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韓国「光州市立交響楽団」率い、公演 指揮者・金洪才さん |
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ドイツやロシアの作曲家の作品を中心に演奏している光州市立交響楽団。「今後はフランスやアメリカの楽曲を増やして、もっと柔軟性を持たせたい」と金さんは話す |
日本で長年活動、経験生かして楽団育てる
日本を中心に交響楽団で40年指揮した経験を持つ金洪才(キム・ホンジェ)さん(63)が率いる韓国・光州市立交響楽団。同楽団が2016年に続いて来日、12日にパルテノン多摩で演奏会を開く。同演奏会では韓国の作曲家による楽曲のほか、ラフマニノフ、ドボルザークの作品も演奏する。日本のクラシックファンにとって、同楽団の特徴である「弦楽器の大陸的で太い響きや、重みと深みのある演奏」(金さん)が聞ける良い機会となりそうだ。
1954(昭和29)年、大阪・伊丹市で生まれた金さんは、指揮を小澤征爾らに師事。桐朋学園大学音楽学部を卒業後、78年に東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団特別演奏会でデビュー。その後、東京シティ・フィルや京都市交響楽団、広島交響楽団で指揮者を歴任するとともに、新日本フィルハーモニー交響楽団など全国の主要オーケストラで客演。日本内外の著名ソリストとの共演も多い。98年の長野パラリンピックでは開幕式典演奏の指揮を務めた。
そんな金さんは日本での長年の経験を生かし、00(平成12)年から力を注いでいるのが韓国の交響楽団育成だ。蔚山(ウルサン)市立交響楽団の音楽監督として音楽的レベルを大幅に高めた後、2年前から韓国広域市の一つ、光州市を拠点とする光州市立交響楽団の音楽監督兼常任指揮者に就任した。ちょうど光州市響ではチェロやコントラバスなどの首席奏者が(公務員の)定年を迎えていたため、金さんは海外から招いた韓国人演奏家に入れ替えるなど改革に着手した。
“新生”メンバーによる17年のチェコとオーストリアでの公演は好評を博したという。
韓国のクラシック音楽奏者について金さんはこう話す。「アメリカなどに留学したバイオリニストなど優れたソリストはたくさんいますが、国内の人材は乏しい」。特に、小中学校に吹奏楽部がほとんどないため木管や金管楽器奏者は育ちにくいという。ただ、最近は海外留学経験のない人がチャイコフスキー国際コンクールで優勝するなど、国内のレベルが向上している。
楽団運営にも尽力
光州市響は、市立となってから今年で42年目。それ以前から音楽家による民営楽団として活動していた経緯もあり、ソウル以外で活動する地方のオーケストラとしては古い歴史を持つ。
光州市響で金さんは演奏曲や演奏者(ソリスト)の選定はもちろん、運営委員会の一人として楽団運営にも関わっている。それだけに責任は重い。最も注力するのが演奏会の聴衆を増やすこと。そのためにプログラムはなるべく偏らないように選曲しているという。そんな改革が「実を結んできた」ためか、光州市で開く定期演奏会の来場者は倍増。また、今年4月開催された交響楽団フェスティバル(韓国全土から地方オーケストラ約20楽団が参加)では、韓国でベスト3のオーケストラとして評価された。
金さんが光州市響の改革に取り組んで2年。手応えを感じつつも、その成果がどう評価されるのか「緊張している」と話す。今回の日本公演では「韓国人が作曲した楽曲のほか、昨年、プラハとウィーンで演奏した経験を生かせるように2曲選曲しました」。技術面でも定評のある金さんのタクトで、光州市響がどんな音色を奏でるのか。今後の光州市響を占う試金石ともなりそうだ。 |
♪韓国・光州市立交響楽団 日本公演2018♪
12日(金)午後7時、パルテノン多摩(京王線多摩センター駅徒歩5分)大ホールで。
指揮:金洪才、ピアノ:近藤嘉宏。曲目は、キム・デソン「交響詩 民主」、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18」、ドボルザーク「交響曲 第8番 ト長調 作品88」。
全席指定S席4000円、A席3000円。問い合わせはミリオンコンサート協会 Tel.03・3501・5638 |
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