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  東京版 平成28年6月下旬号  
私は音楽の“案内人”  音楽家・青島広志さん

指揮棒を手に、さまざまなポーズを取る青島さん。旺盛なサービス精神で 広く親しまれている。「音楽を楽しむことは誰でもできます」
7月、「バレエ音楽ってステキ!」に出演
 音楽の楽しさをお伝えします—。軽妙なトークでおなじみの音楽家・青島広志(ひろし)さん(61)は、クラシック音楽の「コンシェルジュ(案内人・総合世話係)」を自任する。「人前でお話をすることは、私には『聖職』のように思えるの」。7月29日の公演「青島広志のバレエ音楽ってステキ!」を前に声を弾ませる。「バレエとオーケストラ、両方を目と耳で満喫できるお得な公演。バレエへのいろんな疑問にも、どんどんお答えします」

 指揮にトーク、ピアノ伴奏—。青島さんは音楽会で全国を巡り、多くのテレビ・ラジオ番組に出演する。女性的な言葉遣いは、「私の地なの(笑)」。病気のため小学校低学年までに2度の手術。それまでは満足に歩けず、駒込の自宅で過ごす時間が長かった。幼いころ、着せられた服は、青島さんが生まれる前に亡くなった姉の遺品。4歳から通い始めたピアノ教室では、レッスンの待ち時間中、教室にあった少女漫画雑誌を読みふけった。現在、「少女漫画研究家」でもあり、絵も描く青島さんは「マルチアーティスト」といわれる。「幼いころの体験は、私の性格や人生に大きく影響したみたい」

 ピアノを習う前は、自宅のオルガンが「遊び道具」。楽譜の見方を知らないまま、「祖母に『ラジオから流れてくる曲を弾いて』と言われ、鍵盤をたたきながら旋律を覚えた」と回想する。東京藝術大音楽学部では作曲を専攻。同大大学院修士課程を首席で修了した後は、母校の非常勤講師を務め、テレビの音楽番組の出演依頼を受けた。

 共演した黒柳徹子とは初対面で意気投合。「2人ともすごい早口。私の話術の師匠格は黒柳さんです」と笑みを見せる。「徹子と気まぐれコンチェルト」(NHK総合)にたびたび出演し、小学4年生向けの音楽番組「ゆかいなコンサート」(NHK教育)では、8年にわたって先生役。“おばあちゃん子”だった青島さんは「祖母は『ド・レ・ミ…』を知らなかったし、両親の音楽の素養も人並み以上ではなかった」と明かす。「知識がない人とも音楽の楽しさを分かち合いたい。その思いは私の基本です」。鑑賞の楽しさを膨らませる“話の引き出し”は実に豊富だ。名曲誕生の背景、美しいフレーズを生んだ作曲家の苦心…。エッセーなどの著書も数多い。「いい加減なことは書けない。図書館でよく調べものをします」

「指揮とお話」
 作曲家としては、「黄金の国」(原作:遠藤周作)や「火の鳥」(同:手塚治虫)といったオペラ、合唱曲「マザーグースの歌」など、約200曲を手掛けている。ただ、「バレエ音楽には踊りを引き立てる工夫が必要。私には作曲の機会がなかった」と率直だ。2013年から毎年夏、Bunkamuraオーチャードホールで開催されている「青島広志のバレエ音楽ってステキ!」では、「指揮とお話」の2役を兼ねる。日本を代表するバレエダンサーの一人・熊川哲也の総合演出とあって、「私自身が華やかな気分になりながら、すごく勉強させていただいています」。毎回あえて、踊り手に素朴な問いを発する。「例えば『トーシューズって痛くないの?』とかね」。ある少女漫画で、敵役が主人公のトーシューズに画びょうを仕込んだ場面を挙げ、「本当にあり得る話?」と尋ねたことも。「答えはもちろん『そんなことはありません』でした(笑)」

 通常のバレエ公演では、観客から見えないステージ下に居るオーケストラが、ステージ上に陣取るのも特徴だ。「踊りと演奏を見比べられるチャンスです」。第4回となる7月29日の公演でも、チャイコフスキーの「眠れる森の美女」など、有名な曲をバレエ付きで上演する。「多くの人が『バレエ音楽』と意識せずに親しんでいる曲も、実はけっこうあるのです」

年間300回以上
 青島さんは通常のコンサートに、学校や福祉施設への「出張公演」を加えれば、「年間の公演数は300を超すのでは…」と言う。東京藝術大講師の仕事を休むことはなく、「ほとんど日帰り」と苦笑するが、できる限り出演依頼を断らない。「お客さまのさまざまな要望に応えるホテルのコンシェルジュのような存在は音楽の世界でも大切。私にとってそれは天職のようにも思えるの」


2015年の公演 © Shunki Ogawa
♪「青島広志のバレエ音楽ってステキ!」夏休みスペシャルコンサート2016
 7月29日(金)、Bunkamura(JR渋谷駅徒歩7分)オーチャードホールで。午前11時半開演、午後3時半開演の2公演。

 予定曲:ドリーブ「コッペリアより『コッペリウス博士とスワニルダ』」、ドビュッシー「小組曲より『バレエ』」、チャイコフスキー「眠れる森の美女より『青い鳥のグラン・パ・ド・ドゥ』」、「くるみ割り人形より『ロシア人形の踊り』『スペイン人形の踊り』『第2幕のパ・ド・ドゥ』」、「エフゲニー・オネーギンより『ポロネーズ』」ほか。ほぼ半分はバレエ付き。

 総合演出:熊川哲也、指揮・お話:青島広志、助手:宮尾俊太郎、管弦楽:シアター オーケストラ トーキョー、バレエ:Kバレエ カンパニー。

 全席指定S席6600円、A席4300円。Bunkamuraチケットセンター Tel.03・3477・9999

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