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  東京版 平成30年8月下旬号  
音楽の力 今は確信  ソプラノ歌手・森麻季さん

森さんは技巧の極みともいわれる「コロラトゥーラ」などを得意とするが、「音を速くいっぱい動かすコロラトゥーラは、あくまで喜びや、ひどい悲しみからくる狂乱を表現する手段」と話す。「高度な技術の会得と、音楽の本質の追究は異なるもの。技巧が突出してはいけないと考えています」
9月にリサイタル「愛と平和への祈りを込めて」
 軽やかで透明感のあるソプラノの美声を持つ森麻季(まき)さん(48)は今年も9月、自ら発案したリサイタル「愛と平和への祈りをこめて」のステージに立つ。2001年のアメリカ同時多発テロ直後、ワシントンで公演に臨み、「私自身が音楽の力に目を見開かされた」。シリーズ8回目の今回は、美しい旋律の西洋の歌曲を歌う。「つらさや悲しみで硬くなった心に、寄り添えるのは音楽。日々の暮らしに安らぎをもたらすのも音楽です」。その確信は今、全く揺るがない。

 スポットライトを浴びながら、森さんは不安感を抱いていた。「人を直接診る医者のような仕事ではない。何かあったとき、真っ先に排除されるのは芸術では…」。ところが、「9・11」の翌日、ワシントンの国立歌劇場でのオペラ公演は、予定通り幕を開けた。攻撃に遭った米国国防総省本庁舎(ペンタゴン)の程近く。至る所に武装警官が立つものものしい雰囲気でありながらも、2000席を超すホールはほぼ満席。終演後、観客は総立ちで拍手を送り、多くが楽屋にも押し掛けた。笑顔で「芸術が平和を呼ぶように…」。森さんは「むしろ私が、お客さまに勇気づけられた」と話す。「芸術の力は人の心を動かすと…、体が震える思いでした」

歌詞の“行間を読む
 武蔵野市に生まれた森さんは、高校の途中まではピアニスト志望。だが、音楽教師の勧めで声楽を習ったところ、「意外と声が出て…、何よりすごく楽しかった」と振り返る。東京藝術大学音楽学部声楽科に進み、同大大学院独唱専攻を修了。ミラノ(イタリア)、ミュンヘン(ドイツ)留学を経て、歌手としての活動を本格化させた。1998年には“三大テノール”の一人プラシド・ドミンゴが主宰する「プラシド・ドミンゴ世界オペラコンクール『オペラリア』」で3位入賞。それがきっかけとなり、米国デビューを果たしている。

 ただ、森さんは「若いころはステージごとの出来不出来や周りの評価に気を取られ過ぎていた」と苦笑する。「それを変えてくれたのは、やはり『9・11』直後の体験です」。納得のいくまで練習を重ねた上で、「今の自分の全てを出せばよいという心構えに、おのずからなれました」と笑みを見せる。高い技術に裏打ちされた歌唱は、幅広い人気を得て、2010年にはNHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」(第2部)のメインテーマ曲を歌うなど、その活躍はクラシック音楽の枠も超える。

「3・11」も意識
 「9・11」から10年後の11年9月、構想を温めてきた「愛と平和への祈りをこめて」リサイタルを初開催。準備を進めていた同年3月、東日本大震災が発生したこともあり、「ほぼ全曲を鎮魂歌にした」と語る。震災直後の電力使用制限のため、「真っ暗なホールで歌ったこともある」と言う森さんは言葉を継ぐ。「お客さまの顔は見えなかったけれど、心のこもった(感謝の)手紙を頂いて…、『3・11』でも音楽の力を実感しました」。「第2回」からは、愛の喜びの歌や平和に感謝する歌もプログラムに多く取り入れている。「音の美しさが研ぎ澄まされたクラシック音楽には、疲れた心に寄り添い、次第に染み入ってくる優しさがあります」

“愛唱CDも発表
 今回はリサイタル当日、森さん自身が愛する歌曲を収めたCDの発売が予定されていることもあり、収録曲を中心に披露する。「(聴こうと)意識を集中させなくても、ふっと耳に入ってくる作品ばかり。家に居るようなくつろいだ気持ちで耳を傾けていただければ…」

 40代の今も声質はほぼ変わらず、「まろやかさと深みが増してきた」とも評される。現在、9歳と5歳の男児の母親として、2人の成長を見守る森さんは“歌の重み”をかみ締める。「私もうれしいこと、つらいことを経験し、歌詞の行間を少しは読み取れるようになった気がします」。とはいえ、77歳の今も第一線で活躍するドミンゴの歌唱などに接すると、こうも思う。「私は今、ようやく“芸術の高み”に向かうスタート地点に立てた段階。歌手としても、人としてもまだまだ成長できると、自分自身に期待しています」

♪愛と平和への祈りをこめてVol.8 〜森麻季ソプラノ・リサイタル〜 ♪
 9月16日(日)午後2時、東京オペラシティコンサートホール(京王新線初台駅直結)で。

 予定曲:「アメイジング・グレイス」、シューベルト「夜と夢」、シューマン「献呈」、メンデルスゾーン「歌の翼に」、リスト「夢に来ませ」、サティ「ジュ・トゥ・ヴ」、ラフマニノフ「ヴォカリーズ」、ドナウディ「ああ、愛する人の」、カッチーニ「麗しのアマリッリ」ほか。出演:森麻季(ソプラノ)、山岸茂人(ピアノ)。

 全席指定S席6000円、A席5000円、B席4000円、C席3000円。65歳以上はS席5400円、A席4500円。

 申し込み・問い合わせはジャパン・アーツぴあ Tel.03・5774・3040

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