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  東京版 平成28年12月上旬号  
タンゴの“魂”、次世代につなぐ  バンドネオン奏者・中西伸一さん

プロの演奏に耐えうるバンドネオンは現在生産されておらず、演奏家らはかつての名工による逸品を世界中から探し求め、使用しているという。中西さんの“相棒”も、「アルゼンチンのプロ演奏家らが使い継いできたものを、西塔さんの手を経て譲ってもらいました。作られてから70年〜80年は経過した年代ものです」とほほ笑む
1月、若手を率い公演
 哀愁ある音色と歯切れの良いリズムが特徴のタンゴの花形楽器バンドネオン。演奏が難しいといわれる同楽器を自由自在に弾きこなし、日本屈指の使い手の一人とも呼ばれる中西伸一さん(58)は、日本タンゴ界の老舗楽団「西塔(さいとう)祐三とオルケスタ・ティピカ・パンパ(大草原の楽団)」のコンサートマスターだ。楽団の中心的存在として師の西塔祐三を支えるとともに、タンゴに魅せられ集まった若手らを指導しており、1月には若手で編成された楽団を率いコンサートを開く。「先達がともしたタンゴの灯をつなぎたい。技術だけではなく “魂を伝えていきたいですね」

 バンドネオン、ピアノ、バイオリン、コントラバスの4者で奏でるタンゴ。その魅力について中西さんは「明るいようでいて物悲しい旋律は演歌に通じます。だから日本人はタンゴが好きなんです」と分析する。

 そんなタンゴは昭和30年代、日本で大ブームを巻き起こしていた。ラジオではひっきりなしにタンゴの曲がかかり、バーやダンスホールでは多くの人々がタンゴの音楽に酔いしれた。そんなさなかの1955年、西塔辰之助・祐三兄弟により結成されたのが「オルケスタ・ティピカ・パンパ」。やがてブームが去り、多くの楽団が解散した中、唯一黄金時代から綿々と続く老舗楽団だ。同楽団の特徴は力強い古典タンゴを志向するダリエンソ・スタイル。

 「クラシックと融合したものもあり、タンゴは日本では高尚な音楽と思われています。ですが、本来は発祥地であるアルゼンチンの港や町場で、生活に疲れた人々の憂さを晴らすための音楽でした。それが迫力のある“4つ打ち”(ビート感のある4拍子)。タンゴのコラソン(corazon=“魂”=)にして基礎です」と中西さん。誰もが思い描くタンゴの原点を、あか抜けることなく泥臭く守り続けたからこそ、同楽団は約60年にわたり「純粋なタンゴを聴きたい」と思っている人たちに支えられてきたと語る。

 その迫力あるタンゴを体現するのがバンドネオンだ。だが演奏法は難解。アコーディオンのような蛇腹楽器だが、右手側に38個、左手側に33個のボタン型鍵盤があり、「蛇腹を押すのと引くのでも音階が変わるので、ボタンの倍の数の音階があります」と中西さん。さらに主流の「ディアトニック」式では、ボタンが音階に関係なく不規則に並ぶ。「悪魔が発明した楽器」といわれるゆえんだ。だが中西さんは、「音を出すだけなら簡単です」と自在に弾きこなす。

 中西さんがタンゴ、そしてバンドネオンに出合ったのは大学時代のタンゴサークル。「実はバイオリンを始めたいと思い、勧誘されるまま先輩について行ったのですが、あてがわれたのがバンドネオンでした」と苦笑する。

哀愁の音色に心酔
 だが、そのメランコリックな哀愁の音色に感じるものがあった中西さん。すぐにバンドネオン演奏に没頭した。「タンゴを聴き、演奏すると心が満たされ、自分のいるべき場所にいるんだという安心感が生まれました」

 また、同サークルはダンスホールで「オルケスタ・ティピカ・パンパ」をサポートしていた。その関係で、卒業後も同楽団に出入りしているうちに西塔祐三に師事、正式メンバーとなったという。

 以来、バンドネオン一筋で約40年。今や中西さんが西塔祐三に次ぐ楽団ナンバー2。同楽団の若手メンバーで編成された「エストレジャス・デ・パンパ(大草原の星)」の指導を任されるまでに。「伝統芸能の継承に似たところはありますね(笑)。ただしほぼ音大卒のメンバーばかりで、演奏技術はさすがです。でも“魂”がなければタンゴになりません。そこを教えるのが難しいですね」

 またコンサートでの演奏について中西さんは、いかに感動する音を観客に届けることができるか日々研さんを積んでいると語りつつも、「コンサートでは観客と演奏者の別なく、“参加者”として来てほしいです。同じ音楽が好きな者同士、同じ空間で一緒にタンゴを感じたいですね!」


写真撮影:Kumi Watanabe
♪アルゼンチン・タンゴコンサート〜世界のタンゴ
 1月20日(金)午後1時半開演、横浜みなとみらいホール(みなとみらい線みなとみらい駅徒歩3分)小ホールで。
 若手楽団、エストレジャス・デ・パンパによるタンゴコンサート。出演はバンドネオン:中西伸一、川波幸恵、鈴木崇朗、ピアノ:松永裕平、バイオリン:瀬尾鮎子、吉田篤貴、コントラバス:小栗亮太。
 予定曲:「パリのカナロ」「エル・チョクロ」「ラ・クンパルシータ」ほか。
 全席指定5400円。申し込み・問い合わせはインターナショナル・カルチャー Tel.03・3402・2171

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