”と呼ばれる北信五岳。斑尾、妙高、黒姫、戸隠、飯綱という2000メートル級の山々に遠くから見守られた長野県山ノ内町は、大自然の恵みあふれる山里だ。上信越高原国立公園内にある志賀高原を擁し、9つの温泉が並び連なる町の冬の素顔を求めて旅をした。
東京から長野新幹線で約1時間45分、着いた長野からは長野電鉄特急で約45分。終点・湯田中駅は、湯田中渋温泉郷・志賀高原・北志賀高原のどこへ向かうのにも拠点となる。
湯田中渋温泉郷は、「新湯田中」「湯田中」「星川」「穂波」「安代(あんだい)」「渋」「角間(かくま)」「上林」「地獄谷」という9つの温泉の総称だ。志賀高原に源を発する角間川と横湯川、その2つが合流した夜間瀬(よませ)川の3つの流れとともに、いで湯の街がある。
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湯田中渋温泉郷には約110軒の温泉宿があるが、その半数が木造建築。湯田中温泉にもノスタルジーを感じさせる旅館が今なお健在だ |
開湯は1300年前ともいわれ、小林一茶や葛飾北斎、川端康成、林芙美子らにも愛された名湯ぞろい。各温泉場ともに、湯元である「大湯」を中心に発展し、今も住民らが共同管理している。同町観光連盟事務局長の西宗亮さん (61) は「ひとつの地域に6つの大湯があるのは山ノ内だけ」と胸を張る。それぞれに町並みも泉質も異なるので、湯巡りをしながら町歩きをするのがおすすめだ。湯田中温泉では3カ所で入浴できる「湯めぐり温泉手形」(宿泊者用600円)、渋温泉では9つの外湯をめぐり、苦 (九) 労を湯に流すという「厄除け巡浴外湯めぐり」(宿泊者限定、巡浴手ぬぐい代300円) が好評だという。
「三絃のばちで掃きやる霰哉」。
社中の有力な門人がいたこともあり、湯田中をしばしば訪れた一茶。三味線の聞こえる様子を詠んだ句碑 |
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一茶の足跡
湯田中温泉散策の途中に立ち寄りたいのが、大湯のある「かえで通り」。小林一茶が江戸時代の文化・文政期に湯治を兼ねて滞在した宿がある、ゆかりの地。冬の湯田中を詠んだ「雪ちるや わき捨ててある 湯のけぶり」などの句碑が随所に立っている。「一茶の散歩道」や「一茶・井泉水記念俳句資料館湯薫 (とうくん) 亭」などもあるので、俳人一茶の足跡をたどってみるのも一興だ。
サルも楽しむ温泉浴 冬の風物詩
渋温泉の奥、地獄谷温泉では、世界でも珍しい“温泉に入るサル”が見られる「地獄谷野猿公苑」がある。約200匹のニホンザルがそこかしこに当たり前のように歩き、親子で毛づくろいをしたり、子ザル同士がじゃれあったりと、ほほえましい姿を見せてくれる。
温泉に漬かるのは冬ならではの光景で、外国人にも“スノーモンキー”として人気だ。いかにも気持ち良さそうな顔をするのはわたしたち人間と同じで、愛らしく、ときに面白みのある姿を見ていると、思わず笑顔になることだろう。
同苑へは、渋温泉駐車場と地獄谷駐車場を結ぶ「スノーモンキー観にバス」(往復+入園料1500円、乗車日の前日にチケットを購入の上、要予約)が便利。駐車場からは雪道を15分ほど歩くが、サルたちが心を温めてくれるに違いない。
山ノ内観光連盟
問い合わせ/TEL : 0269-33-2138 |
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