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  東京版 平成28年2月下旬号  
「有限の命」見つめ…“看取り情報”届ける  ノンフィクションライター・斉藤弘子さん

斉藤さんは夫の死去後、夫が経営していた会社の代表取締役も務める。事務所の机に向かい、「彼は仕事の面でも助け合えた、かけがえのないパートナーでした」。自身の“癒やしの作業”を語る。「(パートナーが)亡くなった日、予定していた仕事をこなし、翌日以降も悲しみを感じる間もないほど、仕事をした。それでも夜、一人になると泣きましたね。そいう時期を経て、今は悲しみの質が変化してきたように思います」
新著「家族が死ぬまでにするべきこと」
 「生と死」や「心」を見つめるノンフィクションライター斉藤弘子さん(61)は昨春、病に倒れた夫を亡くした。“看取り(みとり)体験”を振り返る。「(医療・福祉の)知識がある程度あっても、驚き、途方に暮れることは多かった」。昨年末発行の新著は「家族が死ぬまでにするべきこと」。医療や福祉、葬送、相続といった“看取り情報”を、自らの実体験と共に記している。「パートナー(夫)との別れは、私自身の人生をより深く考える契機になった」。穏やかな笑みを見せ言葉を継ぐ。「命の有限性の直視は、より良い生き方につながります」

 「この薬が効かなければ、治療の手だてはありません」。肺炎を患った夫を診た医師は、斉藤さんにこう告げた。「パートナーとは親子ほども年が離れていた。高齢者にとって、肺炎は命を脅かす病気です」。ほぼ半年間に及んだ病室での寝泊まり。やせ衰え、痰(たん)の吸引に苦しむ夫に寄り添い、涙を拭いながら葬儀の準備もした。祭壇は、夫が愛した軽井沢の新緑のイメージ。葬儀に関する本を共著で出したこともある斉藤さんは、その時の胸中を明かす。「5年ほど前、母をがんで亡くした時、せき立てられるように葬儀をした。それを繰り返したくはなかったのです」

45歳で死生学専攻
 神奈川県川崎市に生まれた斉藤さんは、大学卒業後、都内の出版社に勤務。20代後半で別の出版社・編集プロダクションの創立に参加し、その後、フリーのライター・編集者として独立した。ピュリツァー賞を受賞した写真家・酒井淑夫、ニューズウィーク日本版編集長を務めた沢田博ら「一流の人たちとの仕事が私の糧になった」と回想する。インドシナ3国のボートピープル、エイズのまん延、日系アメリカ人の老後、テレビ番組と連携した雑誌の料理コーナー…。さまざまな取材・執筆を重ねる中、「生涯を懸けて追究するテーマを考えた」。45歳の時、東洋英和女学院大学大学院に入学し、死生学を専攻した。「死を見つめることで、より良い生き方を考えるのが死生学。奥が深くて、人間が絶対避けられない問題と向き合っています」。共著を含め、著書は30冊を超す。「器用に生きられない人たち 『心の病』克服のレシピ」(中公新書ラクレ)、「自殺したい人に寄り添って」(三一書房)、「私たちが流した涙 記憶に残る最期」(ぶんか社文庫)…。“命と心の現場”に足を運び、そこに生きる人たちの肉声をすくい取った著作が多い。

 そして、夫の病室で書いた近著は「人は死んだらどうなるのか?」(言視舎)。古今東西の医学や哲学、宗教関係の膨大な書物・資料を読み込んだ斉藤さんは、よどみない。「日本では、死を語ることがまだまだタブー視されている。死に“ふた”をすると、死は余計に『怖いもの』になってしまうのに…」

「共通項」の知識
 そんな斉藤さんも、夫の発病後は「不安と混乱の連続でした」。心ない言葉に憤り、「主治医交代」を求めたことも。夫が小康状態を得た際、在宅療養の可能性を探ったが、「訪問看護の回数と料金を聞き、あきらめざるを得なかった」と唇をかむ。診療報酬などの関係から、ほぼ例外なく3カ月以内に転院を迫られる現実は知っていた。「ただ、制度を詳しく知っていれば、もう少し長く大学病院に居られたかも。そうすれば、納得のいく治療を受けられたのでは…」。新著「家族が死ぬまでにするべきこと」(彩流社)には、医療・福祉の制度、実情のうち、「多くの人にとって『共通項』と思える知識を織り込みました」。葬送、相続の情報も記し、死後の事務手続きのチェックリストも載せた。「残された人は悲しみの真っただ中、お金やお寺との交渉といった問題にも直面する」。悲嘆の感情からの回復も重視する。「悲嘆から目を背けなければ、人はおのずから有意義な生き方を求めるようになります」

「人生の完成の形」
 斉藤さんは「人の死は本来、人生の完成の形では…」と話す。心に描く光景は、大切な人たちへの感謝を胸にした穏やかな旅立ち。「『自分の人生、まあ良かったかな』と思えるくらいでいいのです」とほほ笑む。ただ、数多くの取材や自身の体験を通して知った実態は違う。「医療や福祉の課題はあまりにも多い。現実には“寂しい光景”が広がっています」

 子どものいない斉藤さんは「私自身、残された人生のあり方を、これまで以上に真剣に考えるようになった」と言う。都内で不動産賃貸・管理を主とする会社を経営していた夫の会社を継いだこともあり、新たな構想を膨らませる。「人と人が自立した上で、最期まで支え合う場の創造にも関わりたい。生きているうちに形にして、『私の人生も、まあ良かったよ』と、笑ってパートナーのところに行きたいです」

「家族が死ぬまでにするべきこと」 斉藤弘子著
 (株)彩流社(Tel.03・3234・5931)から発行。1620円。

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