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<湯西川温泉冬景色>
かやぶき屋根の商家や、旅館が静かに立ち並ぶ、湯西川沿いの「平家集落」。この清流が作るそば、手作り豆腐、ゆばなどは絶品だ。 |
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全国でも屈指の温泉宝庫である栃木県。その北西部に位置する湯西川温泉は、平家落人伝れ説が息づく山深い里にある。男鹿川の支流・湯西川沿いにつつましく広がり、隠れ里の趣を色濃く残した温泉街は、一度は訪ねてみたいところだ。冬の楽しみのひとつが「光輝く氷のぼんぼりとかまくら祭」。1月下旬から1カ月間にわたって、幻想的なともしびが秘境の温泉街を包みこむ。
平家落人の伝説残る温泉 露天風呂、足湯、岩盤浴も
◆「道の駅」の温泉で一休み
浅草から約2時間半。野岩鉄道会津鬼怒川線湯西川駅はトンネルの中にある、ちょっと珍しい駅だ。この真上に2006年8月、「道の駅 湯西川・湯の郷湯西川観光センター」がオープンした。駅からの室内通路とエレベーターが設置され、高齢者や車いす利用者でも楽に移動できる。県産材のスギなどをふんだんに使った館内は快適で、バリアフリー設計に。
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<道の駅の温泉>
国道121号線から県道249号線に入ったところにある「道の駅湯西川」。温泉はアルカリ性単純泉。 |
1階には山菜、そば、温泉まんじゅうなど、地元の滋味豊かな味覚を堪能できる食堂・土産物コーナー、観光情報満載のインフォメーションホール、屋外には足湯もある。そして、2階には温泉。湯西川が流れ込む五十湖(いかりこ)の景色を見ながらつかる内湯・露天風呂は至福のひとときだ。また、岩盤浴も併設され、リラックス&リフレッシュができる。
◆秘境の温泉街へ
道の駅から湯西川温泉郷へはバスが出ている。折り重なる山に分け入るように続く1本道を進むこと30分、山あいに温泉街が現れた。平家落人伝説のせいだろうか。ひそやかな雰囲気だ。1185年、壇ノ浦の合戦に敗れた平家は日本各地へと落ち延びたが、追手は厳しく、山の奥へ奥へと逃げ、住み着いた場所のひとつが湯西川や隣の集落・川俣だった。彼らは、追手の目にふれないよう、声高く鳴くニワトリを飼わず、見知らぬ人との会話を好まない閉鎖的な暮らしをしていたといわれる。そんな平家の面影は至る所で見られる。落人の生活を伝える「平家の里」「平家狩人村」「平家落人民俗資料館」。平家の女人たちが使っていたという「平家鏡石」、落人の菩提(ぼだい)寺「慈光寺」、湯西川平家一門の守り神「平家塚」など、ゆかりの場所も多い。
沢口河川敷会場には2000個の、平家集落会場にも数百個のミニかまくらが作られ、雪の中に明かりが浮かびあがる。 |
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秘境を彩る幻想的な祭り
◆ 雪と明かりの祭り
湯西川温泉の冬の風物詩が、ことしで14回目になる「光輝く氷のぼんぼりとかまくら祭」だ。1月27日(土)から2月28日(水)まで、雪と氷とほのかな光が温泉街を温かく彩る。温泉街中央のメーン会場には、高さ3メートルのかまくらが10基と氷のぼんぼりが登場し、その中で「かまくらバーベキュー」(1人1300円、要予約)や温泉街からの出前の食事を楽しめる。また、平家集落と沢口河川敷(2月25日を除く、期間中の土・日に点灯)でもあまたのミニかまくらが並び、光の帯を描き出す。これらのかまくらは、すべて地元住民や子どもたちが作るのだという。かまくらは型枠に、50センチほどのミニかまくらはバケツに雪を詰めて踏み固め、バケツをひっくり返して中をくり抜き、形作る。1月下旬から作り始め、期間中の週末ごとに作り足していく。このかまくら作りには誰でも参加できる(要予約)。
「湯西川では昔から各家でかまくらを作って楽しんでいました。それを地域おこしにしたお祭りですが、雪国ならではの風情を楽しんでいただければ」と、日光市栗山総合支所観光商工係長の山越英明さん(50)。
近くには鬼怒川・川治温泉などもあり、栃木の懐の深さを実感する。秘湯あり大温泉地ありと、その魅力も幅広いので、目的に合わせた選び方が可能だ。祭りの期間中は川治温泉(無料)、鬼怒川温泉(片道2000円)からも湯西川温泉行きのシャトルバスが運行しているのでぜひ利用したい。
『日光市栗山総合支所観光経済課』
お問い合わせ:TEL0288-97-1136 |
『湯西川温泉旅館組合』
お問い合わせ:TEL0288-98-0885 |
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