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  東京版 平成30年10月下旬号  
「演じない演技―基本にして最上」  俳優・吉田栄作さん

高校でバスケットボール部に入っていた吉田さんは、「部活動と舞台には共通点がある」と話す。「みんなでわいわい言い合い、似たことを繰り返しながら、つくり上げていく。稽古や公演期間中は、純粋な向上心を持つ『秦野のあんちゃん』に戻れたような気持ちになれる。俺がよく使う“芝居筋”という造語も、そうした部活の経験から頭に浮かんだのかもしれません」
傑作喜劇「カクタス・フラワー」に挑戦
 「トレンディー俳優」として一時代を築いた吉田栄作さん(49)は現在、映像と舞台の双方で幅広い役柄を演じ分ける。「基本であり最上」と考えるのは「演じない演技」。「言葉で説明するのは難しい」と苦笑しながらも、「(俳優が)役に溶け込んでこそ生まれる存在感は、見る人を引き付ける」と力を込める。11月10日からの舞台「カクタス・フラワー」は、ブロードウェーでロングラン上演された傑作コメディー。そこでも「演じない演技」を追究する。「笑わせる意図が透けると安っぽくなる。せりふの一つ一つに、役の人間の思いを乗せます」

 人気絶頂だった1995年、吉田さんはアメリカ・ロサンゼルスに居を移した。「忘れ去られても仕方ないと思っていた」。計算の上で“ツッパリキャラ”を演じていたものの、「キャラが独り歩きして、『田舎のあんちゃん』だった素の自分と、あまりにも隔たってしまった」と回想する。高校生のとき抱いた「俳優と歌手の両方で成功する」との夢をかなえながらも、「その代償として、重いものを背負わされた気分だった」。日本中を驚かせた離日の動機を語る。「まずは『休みたい』。アメリカで演技の勉強をして、挑みたいという気持ちもありました」

 神奈川県秦野市に生まれた吉田さんは、「俺が小さいころ、(小田急線)秦野駅の裏は畑が広がっていた」と懐かしむ。高校時代にはロックバンドをつくり、俳優養成所に所属。

舞台で “芝居筋”鍛える
 高校卒業後、オーディションを経て88年、映画「ガラスの中の少女」でデビューした。91年に主演したテレビドラマ「もう誰も愛さない」(フジテレビ)は、スリル満点の“ジェットコースタードラマ”と反響を巻き起こし、吉田さんも「イケメン俳優」として一世を風靡(ふうび)した。音楽活動でも「心の旅」(90年)などをヒットさせ、90年、91年には「NHK紅白歌合戦」に連続出場。95年、香港や台湾を巡ったアジアツアーでは、2万人以上を動員している。

 それでも「渡米の意志を貫いた」。ロサンゼルスでは俳優として活動する傍ら、「アメリカのアクティング(演技)を勉強した」と話す。そこで出合った教えが「Do not act , please(演技をしないで)」。矛盾しているとも思えた言葉の真意を懸命に探った。「役の人間に成り切るほど徹底した役作りができれば、巧まずして役の人間の存在感が匂い立ってくる。それこそが“演じない演技”では、と思い至った」

「舞台は嫌だった」
 99年のNHK大河ドラマ「元禄繚乱」出演のため、活動の拠点を日本に戻した。「LA(ロサンゼルス)後が、俺の表現者としての『第2章』です」。ただ、帰国してからもしばらく、出演作を映像に限った。その理由を率直に明かす。「実は舞台の演技が嫌いだった。(客席からは)大仰に見えてしまうことがあって…」。06年、NGO(非政府組織)で活動する若者の日々を描いた「やわらかい服を着て」で初舞台。作・演出の永井愛から出演を頼まれた吉田さんは、笑みを見せる。「永井さんは『思うままにやって』と背中を押してくれた」。同作に続き、「三文オペラ」や「オットーと呼ばれる日本人」など、メッセージ性のある作品に相次ぎ主演。ヒロインの相手役を演じた「ローマの休日」は、再々演を果たしている。“舞台開眼”後の充足感を語る。「稽古を重ね、人前で何度も演じる舞台では、あらゆる役柄に適応できる“芝居筋”が鍛えられます」

「格好悪く見せる」
 11月10日、都内で幕を開ける「カクタス・フラワー」は、ブロードウェーで上演1234回を記録した恋愛コメディー。「サボテンの花」の邦題が付いた映画版(69年)は、イングリッド・バーグマンとウォルター・マッソーの共演で知られている。吉田さんはマッソーと同様、若い女性と交際する中年の歯科医師役だ。「真剣に(交際相手に)入れ込んでいる姿を格好悪くお見せしたい(笑)」。コメディーでも、演技に臨む姿勢は変わらない。「わざとらしい動きや声に頼らず、ゲラゲラ笑わせたい。笑いの中、役の人間へのいとおしさも湧く…、そんな舞台にしたいです」

 今年デビュー30周年を迎える吉田さんは、来年1月、満50歳になる。「帰国後の『第2章』はそろそろおしまい。50代から『第3章』といきたいね」。新たな音楽活動の構想を練る半面、「俳優としても進化したい」と話す。「真に“演じない演技”と感じ入った笠智衆さんや宇野重吉さんたちは、まだまだはるか高みに居る存在。でも、少しでも近付けるよう、せりふや所作の一つ一つを大事にしていきます」

「カクタス・フラワー」
 11月10日(土)〜12月8日(土)、DDD青山クロスシアター(JR渋谷駅徒歩8分)で。全37公演。

 ニューヨークの歯科医師ジュリアンは、自身を「家庭を大事にする誠実な男性」と見せかけるため、既婚者を装い、若い女性トニと交際していた。ある日、トニから「奥さまに会いたい」と迫られたジュリアンは急きょ“堅物”の独身看護師ステファニーに妻の役を演じてほしいと頼み込む—。

 作:エイブ・バロウズ、上演台本・演出:板垣恭一、出演:水夏希、吉田栄作、増田有華、松本幸大、松尾伴内、青木さやか。

 全席指定8000円。問い合わせはatlas Tel.03・6279・0545

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