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  東京版 平成28年6月上旬号  
人間の“弱さ”を表現  俳優・三浦友和さん

「親なら誰しも、最初はとにかく元気に育ってほしいと願う。でもだんだん欲が出てくるんですよね(笑)」と終始穏やかな笑顔で子育てを振り返った三浦さん。劇中では頑固で抑圧的な父親を演じている
映画「葛城事件」で死刑囚の父親役
 もし、自分の子どもが無差別殺人を犯したとしたら—。こんな重いテーマを真正面から描いた映画「葛城事件」が18日から上映される。この作品で、死刑囚の父親役を演じたのは三浦友和さん(64)。難解な役柄だったが、本人は「やりたくて仕方なかった」と出演依頼を快諾した。「『わが家だって一歩間違えたらこうなっていたかもしれない』。そんなことを思いながら演じました。見るのに多少の勇気は必要な作品ですが(笑)、難しく考えないでご覧になっていただきたい。これは、人間の弱い部分を描いたブラックコメディーなんです」

 デビューから44年、最近では「沈まぬ太陽」「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」「64—ロクヨン—」など、映画を中心に精力的に活躍する三浦友和さん。役柄の大きさに関係なく、クオリティーの高い作品に出演する姿勢を貫いている。「(さまざまな役に挑戦できる)そういう年齢になったんだな、という感慨深いものがあります」とはにかむ

。  今回三浦さんが演じたのは、多くの作品で見せる爽やかなイメージから一転、死刑囚の父親で金物店の主人である葛城清役だ。子どもは2人。長男はサラリーマンになったが、次男の稔は何をやっても長続きせず引きこもり状態で、家族間には常に微妙な緊張感がある。子どもがまだ小さく、念願のマイホームを建てたころは、思い描いていた理想の家庭の形を保っていた。しかし清の思いの強さは気付かないうちに家族を抑圧しており、稔を中心に周囲を追い詰めていく…。

「対岸の火事ではない」
 本作はかつて多くの犠牲者を出した附属池田小事件や秋葉原通り魔事件など、いくつかの凶悪な事件を丹念にリサーチした上で、新たに作られた映画だ。ただ監督が表現したかったのは事件の特殊さではなく、こういった加害者を生み出す社会の土壌が私たちの日常のすぐ隣にある、ということだという。事件は「対岸の火事ではない」のだ。

 「振り返ってみればうちだってどこかで歯車が一つ狂っていればこの一家のようになる可能性がある、と脚本を読んだ時に思いましたね。たまたまそうならなかっただけかもしれない」と三浦さん。結婚した後、2人の息子に恵まれた三浦家は、くしくも葛城家と同じ家族構成だ。三浦家では、すでに子どもは独立し、長男はミュージシャン、次男は俳優としてそれぞれの道を歩んでいる。

 「うちの子育てが特別うまくいったわけじゃないけれど、根性の曲がった人間には育たなかったし、とりあえずいい大人になってくれたなと思っています。でもそれは僕の手柄でもなんでもなく全て子どもたちの力だし、あとは妻や友人のおかげ、偶然の力でしょうね」

 しかし、同年代の男として、父親として、葛城清という男の「弱さ」を理解できるという。「僕も弱いですから」。そもそも、理解できない役は引き受けない。「それらしい形だけにしかならないから」だ。

 「どんな親も最初は元気に育ってくれるだけでいいと願うのに、だんだん欲が出てきてしまう。彼は自分の果たせなかったことを全部無理やり息子に託してしまったんですね。子どもに愛情はあるのに表現できず、間違った方向に行ってしまう—。本当に不器用な人だと思います」

 本作が万人に受け入れられやすいものではないのは重々承知だ。それでも脚本の完成度が非常に高かったため、どうしても挑戦してみたかったという。

 「タイトルに『事件』って付いてますしねぇ(笑)。ほかに楽しそうな映画があれば、皆さんそっちに行っちゃうかな? そこを何とか、と祈っています(笑)。内容は重いですが、社会派でもないし、特別なメッセージもないんです。確かに僕たちの仕事の中には、『ちょっと考えてみませんか』という役目もありますが、この映画に関してはそうではなく、ブラックコメディーだと思って楽しんでください」


©2016「葛城事件」製作委員会
「葛城事件」 日本映画
 金物店の主人である葛城清は、美しい妻・伸子との間に2人の息子をもうけ、思い描いた理想の家庭を営んでいた。しかし、ある日、伸子は清への不満が爆発して、次男の稔を連れて家出をする。また長男の保はリストラされたことを誰にも言い出せずにいた。そして稔が無差別殺傷事件を起こし、死刑囚に。すると清の前に、死刑反対の立場から稔と獄中結婚したという女が現れる。壮絶な、ある家族の物語。

 監督:赤堀雅秋、出演:三浦友和、南果歩、新井浩文、若葉竜也、田中麗奈ほか。120分。
 18日(土)から新宿バルト9(Tel.03・5369・4955)ほかで上映。

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