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  東京版 平成27年8月下旬号  
「タンゴは私の人生」  歌手・香坂優さん

「ブエノスアイレスには、研ぎ澄まされた大人の文化、なれ合いではない個人のアートが息づいている」と話す香坂さん。歌、演奏、ダンス…。誰もが身近にタンゴを楽しみ、気分を盛り上げるという。「大衆にとって、タンゴは生きるために必要なものという位置付け。アーティストに対しても、『売れている』という基準ではなく、『感動を与えてくれる存在』としてリスペクトしています。大衆は、生きることを楽しむすべをよく知っているんです」
絶望の中、喜びを見いだす歌
 歌手の香坂優(こうさか・ゆう)さん(65)は41歳の時、師・淡谷のり子の勧めでアルゼンチンタンゴの世界を知った。「私の原点は悲しみ。絶望の中から喜びを見つけるタンゴは、私の人生そのものでした」。本場ブエノスアイレスで武者修行を積み、その情熱的な歌唱はアルゼンチンでも認められたほど。「歌手は60歳から」と話した恩師の言葉を胸に今、香坂さんは円熟期の目標を掲げる。「タンゴ、そして65歳で日本の歌への挑戦。熟年世代に大人の音楽を届けたい」

 名古屋市出身。5人兄妹の末っ子に生まれた香坂さんは若くして4人の兄と死別。その喪失体験が人生の根底にある。中でも15歳で経験した次兄の死は心の傷に。「肺がんと分かってから3カ月、22歳の若さでした。私の高校時代は悲しみ以外、何も残っていない」

 そんな香坂さんを支えたのが歌だ。幼少から美空ひばりの歌が得意で、3歳で出演した「子どものど自慢」で優勝。高校卒業後、地元・東海地方でタレント司会者として活躍し、テレビ・ラジオなど週7本のレギュラー番組を持つ売れっ子に。

 25歳で結婚、上京し一人娘を授かった香坂さん。離婚を機に独学でシャンソン歌手の道へ進み、「生活のため、コマーシャルソングも歌った」。転機は91年。ステージ共演を機に師事した淡谷のり子に歌唱指導を受けていると、タンゴへの転向を勧められた。「おなかの底から声を出したいんじゃない? あなたの歌声は強いからタンゴに向いている。タンゴをやらないなら、歌手を辞めて娘のためにも再婚しなさい」

 3カ月後、淡谷の代わりにアルゼンチンの音楽祭に出演した香坂さん。「声量、情感、表現力など全てに圧倒された」。タンゴの壁の高さ、現実の生活…。帰国後も悩み続けること1年半、ついに本格挑戦を決意。中学生になった娘に思いを打ち明けると、「私は大丈夫。ママのしたいようにして」と背中を押された。

巨匠に学んだ“魂
 93年以降、“地球の裏側”への単身留学を重ねた香坂さん。入国審査で引っ掛かりブエノスアイレスの税関で「カミニート」を歌えば、生活費を使い果たし1ペソ(当時約100円)だけ握りしめて帰国したことも。「行くたびに挫折したけれど、タンゴの世界の人々に引き込まれた」

 現地ではタンゴ界の巨匠マリアーノ・モーレスに歌声を気に入られた。「君の声はアルトではなく、タンゴでいう“金の声”メゾ・ソプラノだ。観客はファルセットではなく、力強く張った地声でこそ盛り上がり感動する」。的確な助言に加え、新人に対しては珍しい歌唱指導も。「あまりに熱心で怒号も飛び交うので、彼の奥さまが心配で何度も様子を見に来たほど。無名の日本人にタンゴの情熱を示してくれた」と香坂さん。

 94年、ブエノスアイレスでタンゴ歌手デビュー。南米全土に生放送されるテレビ番組「土曜の夜に」や各地のショーに出演し、その情熱的な歌いぶりから「キモノを脱いだタンゴ歌手」と評判に。モーレス作曲で、失恋した女性の感情を歌った「海にのぞみて」は十八番だ。「日本の歌なら4畳半で涙ポロリと歌うところ、“自分の思い”が主役となるタンゴでは悲しみほど大きく歌い上げる。喜怒哀楽をストレートに表現できる」と香坂さん。「私の原点は思春期の絶望。ヨーロッパからの移民が奏でるタンゴも同じで、深い悲しみと苦しみが前提にあって、生があるだけで幸せと考える。『悲しみの中から喜びや希望を見つけるのが人生』と歌うタンゴは私の生き方にぴったり合った」

 98年、アルゼンチン政府から招かれた日亜修好100周年記念公演で歌うなど、両国の文化交流にも貢献。国賓として来日したメネム大統領(当時)の歓迎晩さん会では当時の小渕首相から香坂さんのCDが招待客全員に手渡されたというエピソードも。その後、タンゴプロデューサーとしても活動し、日本でのタンゴ普及に尽力してきた香坂さん。08年には、自らの総合プロデュース・主演による「情炎 源氏物語」を10年がかりで実現。日本の伝統芸能の能と新内に、タンゴを融合したオリジナル公演は、ブエノスアイレスでも上演され、好評を博した。

“初心”の師が目標
 《あかあかと燃える歌の道》。生前、淡谷がよく色紙に書いていた言葉が香坂さんの座右の銘だ。「歌手は何千回同じ曲を歌っても初めて歌う時の気持ちを忘れてはいけない。慣れすぎた歌では感動は呼べない」「人の気持ち、歌が分かるのは60歳以降よ」…。そんな師の教えを糧に、いつも学びの姿勢を貫いてきた香坂さん。家族に感謝し、これからを恩返しの時期と考える。

 「65歳にして初心」と位置付けるのが日本語の歌だ。「声を張り感情を歌い上げるタンゴとは対極の表現。いかにしみじみと聞かせられるか、情感を表現できるか」。8月末のリサイタルではタンゴに加え、淡谷のり子や美空ひばりなどの名曲もたっぷり歌う。10月にはシャンソンの女王・越路吹雪のヒット曲をカバーしたCDも発売予定だ。「今後、タンゴとの二本柱で歌うことで両方の良さ、深さを学びたい。熟年世代へ大人の音楽を届けたい」

CD「愛の讃歌〜越路吹雪を歌う〜」
 ことし没後35年を迎えた越路吹雪のヒット曲を、香坂優さんが歌うカバーアルバム。「愛の讃歌」「ラストダンスは私に」「ろくでなし」「サン・トワ・マミー」など10曲をカバーしたほか、オリジナル1曲を収録。10月7日(水)発売。3000円。キングレコード(制作担当・宮田)Tel.03・3945・2123

南米全土に生放送される人気テレビ番組「土曜の夜に」に出演した時の香坂優さん
♪香坂優リサイタル2015♪
 8月31日(月)午後6時半開演、Bunkamuraシアターコクーン(JR渋谷駅徒歩7分)で。

 全席指定6500円。インターナショナル・カルチャー Tel.03・3402・2171

【香坂優タンゴサイト】 http://tango.main.jp/

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