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  東京版 令和5年10月下旬号  
芸歴57年…映画初主演  俳優・小野武彦さん

 刑事ドラマ「踊る大捜査線」シリーズ(1997年〜2012年)に登場する「スリーアミーゴス」の一人として人気を博した小野さん。新劇からテレビ、映画と活動の場は広いが、「自分の“本籍”はテレビかな」と話す。「世に出るきっかけとなった作品がテレビドラマでしたから」
シェアハウスが舞台の「シェアの法則」公開中
 シェアハウスを経営する老夫婦と住人たちとの関わりを描いた映画「シェアの法則」が現在、公開中だ。同作で老夫婦の夫役を芸歴57年の小野武彦さん(81)が演じ、映画“初”主演を務めた。「この映画は“群像劇”なので主演という気負いはなかった」と話す一方、「心の中では『初めての主演だぞ』とうれしかった」とも…。長年、名脇役としてテレビや映画、舞台で活躍している小野さんだが、これまでの間には俳優廃業を決意したこともあったと話す。「そのときかかってきた電話のおかげで、今日まで俳優を続けてこられました」

  映画「シェアの法則」の舞台は東京のある町。その町に住む春山夫妻は一軒家の自宅を改装して、複数人が暮らすシェアハウスを始めた。この賃貸住宅に住むのは年齢、職業、国籍がバラバラで、さまざまな背景を持つ5人。彼らは時には衝突しながらも互いに協力し、共同生活を営んでいた。あるとき、同ハウスの管理人として住民たちの相談にのっていた、妻の喜代子がふとした事故で入院する。近所で税理士を営んでいた夫・秀夫が妻に代わって、管理人になるが…。

 「シェアの法則」(作:岩瀬顕子)は2021年、劇団青年座が初演し、23年に全国50カ所以上で再演中の群像劇。今回の映画化に際し、舞台では語られるだけで姿を見せなかった妻・喜代子を登場させ、秀夫との夫婦の話に住民たちの話を絡ませて物語を組み上げていった。昨年、80歳になった区切りの年に「映画の初主演というすてきなプレゼントをいただいた」と話す小野さんだが、「(主人公の)秀夫のような役は今まで演じてきたキャラクターにはあまりなかった」と言う。

 小野さんは今回演じた役について、こう話す。「秀夫は狭い世界にこだわりを持って生きてきた、やや頑固な性格。僕はこれまでいい加減なおじさんなどのコミカルな役が多く、またそれが好きなタイプ。自分の“地(じ)”としては遠い役でした」

石原裕次郎に憧れ
 そんな小野さんの俳優人生は俳優座養成所から文学座に入り、新劇俳優としてスタートした。「文学座には杉村春子先生や北村和夫さんら大好きな先輩俳優や、優れた演出家の木村光一さんなどがいて、演劇を学ぶ指導者に恵まれました」

 そもそも俳優を志すようになったのは、小野さんが中学生当時、日活の大スターだった石原裕次郎に憧れてのこと。狛江市出身の小野さんは、中学生になると自宅から自転車で10分くらいの場所にあった日活撮影所をよく見に行った。目の前を石原裕次郎が乗った外車がビューッと突っ走っていくのを目撃することもあった。「朝8時ころには日活撮影所に入る映画スターの姿を一目見ようという人たちで撮影所周辺はごった返していました。当時は活気がありましたね」。映画や演劇に興味を持つようになったのは、音楽や演劇活動が盛んだった玉川学園小学部へ2年生のときに転校してからだった。「引っ込み思案で人前に出るのは苦手だった」が、児童演劇研究者の教師(のちの玉川大学名誉教授の岡田陽)から「やらせてみたい」と指名されたことがきっかけで舞台に出るようになる。「芝居の稽古で小学校の授業を休んだり、小学生から大学生までが合同で演じる芝居の旅公演で岡山や新潟などに行ったりもしました」

倉本聰からの電話
 文学座を経て1960年代末ころからテレビや映画などに出演するようになった小野さんだが一時期、役に恵まれず30代はじめには「俳優を廃業しよう」と思ったときがあった。最初の子ども(長女)が生まれたころで、これから育てていくためにも収入が必要になる。しかし仕事の依頼がほとんどなく、「俳優を諦めなきゃだめかな」と思っていたとき、自宅の電話が鳴る。脚本家の倉本聰からだった。「今、何やっているんだ?」と聞かれた小野さんが「ぶらぶらしています」と答えると、「ショーケン(萩原健一)の板前物と、哲(渡哲也)の刑事物があるんだけれど、どっちかに(小野さんの)役があるような気がする。どっちがいい?」。日本テレビ系で放送されたテレビドラマ「前略おふくろ様」(萩原健一主演、75年〜77年)と、「大都会—闘いの日々—」(渡哲也主演、76年)は、どちらも倉本が脚本を担当していた。「このとき倉本さんが推薦してくれて『大都会』に出演できたので、今日まで役者を続けてこられたと思っています。倉本さんはそういう意味で恩人なんです」

 実は、倉本との不思議な縁は、このときの電話が三度目だった。まず最初の縁は、小野さんの小学校時代にさかのぼる。「演劇担当の岡田先生が学校劇の脚本を依頼し、『若いけれど、これから出てくる劇作家だと思う』と言って私たちに紹介した人が倉本さんだったんです」。二度目は、俳優活動を始めてからNHKで倉本に会ったとき。「君にぴったりな役なので推薦しておくよ」と言われ、NHK大河ドラマ「勝海舟」(74年)で「春山弁蔵」役を演じた。

俳優60周年を前に
 これまでドラマや映画、舞台で数多くの脇役を務めてきた小野さん。「脇役には脇役の面白さがある。一つの作品の中で主役と脇役がそれぞれの役割を全うしてこそ、チームとしてうまく機能できるんですよ。脇役だからつまらないとか、主役だから面白いということではありません」。芸歴60年の節目を前にした心境を、「当たり前のことですが」と断りつつこう話す。「大切なことは、お声掛けいただいた役を一つ一つ誠実に務めていくことだと思っています。そうしていれば(今回の主演映画のように)楽しいこともあるのではないでしょうか」。これまで、「大病といえるような経験はほとんどしていない」という小野さん。60年近くもの間、第一線の俳優として活躍できたのも健康だったからこそと、小野さんの健康面に日ごろ気を使ってくれる妻と娘2人に感謝している。


©2022 ジャパンコンシェルジュ
「シェアの法則」 日本映画
 監督:久万真路、脚本:岩瀬顕子、出演:小野武彦、貫地谷しほり、浅香航大、岩瀬顕子、鷲尾真知子、宮崎美子ほか。107分。

 新宿・K's cinema(Tel.03・3352・2471)で公開中。全国順次公開。

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