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次世代型路面電車「ポートラム」 |
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次世代型路面電車 全国にアピール
富山県の県庁所在地・富山市。全国の他都市と同様に人口減少や少子高齢化の進行に加え、中心市街地の空洞化、公共交通機関の衰退などの課題を抱えてきた。そうした中で同市は、次世代型路面電車「ポートラム」(愛称) の導入による公共交通の活性化や、この3月の「賑わい横丁」のオープンなどにより「歩いて暮らせるまちづくり」の形成に乗り出した。また同市岩瀬、八尾 (やつお) の両地区では歴史的町並み修景事業に取り組んでいる。食材に和漢薬を取り入れた「越中薬膳(ぜん)料理」の研究開発も急いでいる。それらにより同市は今後「暮らしたいまち、訪れたいまち 富山」を全国にアピールしていく考えだ。その実現へ向け本格始動を始めた同市を訪ねた。
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民族薬物資料館に展示中の生薬 |
伝統が生んだ薬膳料理
富山市は古くから「薬のまち」として全国的にもその名が知られている。東に雄大な北アルプス・立山連峰を望み、北は蜃気楼 (しんきろう) の出現が見られる富山湾に面し水と緑に恵まれた都市だ。2005年4月、八尾など6市町村が旧富山市と合併、新生「富山市」が誕生した。
次世代型路面電車「ポートラム」は06年5月開業の公設民営で、路線はJR富山駅から岩瀬浜までの延長7.6キロメートル。バリアフリーの低床車両が特徴だ。「歩いて暮らせるまちづくり」では市内電車の環状化計画を検討しているほか、中心市街地の一定地域を市があらかじめ指定し、そこに居住する人に建物購入費や家賃の一定額を補助する「まちなか居住推進事業」などが功を奏し、06年度には約40年ぶりに中心市街地人口が増加に転じている。
薬膳料理は薬の伝統から生まれたユニークな食文化で、その中心的存在が富山薬膳研究会。和洋中の料理長13人で構成し、薬膳の研究・普及に力を注いでいる。
「薬のとやま」を学問研究分野で支えるのは富山大学和漢医薬学総合研究所民族薬物研究センター「民族薬物資料館」(館長・小松かつ子薬学博士) だ。世界の諸民族の伝統薬物を収集、保存、展示。それらの学術情報を収録したデータベースを構築、インターネットを通して公開している。資料は生薬標本 (整理済み2万5000点) 、植物押し葉標本 (同3万3000点) 、生薬製剤 (約200点)ほか。
港町の町並み再生進む
「ポートラム」の終着駅の岩瀬地区は江戸時代に北前船が寄航し、栄えた港町で、5年ほど前から町並み再生に取り組んでいる。
回船問屋・森家 (国指定文化財) の蔵を酒・そば店、ガラス・陶器の工房など長屋風に改造。大町新川町通り (旧北国街道) にあった電柱の撤去をはじめ、関係建物の新築・改修を急いでいる。しかし「町並み再生は観光地化だけにあるのではない」と再生事業の中心的存在の桝田酒造・桝田隆一郎社長は熱く語る。
町並み再生の岩瀬地区 |
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観光客を陶酔させる「越中八尾おはら風の盆」の舞 |
八尾はJR富山駅から南西約10キロに位置する。哀愁を帯びた胡弓 (こきゅう) 、三味線などの音色がまちを包む「越中八尾おわら風の盆」が毎年、9月1日から3日まで同地区で開かれ、全国から約20万人が訪れる。
同市は現在、八尾地区の伝統的町並みを保存するための修景事業に着手。諏訪町、上新町など4町が対象で、事業は11年度末までを予定している。
『富山市役所企画管理部企画調整課』
TEL:076・443・2010 |
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