|
観光客には手こぎ船で渡す |
|
早春の房総。暖かさに誘われて、早くも菜の花などの花々が咲き乱れる鴨川。観光地であるとともに漁師の町の鴨川は、新鮮な魚介類もおいしい土地柄。都心からも近く、見どころも景勝地や史跡など数多く点在している。鴨川シーワールドもあり、家族連れでのんびり観光するにはうってつけの場所だ。
太海海岸の目の前にぽっかり浮かぶ伝説とロマンの島「仁右衛門島」。昔から島の所有者の平野仁右衛門が1戸だけ居住し代々仁右衛門の名を受け継いでいることから仁右衛門島(にえもんじま)と呼ばれる。面積約3万平方メートルの小島だが個人の所有で居住しているこの島は千葉県で最大だ。
|
平野仁右衛門さん |
「推定ですが、わたしで38代目になります。昔、大津波で系図類が流されてはっきりしたことは分かりませんが、文献などから800年以上前から住んでいたと思われます」と平野仁右衛門さん(85)は話す。
1180(冶承4)年に石橋山の戦に敗れた源頼朝がこの地に逃れた際、ここで仁右衛門に助けられたとの言い伝えがあることから、多くの伝説が残っている。頼朝が一夜身を潜めたという隠れ穴や日蓮が朝日を拝したといわれる神楽岩などの史跡が多くある。
また歌碑や句碑も多く存在する。古くは1840(天保11)年建立の芭蕉塚、ほかに水原秋桜子句碑や富安風生句碑、鈴木真砂女句碑などがあり、文学的香りが十分楽しめる。
菜の花と宿「せせらぎ」 |
|
石垣に囲まれた平野さんの住居は1704(宝永元)年に建て直したものといわれ歴史を感じさせる。「普段の生活はみなさんと変わらないです。ただ病院などに行くときは舟で渡ります。島は夏涼しく冬暖かく四季折々の草木が絶えることなく天気の良い時は最高です。これからも自然を守っていくのがわたしの務めです」と平野さん。島主として多くの人に見てほしいという。
島へは手こぎ舟で渡る。遊歩道を30分ほどで1周できる。
|
岡名陽治さん |
◎おすすめスポット◎
森の宿「せせらぎ」
宿泊はリーズナブルな価格の森の宿「せせらぎ」。自然豊かな山々に囲まれた「せせらぎ」は内浦山県民の森の中にある。緑の木々を背に、菜の花が宿の前に広がっている。
同宿では3月20日(水)まで「春・満喫宿泊プラン」を実施している。県民の森・所長の岡名陽治さん(58)は「この菜の花を見て、食べて、摘み取り体験してもらうプランです。摘み取った菜の花はお土産に、夕食には菜の花のてんぷらをサービスしております」と話す。県民の森は「せせらぎ」のほかに1棟6人定員のログキャビンなどが整備されている。
『手こぎ船』
アクセス:JR太海駅徒歩12分で船乗り場/観覧料(渡船含む):1350円(中・小学生・団体割引あり)/問い合わせ:TEL04-7092-3456 |
『せせらぎ』
プラン料金:1泊2食6400円/アクセス:JR安房小湊駅からタクシーで約7分。
問い合わせ:TEL04-7095-2821 |
|
| |
|