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  東京版 令和2年3月下旬号  
日本の奇術「手妻」の伝統、“今”に生かす  手妻師・藤山新太郎さん

手妻の一つ「双(ふた)つ引出」の道具を手にする藤山新太郎さん。「双つ引出」は、空っぽにしか見えない引き出しから、絹帯や傘を出す作品だ。「EDOCCO ILLUSION」では、両手の親指同士をこよりできつく結んだ状態で、棒や刀の間を通す「柱抜け」なども披露する。昭和天皇崩御前後の「自粛ムード」で仕事が激減したときは、「じっくり考えながら、一つ一つの稽古ができた。それは私の芸に深みを与えてくれました」
 江戸時代に花開いた日本の奇術「手妻(てづま)」。藤山新太郎さん(65)は戦後、消えかけたその伝統の復活に、大きな役割を果たした「手妻師」だ。「不思議を前面に出さない、研ぎ澄まされた美の世界がそこにあります」。蝶(チョウ)の生涯を表した「蝶」の芸など、「豊かな物語性を併せ持つものも多い」と力を込める。半世紀に及ぶ調査・研究、稽古、独自の演出…。「どう残すかではなく、どう生かすか」と自身に問う。「先人と思いを共有した上で改良を重ねる。今の人が面白がって見てくださってこその芸能と考えています」

4月~7月、江戸伝統手妻ショーに出演
 一羽蝶が二羽蝶となり、結ばれ、息絶え…、末は子孫繁栄の千羽蝶となる—。手妻師の手を離れた白い紙は、やがて幻想的な物語を紡ぎ出す。手妻の最高傑作として名高い「蝶」の芸。藤山さんは、「水墨画のような美しさをまとい、芝居さながらに進行する。これは単なるマジックを超えた芸術です」と自負を語る。

 江戸後期の開国直後、欧米の人々も驚嘆した完成度の高さ。藤山さんは口上に代えて所作を生かすなど、演技構成をさらに洗練させた「蝶のたはむれ」を舞台にかける。「20年以上かけ今の形になった。後世に残す価値があります」

3度の芸術祭賞
 大田区に生まれた藤山さんの父は、漫談家として活躍し、ビートたけしにも目をかけた南けんじ。たけしと藤山さんは駆け出し時代の仲間で、「たけしさんは仕事に対しては真面目だったけれど…(笑)」と、懐かしそうに振り返る。自身は早くから奇術にひかれ、12歳で奇術師の松旭斎清子に弟子入り。高度経済成長期の当時、手妻は西洋奇術の中に取り込まれた格好で、「プロの奇術師さえ、『和』と『洋』の違いを意識していなかった」と言う。だが、演目の中に「所作がきっちりと定められ、段違いに見栄えがするものが幾つかあった。それが手妻でした」。

 師匠の口添えを得て、老いて一線を退いた奇術師や市井の研究者を訪ね歩いた。「断片となっていた手妻の一つ一つを掘り起こし、全体像を浮き彫りにしていった感じです」。例えば、数本の輪をつなげたり外したりしながら、花や皿などを形作る「金輪の曲」。江戸時代の手順は長く不明だったが、藤山さんは青森県の伝統行事にそれが継承されていたことを探り当てている。

 「手妻のはなし 失われた日本の奇術」(新潮選書)などを著している藤山さんはこう話す。「手妻の全盛期は江戸後期から明治前期。その後、西洋文化流入のあおりで、急速にすたれてしまいました」。それだけに、手妻に軸足を移したころは、「周りから止められた」と苦笑する。「それが昭和の終わり辺りから一転、和の伝統文化が大事にされるようになった。私は時代に恵まれました」

 1988(昭和63)年、「蝶」と共に手妻の代表格とされる「水芸」で文化庁芸術祭賞に輝き、94年には別の演目で2度目の受賞。98年には「蝶のたはむれ」で文化庁芸術祭賞大賞を射止めている。「『蝶』が水墨画なら、『水芸』は色彩感あふれる錦絵。この二つは手妻の双璧といえます」

 活躍の場は国内にとどまらず、中国やアメリカなど海外へも。「言葉が主でないこともあってか、感動は国境をたやすく超える」と実感を語る。手や目の動きの速さが求められる芸とあって「老いは怖い」と率直だが、「芸に対する意識は年を重ねながら深められる」とも。今も公演前は、必ず段取りを練り直す。「例えば10分の手順なら10枚の絵を描き、1分ごとに演技を客観視する。それぞれの絵が際立って違ってこなければ、お客さまを満足させられません」

 継承者が絶えかけていた昭和40年代を知るだけに、後進の育成にも熱心だ。藤山大樹ら弟子たちの活躍に目を細める。「核心から離れない限り、若い感性で新しいことをやっていい。それは、私の励みにもなります」

メインは「蝶」
 4月開幕予定の公演「EDOCCO ILLUSION」では、「蝶のたはむれ」をメインに、さまざまな手妻を見せる考えだ。当初は2月下旬からの日程だったが、新型コロナウイルスの影響が直撃。感染拡大防止に向けた政府の自粛要請もあって、「見直しを余儀なくされました。誠に残念です」と唇をかむ。「慌てて芝居や音楽などをやめさせても、根本的な解決策にはなり得ません。そんなことより、地域の病院でウイルス検査ができる態勢を大急ぎで整えるべきではないでしょうか」

 昭和末の「自粛ムード」も経験している藤山さんは“復活”に並々ならぬ意欲を見せる。「開幕が延びた分、練りに練った舞台をお届けしたい。お客さまがたまった憂さを忘れ、不思議の世界に浸ってくだされば、芸人冥利(みょうり)に尽きます」


「蝶のたはむれ」
江戸伝統手妻ショー「EDOCCO ILLUSION」
 4月10日〜7月17日の毎週金曜日、神田明神文化交流館(JR御茶ノ水駅徒歩5分)EDOCCO STUDIOで。毎回正午〜午後1時半。全15公演。
 老舗料亭「神田明神下『新開花』」の「鯛(たい)昆布〆(じめ)黒酢ちらし」の食事付き。

 5600円。要予約。問い合わせは Tel.03・6811・6675

https://cocoro-k.co.jp/events/edoccoillusion

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