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  東京版 令和5年7月下旬号  
核廃絶、朗読で訴え  朗読家・飯島晶子さん

イベントのときはきものを着用することも多いという飯島さん。今年の「未来への伝言」ではゲストに、ウクライナの民族楽器バンドゥーラ奏者のナターシャ・グジーを迎える。「ナターシャさんとは10年前から何度かステージをご一緒させていただいています。そのときはウクライナへロシアが侵攻するなんて思ってもいませんでした。今年は、ヒロシマ、そして今戦火の中にあるウクライナのことを少しでも知ることで、音楽や思いが届けられたらと思っています」
8月9日、朗読・被爆ピアノコンサート開催
 さまざまなパフォーマンスを通じて、朗読の可能性を切り開く朗読家の飯島晶子さん(68)。絵本の読み聞かせ、舞台朗読のほか、音楽や絵画、伝統芸能とのコラボレーションや、朗読を切り口とした「声」に関する講座まで、ジャンルを超えた活動を展開している。中でも力を入れているのが、ライフワークである朗読と“被爆ピアノ”によるコンサート「未来への伝言」だ。今年も8月に開催し、核兵器の廃絶と平和を訴える。「つらいときや悲しいとき、声を出し朗読をすることで元気になりました。朗読があったからこそ、私は生きてこれたのだと思います。言葉や物語は『心を耕す糧』であり、いろいろな名著を朗読することで『命のおすそ分け』をいただいた気持ちです。これからも朗読のすばらしさを世に広めていきたいですね」

 朗読とは何か。飯島さんは、「よく間違われる」という音読に対して朗読をこう解説する。「書かれているものを忠実に表現する音読と違い、朗読は自らが考えた原作者の意図を念頭に、自分の表現で声に出し、聞き手を物語の世界にいざないます。私にとって朗読は、音楽のコンサートのような自己表現ですね」

 そのことを示すように、飯島さんはハープやジャズなど音楽とのコラボが多い。「声も音楽の一つと感じています。源氏物語の朗読ではお坊さんの声楽『声明(しょうみょう、仏典に節をつけた仏教音楽)』とご一緒しました。源氏物語の世界観をより深められたと思います」

 さらに、能や邦楽など伝統芸能との共演も多数ある。「何より自分が伝統芸能を好んでいますし、朗読と伝統芸能、音楽が響き合い、その相乗効果で大人も楽しめるエンターテインメントとしてよい舞台が生み出せると考えています」

 そんな飯島さんが毎年ライフワークとして行っているのが、“被爆ピアノ”とコラボした朗読コンサートだ。被爆ピアノとは、1945年の広島・長崎への原爆投下時に、爆心地の中心から3キロ圏内で被爆したピアノのこと。広島でピアノの修理活動をしていた調律師の矢川光則の工房に持ち込まれたことをきっかけに、平和活動の一環として2001年から西日本を中心に被爆ピアノの演奏会が始められていった。

 05年、友人のジャズ・ピアニスト、西郷正昭による詩「私を弾いて—広島被爆ピアノ物語」をメールで受け取り、はじめて被爆ピアノの存在を知った飯島さんは、強烈な衝動にかられた。すぐに、自らの朗読と被爆ピアノとのコラボを、西郷を通じて打診。東日本での演奏の機会をうかがっていた矢川も承諾し、同年、被爆ピアノの伴奏による「私を弾いて」の朗読コンサートが掛川(静岡)と東京で実現した。

 さらに飯島さんが講談社の知人に被爆ピアノの話を紹介したことをきっかけに、松谷みよ子著の絵本「ミサコの被爆ピアノ」が07年に刊行される。さっそく飯島さんは被爆ピアノによる、同絵本の朗読コンサートを各地で開催。それを通じて多くの人々が活動への賛助を示してくれたという。その中に人間国宝の三味線奏者・故杵屋浄貢がいた。「僕も昔、原爆の曲を作ったよ」。それは半世紀前に谷川俊太郎が作詞し、その過激さからラジオ放送がお蔵入りになったというエピグラム(警句)「原爆を裁く」だった。

 そして09年、谷川俊太郎の息子でピアノ演奏家の賢作が被爆ピアノを演奏、杵屋の三味線と飯島さんの「原爆を裁く」ほかの朗読を軸に、今も続く「未来への伝言」がスタートした。コロナ禍でイベントからインターネットでの配信に切り替えたこともあるが、毎年ずっと継続。いずれも飯島さんが資金を工面し、毎回開催にこぎつけている。「合唱で毎回参加してくれているクラーク記念国際高等学校の生徒さんは、涙を流しながら合唱してくれる。若い人にも被爆ピアノのメッセージが届いているんです」

家族の朗読が原点
 飯島さんは1955年、茨城県桜川市で誕生。祖父母や母が寝物語にいろいろな絵本や物語を読み聞かせてくれたという。「幼少の思い出が今につながっているのだと感じます」

 大学は、アナウンサーを目指し日本大学芸術学部に進学したが、そこで授業の一環として習ったナレーションや朗読の世界に感銘を受ける。卒業後はニュース番組「みのもんたの朝ズバッ!」(TBS系、05年〜14年)など、テレビ番組でのナレーターとして活躍した。

 また、並行して朗読の舞台も行っていたが、来場客を中心に「朗読教室」の講師の依頼が舞い込むようになり、次第に活動の軸足を朗読に移していった。そんなとき、被爆ピアノと出合ったのだ。

 「未来への伝言」は現在、主に東京で開催。時々のトピックスを織り交ぜながら平和の尊さを訴えている飯島さんだが、ロシアのウクライナ侵攻など現在も核の脅威が尾を引く国際情勢に眉をひそめる。「核は絶対に反対です。負の遺産を未来に残したくはありません」

朗読で心身健康に
 飯島さんは、06年の「声を出せば脳はルンルン」(清流出版)を端緒に、発声や朗読による健康本も多数執筆。「朗読教室にしかめっ面で現れた生徒さんも、帰るときはにこにこして帰っていきます。心身両面の健康に役立っているはずです」。そして飯島さんはこう続ける。「これからも朗読を通じて平和を語り掛けていきます。生きている限り何かに打ち込み、楽しみ、毎日を懸命に生きていたいですね」


「未来への伝言」2022年8月公演(自由学園明日館講堂)©VoiceK
♪朗読コンサート「未来への伝言2023」〜いのちのうたwith被爆ピアノ
 8月9日(水)、日本橋公会堂(地下鉄水天宮前駅徒歩2分)で。午後2時半開演、同6時半開演の昼夜2公演。

 出演:飯島晶子(朗読)、ナターシャ・グジー(歌、バンドゥーラ)、谷川賢作(ピアノ)、佐久間大和(バイオリン)、坂井田真実子(ソプラノ)、石井里乃(ピアノ)、クラーク記念国際高等学校(朗読・合唱)、矢川光則(被爆ピアノ調律師)ほか。

 全席自由。一般前売り3500円、当日4000円。問い合わせはヴォイスケ・飯島 Tel.090・8452・8454

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