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  東京版 令和元年8月上旬号  
山本五十六演じ「茶目」と葛藤を表現  俳優・舘ひろしさん

大河内傳次郎、佐分利信、三船敏郎…。多くの名優が演じた山本五十六は、「英明で重厚」といった印象が強い役柄だが、舘さんは「山崎監督とも話し合い、周りから慕われる“人たらし”ぶりを前面に出した」と話す。主人公の天才数学者・櫂直は架空の人物。「それなのに、あたかも実在していたかのように思えてしまう。五十六とのやりとり、駆け引きも見どころです」
公開中の映画「アルキメデスの大戦」に出演
 3000人を超す乗員と共に海中に没した戦艦「大和」。その建造計画をめぐる頭脳戦を描いた劇映画「アルキメデスの大戦」が現在、全国で公開されている。同作で海軍少将時代の山本五十六を演じた舘ひろしさん(69)は、「英明でありながら、気さくでウイットにも富んでいた」と、山本の人柄を推し量る。「演技のキーワードは『茶目』でした」。半面、「五十六は対米戦争を危ぶみながらも、開戦に備え作戦を練っていた」と指摘する。「非戦の願いと当時の軍人としての思い…、その両面性ゆえに葛藤した魅力ある人間を演じられたのは、役者冥利(みょうり)に尽きます」

 太平洋戦争末期の1945(昭和20)年4月、沖縄方面に出撃した戦艦「大和」は、米軍艦載機の攻撃を受け、海の藻くずと消えた。映画「アルキメデスの大戦」では冒頭、この光景が最新の映像技術を駆使してスクリーンに再現される。ただ、物語の本筋は一転、時計の針を日本が国際連盟を脱退した33年に戻してスタートする。「山本五十六」を含む、阿川弘之の“海軍提督3部作”は、舘さんが愛読書に挙げる伝記文学だ。「五十六への思い入れは強い」と語る舘さんは、言葉に力を込める。「映画はフィクションでありながらも、愚かな選択を繰り返したあの戦争の本質を捉えています」

 名古屋市に生まれた舘さんは高校卒業後、千葉工業大学に進学。74年には岩城滉一らとオートバイチーム「クールス」を結成し、選抜チームによるロックバンドでボーカルを務めた。76年には映画「暴力教室」で俳優としてもデビュー。同じ年、映画「男組 少年刑務所」で主役に抜てきされるなど、20代から脚光を浴びた。

 テレビドラマでは、「西部警察」シリーズ(テレビ朝日、79年〜84年)で石原裕次郎、渡哲也と共演。「お二人との出会いが僕の人生を変えた」と断言する。特に、渡からの一言「ひろし、お前には華がある」は、「本格的に演技を学んでなかった僕にとって、『その言葉だけを頼りにやってきた』と言ってもいい」。

 「あぶない刑事」(日本テレビ、86〜87年)のシリーズ化などもあり、刑事役がなじみ深いものの、「いろんな世界の人間になれるのが役者という仕事の魅力」と明快だ。昨年公開の映画「終わった人」では、定年で居場所を失った元エリートサラリーマンの哀歓を、笑いの要素も交えて演じ、モントリオール世界映画祭最優秀男優賞に輝いた。舘さんは若いころ、渡から受けた“叱責(しっせき)”を思い返す。

 「それが『お前、芝居がうまくなったな』でした」。渡の真意を説明する。「『小手先の技術に頼らず、役の人生を丸ごと生きろ。そのためには自分を磨け』という教え。それが僕の中に生きているとすれば、受賞を喜んでいいのかな」

「人物像を解釈」
 ただ、舘さんは「歴史上の人物を演じる場合、役作りは(現代劇と)ちょっと違う」と話す。織田信長、大石内蔵助、犬養毅…。自ら資料に当たり、「自分なりに人物像の解釈を試みる。“偉人”の固まったイメージを少し崩したい気持ちもあるしね(笑)」。太平洋戦争開戦時の連合艦隊司令長官・山本五十六役での出演依頼を受け、阿川の作品などを読み返した。「出迎えに来た大臣らに気付かれないよう、芸者の前で舌を出してみせたり…、そうした逸話は、実に興味深い」。監督で脚本も書いた山崎貴に働き掛け、当初の台本になかった“習慣の逆立ち”や海軍首脳同士の痴話げんかのシーンを盛り込んだ。「茶目っ気があって、良い意味で『普通』の面もある人。そんな五十六の人となりが見る人におのずから伝われば…」

“机の上の大戦”
 映画「アルキメデスの大戦」は、「数学で戦争を止めようとした男の物語」。天才数学者の櫂直(かい・ただし)は、「大和」建造の「過少予算のからくり」を解き明かそうと奮闘する。「今後の海戦は航空機が主力」が持論の山本は、「大和」建造を阻止するため、櫂を海軍に招き入れる役回りだ。「航空主兵主義」と「大艦巨砲主義」が激突する“机の上の大戦”。頭を丸刈りにして撮影に臨んだ舘さんは、「善と悪の対決といった単純な構図ではない」と強調する。「日本の行く末を真に憂え、命懸けの決断をした人は双方にいた。五十六ももちろんその一人です」

 この映画を「観客を驚かせる優れたエンターテインメントである一方、組織の意思決定のありよう、人間の多面性にも迫った奥深い作品」と言い表す。「エリートが犯した失敗の見本市ともいえるあの戦争について、多くの人が考えを深めるきっかけになれば…」。戦後74年の今、以前からの思いを強めている。「敗戦までの過程を『悲しい』『美しい』といった言葉だけで済ませず、きちんと検証・総括することが、過ちを繰り返さないためにも必要。そしてそこから、平和な日本の未来が見えてくるのではないでしょうか」


©2019「アルキメデスの大戦」製作委員会
©三田紀房/講談社
「アルキメデスの大戦」 日本映画
 原作:三田紀房「アルキメデスの大戦」(講談社「ヤングマガジン」連載)、監督・脚本・VFX(映像表現):山崎貴、出演:菅田将暉、柄本佑、浜辺美波、笑福亭鶴瓶、小林克也、小日向文世、國村隼、橋爪功、田中泯、舘ひろしほか。130分。
 TOHOシネマズ日比谷(Tel.050・6868・5068)ほかで上映中。

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