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  東京版 令和6年10月下旬号  
「利休」役に意欲  俳優・林与一さん

短文を投稿・閲覧できるコミュニケーションサービス「X(旧ツイッター)」を始めるなど気さくな一面を持つ林さん。利休役での出演が決まってからは体調維持に努めている。「昼は毎日7000歩から1万歩程度歩き、夜はニュース番組を見ながら30分間正座し、心身を鍛錬しています」。8月には利休ゆかりの京都・大徳寺を訪ねたという
11月の前進座舞台に初出演
 なぜ豊臣秀吉は、千利休に切腹を命じたのか—。海音寺潮五郎の直木賞受賞作「天正女合戦」を原作に、前進座が新たに描き出した「雪間草(ゆきまそう)—利休の娘お吟—」。同舞台が11月8日から、三越劇場で上演される。劇中で茶人・千利休を演じる林与一さん(82)は、これが前進座初出演。「前進座の舞台に出たいと思っていたのですが、なぜか出演する機会がありませんでした」と話す林さん。「これまで学んできたことの全てをぶつけたら利休像になるのでは、と思っています」。日本史のミステリーの一つ「利休切腹」を“演劇界のレジェンド”が演じる。

 前進座から出演依頼を受けた林さんは「そうか、自分も舞台で利休をやる年になったのか。利休の役は“高い山”だけれど、82歳の私がこの山を越えてみようじゃないか。どれだけの体力があるか分からないけれども、お受けしようと思いました」と心境を語る。

 林さんはその長い役者人生の中で、「人形佐七捕物帳」の佐七、「必殺仕掛人」の西村左内、「『大岡越前』2時間スペシャル」などの時代劇のほか、NHK連続テレビ小説「オードリー」の時代劇スター桃山剣之介や「あさが来た」の主人公あさの祖父など、多彩な役を演じてきた。これまで、自身の座長公演のほか、山田五十鈴、森光子、美空ひばり、藤山直美などの名だたる名女優と夫婦役や恋人役も数多く務めている。

 ただ、大衆演劇の代表的存在だった新派、新国劇、前進座のうち林さんが唯一、舞台に出ていなかったのが前進座だった。「若いころ、山田五十鈴さんや義理の大叔父・長谷川一夫の舞台で(前進座創設者の一人)中村翫右衛門(かんえもん)さんとご一緒したときに、こう聞かれたんです」と、林さんは自身の記憶をたどる。

 「そのときに『前進座に興味はあるか』と言われ、『これまで新派や新国劇には出ているので、後は前進座ですね』と答えたのを覚えています。にもかかわらず、その後もなかなか実現しませんでした」。そんな前進座への思いが今回、利休という“挑戦しがいのある役”を得て実現する。

 物語は、安土桃山時代末期。天下人となった秀吉は、利休を茶頭(茶の湯を司る役)、側近として重用し、厚い信頼を寄せていた。利休の娘・お吟も大坂城内で北政所(秀吉の正室ねね)や大政所(秀吉の母なか)のために工夫を凝らしたもてなしをして、魅了する。そんなお吟の美貌に目を付けていた秀吉だったが、“総合芸術”の茶道をも思い通りに支配しようとして、利休と対立を深めていく。ついに利休は自らの命をかけ秀吉に抵抗しようとするのだが…。

関西から東京へ
 林さんは大阪府出身。曽祖父は初代中村鴈治郎、祖父が二代目林又一郎、父は四代目坂田藤十郎や女優・中村玉緒のいとこという歌舞伎役者の家柄に生まれた。15歳のときに大阪歌舞伎座の「お吟さま」で初舞台を踏む。その後、歌舞伎役者として関西を拠点に活躍したが、19歳になると関西から東京へ活動拠点を移す。「松竹では、当時の大学初任給の約2倍の額をいただいていたんですが、父が戦死していた上に、一人っ子でしたので母を養うためにもっとお金を稼ぐことが必要でした」。東宝に入社してから、64年のNHK大河ドラマ「赤穂浪士」で浪人・堀田隼人を演じ、一躍スターダムにのし上った林さんは、舞台や映画、テレビに出演し大活躍。「1年のうち休みは大みそかと元日だけ。そんな状態が35歳くらいまで続きました」。人気絶頂期の林さんは生意気ぶりを発揮。「徹夜で麻雀をやった後、寝ないで舞台に出たり、監督とけんかして撮影に行かなかったこともあった」と言う。

 そんな林さんにアドバイスしてくれたのが「希代の二枚目俳優」の長谷川一夫だった。「人気は次第に落ちるよ。美貌もやがては衰える。そういうときにどうするかを考え、役者を一生続けられるように今から勉強し、腕を磨いておきなさい」

82歳の「正念場」
 そんな長谷川の助言を胸に俳優人生を歩んで来た林さんだったが、70代になってからは、役者人生の終わりを意識し始める。「そろそろ役者としての自分に終止符を打たなきゃいけないかな」と考え始めていた今年、日本の芸能の保存・向上に寄与した人に与えられる芸能賞「松尾芸能賞 功労賞」を受賞する。「これはまだ、林与一にもう少しやってみろということなんだな」と前向きに受け取った林さんは「もう少し、頑張ってみよう」と思い直すことにした。そんなときに、前進座から利休役での出演依頼が届いたという。

 これまで利休の役は、NHKの時代劇「大友宗麟〜心の王国を求めて」(2004年)で演じたことがあるという林さん。「(秀吉を演じた)片岡鶴太郎さんとのやり取りが楽しかった」と振り返る。そして、「今回、前進座さんで林与一を出してよかったな、という答えが出たらもう一度、お役をいただきたいという野心を持っています」と林さんは言う。「次は、(歌舞伎の知識がなくても)分かりやすい“前進座歌舞伎”に挑戦したい。だから、今回の利休の役は82歳の私にとって正念場なんです」

前進座錦秋公演「雪間草—利休の娘お吟—」
 11月8日(金)〜14日(木)、三越劇場(日本橋三越本店本館6階、地下鉄三越前駅徒歩1分)で。全12公演。

 なお、同劇場のほか11月20日(水)午後3時、たましんRISURUホール(JR立川駅徒歩13分)、21日(木)午後3時、武蔵野市民文化会館(JR三鷹駅徒歩13分)でもそれぞれ上演する。詳細は問い合わせを。

 原作:海音寺潮五郎「天正女合戦」、脚本:朱海青、演出:鈴木龍男、出演:浜名実貴、河原崎國太郎、嵐芳三郎、林与一(特別出演)ほか。

 全席指定。A席8500円、B席5000円、C席3500円(三越劇場はC席なし)。問い合わせは前進座 Tel.0422・49・0300

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