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  東京版 令和4年11月下旬号  
ハワイアンは平和の音楽  写真家・浅井愼平さん

1966年のザ・ビートルズの来日時、ただ一人撮影を許された浅井さん。メンバーは浅井さんにシンパシーを感じたのか、「親しく接してくれた」と当時の思い出を語ってくれた。「当時、世界が彼らの音楽を理解できなかったように、彼ら自身もそのときはまだ自分たちが何者なのか、何を成したのかをよく理解できていなかったと思う。それだからか、僕の撮った彼らって結構ボーっとした感じが多いんです(笑)」
12月19日の「ハワイアンナイト」に出演
 素朴な人柄と飾り気のない温かな語り口で人気の写真家・浅井愼平さん(85)。世界的人気バンドのザ・ビートルズや“ロックの創始者”と称されるチャック・ベリーの来日時にはカメラマンに選ばれるなど、音楽にゆかりの深いことでも知られる。そんな浅井さんが12月19日、歴史あるハワイアン音楽のイベント「ハワイアンナイト」に出演。トークのほか歌声も披露するという。「第2次世界大戦後、アメリカは戦後の平和政策の一環なのか、世界中のラジオでハワイアンを流しました。いわばハワイアンは“平和の音楽”。コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻などで大変な今だからこそ、ハワイアンを聞いて平和の尊さに思いをはせてほしいですね」

 「ハワイアンナイト」は、四半世紀ほど前より銀座・博品館劇場で開催され、現在も続いている数少ない正統派ハワイアン音楽の祭典だ。浅井さんとハワイアンのつながりは深い。当日、メインを務めるハワイアンの第一人者・白石信(まこと)は大学時代の先輩。在学当時はハワイアン全盛時であり、一学生だったころからずっと白石のステージに裏方として参加してきたという浅井さん。それが、いつのまにかステージに立たされるようになったと苦笑する。「僕は裏方気質。写真家も、昔目指していた映画監督も全て裏方だと思っています。当日は足を運んでくださった皆さまと、かつての時代が持っていた懐かしさみたいなものを共有できるようなコンサートにしたいですね」

 浅井さんは1937年、愛知県瀬戸市で誕生。父は陶芸家として名をはせていたが、浅井さんが小学4年生のころ死去。大黒柱を失った家庭は困窮した。「今では考えられませんが、当時母子家庭の子どもは就職が不利など世間の風は冷たく、少年時代にはそれを察しました」。世間一般の“普通の人生”とは違う“何者か”にならざるを得なかったと語る。

 中学時代、純文学の同人誌を友人と作り、ジャズに親しんだ浅井さんを一番魅了したのが映画だった。「当時の映画の主流はモノクローム。現実とは違うもう一つの世界のように感じました。メディアの少ない時代ですから、世界の出来事や恋や人生についても映画から学びました」

映画監督の道を断念
 小津安二郎作品を好んだという浅井さんは映画監督を目指し、脚本作りを独学。大学では映画研究会に所属したが、そのころには徐々にテレビが普及し映画業界は斜陽期に入っていた。「当時は、松竹、東映など映画の大手5社に入社し、そこから監督を目指すものでしたが、僕の世代になってそのシステムが崩壊。映画監督の夢はあきらめざるを得ませんでした」

 そして浅井さんは写真家の道を選ぶ。斜陽の映画業界と入れ替わるように、テレビと同じくして雑誌媒体や交通広告が隆盛を迎え、グラビアやポスターなど写真による表現の場が一気に広がった。浅井さんはその可能性にかけた。「写真なら自分のやりたい表現ができると感じました」

街中に作品が拡散
 映画監督志望時に培った画面構成力のほか、独学で撮影技術を磨き、コンペティションなどを通じて仕事を勝ち取っていった。広告写真に通常クレジットが入ることはないが、全盛時には街中が浅井さんの写真であふれていたと語る。「焼酎『いいちこ』の広告写真は、当時から今もずっと僕が担当させていただいています。ほかにも僕が撮った写真と知らずに多くの人が目にしているはずです」

 1965年、浅井さんは日本広告写真協会賞を受賞。その翌年、来日したザ・ビートルズのオフィシャル・カメラマンとしてただ一人抜てきされる。「知人がクライアントに僕を紹介してくれたようです。ビートルズが奏でるサウンドを、『あんなの音楽じゃない!』と言う人が大勢いた当時、僕なりの“ビートルズ観”みたいなのを開陳したことがありますが、それが効いたのかもしれませんね」

“裏方”がTVへ
 テレビの世界との接点は、当時ひんぱんにアンダーグラウンドな世界を紹介していた深夜番組「11PM」(日本テレビ系、1965年〜90年)への出演が契機だった。「世の裏方の人間が引っ張り出されました。僕もその一人。その後もなぜか声が掛かり、クイズ番組の回答者やコメンテーターとして出演を重ねるようになりました」

 さまざまな番組に出演し人気者となった浅井さんだが、現在はテレビへの出演を控えているという。「テレビ業界からは多くの誘惑がありましたが、写真家としての“本業”がおろそかになることを恐れました。写真家としての軸があったから、そのまま流されなかったのだと思います」

 一昨年からのコロナ禍以降、海外に行くことがなくなるなど活動は制限されたが、「写真と俳句」との表現(「ハイクグラフィー」)を追究するなど、創作活動に停滞はなかったという。「コロナ禍はグローバルな世の中になったからこその厄災。病原菌に国境はないのですから、今後も同様の危機は必ず人類に訪れるでしょう。本当に戦争をしている場合ではありません。それこそ、ハワイアンを通じて世界平和を考え、国境を越えた“希望ある未来”を作るべきです。そんな良い世の中を死ぬまでに見てみたいですね」


白石信とナレオ・ハワイアンズ。左から関口光明(ウクレレ、ボーカル)、白石信(スチールギター、ウクレレ、ボーカル)、石山哲也(ギター、スチールギター、ボーカル)
♪ハワイアンナイト 銀座博品館 in ムーンライト・クルージング ホノルル〜東京 ♪
 12月19日(月)午後3時、博品館劇場(JR新橋駅徒歩3分)で。
 ハワイアンテイストの音楽や歌声、フラで、ホノルル〜東京間のクルージング気分を味わうステージ。白石信とナレオ・ハワイアンズらによる正統派ハワイアン・コンサート。

 予定曲:「すずかけの径」「風吹く海に」「モーニング・デュウ」「ピキン・イングラン・フラ」「夜霧に隠れて」ほか。出演:浅井愼平、近衛里帆、金子まゆみ(フラ)、白片タケシ(ギター)、カルロス川北(ギター)、仁村茂(ベース)、有瀧敬之(ベース)ほか。司会:露木茂。

 全席指定6500円。インターナショナル・カルチャー Tel.03・3402・2171

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