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  東京版 令和6年6月上旬号  
60年で初の主役に  俳優・平泉成さん

「カメラ歴50年」という平泉さんは映画の中でも自然にカメラを構える。カメラと同じく長く続けているのが縦笛のケーナ作り。俳優でケーナ奏者の田中健から教えてもらって以来、作り続けているという。でも、唇や舌の形、息の出し方などが微妙に違うと音が出ないというケーナ。「こんなに難しい楽器はないんじゃないか」
映画「明日を綴る写真館」で、無口な写真家演じる
 「シニアだけでなく若者が見ても楽しんでもらえる作品だと思います」。味わいのある風貌と語り口で親しまれている俳優の平泉成さん(80)は初の主演作「明日を綴る写真館」について、こう話す。7日から全国で上映される同作は平泉さん演じる、寂れた写真館を営む無口なベテラン写真家が、若手カメラマンと紡ぐ心温まる物語だ。ホテルマンから俳優に転じて以来、60年。映画やドラマ、ナレーターなど、幅広く活動してきた平泉さんは「いつの日か主演も…と、コツコツ積み重ねてきました」と喜びつつ、自らの俳優人生を語る。

 「秋山(純)監督からお声掛けをいただいてとてもうれしかった。仏壇に映画の台本をお供えして、『やっとこんな日がきたよ』って両親に手を合わせました」と平泉さん。今回の撮影現場はこれまで長年務めた脇役のときと全く違って、「あらゆることを周りがやってくれて、自分の役だけに集中すればよかった」と話す。

 平泉さん演じる、ある地方都市で写真館を営む鮫島武治は、客との人間関係を大切にする昔かたぎの写真家。ときには、客の抱える悩みや問題解決のため奔走することも—。そんな鮫島が撮影した写真を見て心を奪われたのが、マスコミで華々しく活躍する若手カメラマンの五十嵐太一だった。世間からちやほやされながらも、「自分に足りないもの」に気付き始めた五十嵐は鮫島を訪ね、弟子入りを志願するが…。

 五十嵐役には平泉さんと年の差58歳の佐野晶哉など、気鋭の若手俳優が出演。一方で、平泉さんと長い付き合いの佐藤浩市や田中健、市毛良枝らのベテラン俳優が作品を盛り上げた。原作は、あるた梨沙の同名漫画。
 
  人々の心に寄り添いながら、コツコツと写真を撮り続けてきた鮫島の生きざまは、平泉さんの人生と重なる部分がある。これまで脇役として数多くのドラマや映画に出演してきた60年にも及ぶ俳優人生は、彼の「ある一言」から始まった。

 1944年、現在の愛知県岡崎市に生まれた平泉さんは、岡崎商業高校を卒業後、名古屋市内の著名ホテルに就職、ベルボーイとして働いていた。同期入社でも大学卒はすぐにホテルのフロントに立っている。それに対して自分は…、と将来を思い悩んでいた。そんなある日、寮で相部屋だった人にふと、「俳優になりたい」と漏らす。子どものころ、村祭りで見た芝居や映画が「非常に楽しかった」という記憶から内心、俳優に憧れの気持ちを抱いていた。すると、相部屋の彼は「俳優の市川雷蔵を紹介してやる」と言う。市川雷蔵といえば、「眠狂四郎」など多くの当たり役を持つ、時の大スター。思わぬ展開に驚きつつも、平泉さんは「渡りに船」と雷蔵が所属し、審査員を務める大手映画会社、大映のニューフェースに応募する。「雷蔵さんは足腰を鍛えるため同志社大学相撲部によく行っていたそうです。その相撲部で主将だった相部屋の彼は、そこで雷蔵さんと親しくなったということでした」。雷蔵の力もあってか、高い倍率の中、平泉さんは見事、合格する。

2年間は「下積み」
 だが、ニューフェースに合格したものの、デビューには2年を要した。「映画や芝居のことは何も分からず映画界に入った」と言う平泉さんは日本舞踊や茶道、三味線、乗馬などの稽古から俳優修業を始める。そのうち通行人などのエキストラ出演を経て、「酔いどれ博士」(三隅研次監督、66年)で映画デビューを果たした。大映では「大魔神怒る」(三隅研次監督、66年)、「書を捨てよ町へ出よう」(寺山修司監督、71年)などに出演。また、歌手として3枚のシングルレコードも出している。

自分に適した役を
 71年秋に大映が倒産後、テレビドラマに活動の拠点を移した平泉さん。TBS系で放送された岡崎友紀主演の人気ドラマ「なんたって18歳!」(71〜72年)でバスの運転手役を務めるなど、バイプレーヤーとして活躍の場を広げていく。以来、刑事ドラマや時代劇での悪役から特撮ドラマ、ホームドラマでの温かみのある役など、さまざまな人物を演じてきた。脇役としての平泉さんは、監督や主役を見ながら「『俺はここでこういう芝居をしたほうがいいんだろうな』『こんな感じかな』と気を使いながら仕事をしてきました」と言う。しかし、「脇役として最も大事なことは自分らしい役を演じること」と話す。「脇役といっても、何でもできるわけじゃないんですよ。どんな役もやってみるのはいいけれど、全ての役に完成度は期待できない。やはり自分の性格に合った役をやるのが一番いいと思います」

 そういう意味でも、今作で演じた人情味あふれる「鮫島」は平泉さんのはまり役。「私好みのシナリオでした」という作品に主演した平泉さんは、次のように話す。「若者がシニアの生き方に共感できるドラマがもっと映画化されてもいい」。高齢者が多い日本にはそんなドラマがたくさん埋もれていると考えるからだ。「シニアの人たちの一人ひとりの人生は、素晴らしいドラマの宝庫なんです」


©2024「明日を綴る写真館」製作委員会
©あるた梨沙/KADOKAWA
映画「明日を綴る写真館」
 監督・企画・プロデュース:秋山純、脚本:中井由梨子、出演:平泉成、佐野晶哉、嘉島陸、咲貴、田中洸希、佐藤浩市、吉瀬美智子、高橋克典、田中健、美保純、赤井英和、黒木瞳、市毛良枝ほか。日本映画。104分。

 7日(金)から、TOHOシネマズ日本橋(Tel.050・6868・5060)ほかで全国公開。

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