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  東京版 令和3年11月下旬号  
自閉症の息子見守る母を演じ、「絆と共生」表現  女優・加賀まりこさん

「趣味はマージャンと読書」と話す加賀まりこさん。コロナ禍の今、マージャン卓を囲むことはできず、もっぱら読書にいそしむ。「面白いと思ったらついつい1冊終わりまで一気に読んじゃうんですよ。早く寝りゃいいのに次の日は目が痛くて、痛くて…。後悔します」。最近のお気に入りは門井慶喜の本。直木賞受賞作「銀河鉄道の父」や「家康、江戸を建てる」などを次々と読破。せっかちな江戸っ子気質(きしつ)もあって「1冊の本を1日で読み切る」
主演映画「梅切らぬバカ」公開中
 老いた母と中年の自閉症の息子が近隣住民とのあつれきの末に融和していく姿を描いた映画「梅切らぬバカ」が全国公開中だ。小柄な体で大きな息子を慈しみ守りながら、やがて訪れる息子が一人で生きる将来を案じる母を演じたのは、女優・加賀まりこさん(77)。私生活でも「パートナーの息子が自閉症で、日常接している」と話す加賀さんは、「(一般的に)障害者のことをよく知らない人は多いと思うんです。そんな人たちが映画を見て応援とまではいかなくても、息子・忠さんのことが好きになってくれればいいなって思いました」。

 映画「梅切らぬバカ」は、ことわざの「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」から付けられた。「桜は幹や枝を切ると腐敗しやすく、梅は余計な枝を切らないとよい花実がつかなくなる」という意味だが、タイトルで「梅の木を切らないという選択もあるのでは」とほのめかしている。

 監督からの出演依頼で台本を読んだ加賀さんは「何とはない2人の日常が、かわいそうでしょって同情を強いるわけでもなく、淡々と描かれているのがとてもいい」と思ったという。女優としての長いキャリアの中でも、自閉症の息子を持つ母の役は初めてだったが、「役作りではそんなに苦労しませんでした」と話す。

全編に「息子への感謝」
 映画「梅切らぬバカ」は、文化庁の「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2020」として製作された。メガホンを取った和島香太郎は、2014年公開の映画「禁忌」で初監督し、今作が長編2作目の新鋭だ。

 物語の舞台は、老いた母・山田珠子と“忠さん”の愛称で呼ばれる自閉症の息子・忠男が住む、ある町の閑静な住宅街。2人が暮らす古びた民家の庭には大きな梅の木があり、その枝が外まで伸びていた。通りを妨げる木の枝に、隣に引っ越してきたばかりの里村一家から苦情がきて—。

 加賀さん演じる珠子は「率直なだけが取りえ」の占い師。アドバイスを求める女性相談者の悩みは一刀両断するものの、母としては自分の死後一人で生きてゆく息子の未来を案じている。ささやかで幸せな日々を送ってきた2人だったが、息子が50歳の誕生日を迎えたとき、ふと気付く。「このまま共倒れになっちゃうのかね」と。

社会の “壁”感じる
 映画は、地域になじみたい自閉症などの障害者やその家族と、彼らを疎んじてしまいがちな隣人たちとのあつれきを描く。平穏な日常を望むのはどちらも同じはずだが、なかなか理解し合えない。加賀さんも、そんな社会の“壁”を感じることが、仕事を離れたときもあるという。「45歳になる息子と外出することもあるんですが、日によっては(息子が)急に大きな声を出したりすることがあるの。すると、やっぱり眉をひそめる人もいます。そりゃ大声を出されたら近くにいる人は嫌でしょうけれど、それは相手に危害を加えようということじゃ全然ないんです」。パートナーの息子が通っている学園で、息子と同じ障害を持つ子どもたちと接し、「みんなすごく穏やかで、笑顔のかわいい人たちなんですよ」と感じている。

 1943年、東京・神田で生まれた加賀さんは、62年の映画「涙を、獅子のたて髪に」で映画デビュー。以降、映画を中心にテレビドラマや舞台に、と活躍している。

 その長いキャリアの中で「女優としての出発点」に挙げるのが、21歳のときの初舞台、劇団四季の「オンディーヌ」だ。同作への出演で「初めて“あいうえお”の発声から教えていただきました。それまでの私はただの“被写体”。セリフも、キンキンした声で上滑りして話していたんです」。頭ではオンディーヌの役柄を理解していながら、「それを体で表現するとなると、手も足も出なかった」(著書「純情ババァになりました。」)と後に述懐。オンディーヌへの出演が「女優さんっていう仕事をやろう。ちゃんとやろう」と決心させた。その後、多くの映画賞を受賞した映画「泥の河」(81年)や「陽炎座」(81年)、「麻雀放浪記」(84年)などの話題作に出演。映画「神様のカルテ」(11年)では、肝臓がん患者に直接取材し役作りに取り組む。出演作の中で「好きな役」として挙げるのが、07年に舞台で演じた「東京タワー〜オカンとボクと、時々、オトン〜」のオカンだ。福岡県・小倉の舞台では、終演後、原作者リリー・フランキーの家族に「亡くなった母にすごく似ている」と、泣きながら抱きしめられた。「そういうときはもう、女優冥利(みょうり)に尽きますよね」

“座長”の存在感
 今作「梅切らぬバカ」で加賀さんは“座長”として大きな存在感を示した。「若い監督をスタッフや俳優で盛り上げたい」という気持ちから、撮影現場では忠さん役の塚地武雅らに「明るくやろうね」と話し掛け、監督に気付いたことを助言した。「(監督や俳優が)ディスカッションすることは映画作りの基本だと思うんです。台本を読んで『忠さんにありがとうって感謝する母の気持ちをもっと出せることってできないかな』などと、監督に投げ掛けたりもしました」。当初、梅の木は庭から根こそぎなくなるという設定だったが、「梅の木を根こそぎもっていかれるのは、自分の人生を否定されているような気持ちになる」という加賀さんの意見で「梅切らぬバカでいさせてよ」というラストシーンに—。

 撮影が終わり「お疲れさま」と帰宅早々、親しくしている相撲解説者の北の富士勝昭(第52代横綱北の富士)から電話があった。「じつはあれ(和島監督)、甥(おい)っ子なんだよ」と言われ、驚いた加賀さん。「そんなこと現場ではひと言も言わないから誰も知らなかった。早く言えよって思いました」と笑う。

 その和島監督からの出演依頼で「突然、降って湧いたようにやることになった」という珠子の役。「自分からあれがやりたい、これがやりたいと言ったことは一回もない」と言う加賀さんは、これからも今作同様「何かご縁があれば」と、演じることにあくまでも自然体で臨む。


©2021「梅切らぬバカ」フィルムプロジェクト
「梅切らぬバカ」 日本映画
 監督・脚本:和島香太郎、出演:加賀まりこ、塚地武雅、渡辺いっけい、森口瑤子、斎藤汰鷹、林家正蔵、高島礼子ほか。77分。

 シネスイッチ銀座(Tel.03・3561・0707)ほかで全国公開中。

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