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防具も貸してくれるので安心して楽しめるカヌー |
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北の果て、北海道・オホーツク圏は、ダイナミックな自然の魅力を存分に楽しめる土地だ。すべてに勢いのある夏や10年後には見られなくなるという冬の流氷も人気だが、少しずつ静けさを増していく秋のオホーツクもいい。今回は、圏内でもまだあまり知られていない秘湖・チミケップ湖を紹介。また、地面を真っ赤にそめるサンゴ草が珍しい網走・能取 (のとり) 湖にも足をのばしてみよう。
◎森の静寂さに包まれて
秘湖チミケップ湖
オホーツク圏には阿寒湖や摩周湖など湖が多い。まだ観光客の少ないチミケップ湖では、湖と空と森と自分しかいない─、そんなひと時が待っている。
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チミケップホテルは、大人のための雰囲気が漂う |
チミケップ湖へは女満別空港から車で走ること1時間。国道から湖の入り口まで山道を下るとキャンプ場が現れる。車をここに止めて展望台を目指す。携帯電話は圏外だ。
30分ほど原生林の中を登り、チミケップ湖を見下ろすポイントへ。チミケップとは、アイヌ語で「がけを破って水が流れる所」という意味だそうだ。実際に湖を目の当たりにするとアイヌの人の率直さにうなずいた。確かに言葉通りの形。そして「秘境」という言葉がふさわしい静けさと森の深さ。摩周湖などに比べれば小さいが、散歩をするにはかえってこれぐらいがちょうどいい。
キャンプ場に戻り、そこからさらに奥に進むと知る人ぞ知る「チミケップホテル」が見えてくる。ここにはテレビの電波も届かない。夜ともなると森の静けさにすっぽりと包まれる。8室しかない小さなホテルだが、細部までスタッフの目が行き届き居心地がよい。北海道出身の作家・渡辺淳一の小説に出てくるような官能的なムードも漂う。ここはぜひカップルで宿泊したい。宿泊者にはカヌーも貸し出している。
一面真っ赤にそまった能取湖 |
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◎真っ赤なサンゴ草
能取湖
オホーツクには4月から10月までさまざまな種類の花が咲く。ミズバショウ、チューリップ、フジ、ライラック、ユリなど、どれも愛らしいが、少し変わったところではサンゴ草 (アッケシ草) がある。サンゴ草は網走・卯内原町の能取湖周辺に国内最大級の群生地があり、そこで見ることができる。9月上旬ごろからまっ赤に紅葉し、湿地は一面えんじ色に染まる。その上にかかる濃い青空。北海道でもここでしか見ることができない景色だ。
毎年秋には、群生地付近の広場で「サンゴ草まつり」が開催される。広場には地元の食材を使った店が軒をつらね、ホタテやトウモロコシを焼いた香ばしい香りが漂う。汽水湖である能取湖は、秋になるとサケ、北海シマエビなどが水揚げされ、長く厳しい冬を目前に町は活気づく。
◎ゴジラの形 オホーツク圏
最後に豆知識をひとつ。オホーツク圏はよく見るとゴジラの形をしている。尻尾の部分は知床、網走は尻尾の付け根、肩のあたりに紋別空港がある。こう見ると、遠いオホーツク圏が身近に思えてくるのでは?
ゴジラの各部位を回るのも楽しい旅になること請け合いだ。
女満別空港へは東京から1日3便運航している。各旅行会社もお得なプランを用意しているので、ぜひ秋のオホーツク旅行を検討してみてはいかがだろう。
『チミケップホテル』
TEL:0152-77-2121 |
『オホーツク圏観光連盟』
TEL:0152-45-1885 |
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