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  東京版 平成26年8月下旬号  
戦争体験、漫画で伝える  漫画家・森田拳次さん

森田さんは自身の引き揚げ体験をストーリー漫画「ぼくの満洲 上・下」(晩成書房)に描いている。「戦争体験を伝えるために漫画家になったと思うとしっくりくる。天命だと思って描いています」
「八月十五日の会」代表務める
 「丸出だめ夫」などのギャグ漫画で人気を博した森田拳次さん(75)は引き揚げ経験者だ。「戦後、中国から引き揚げてきた。戦争体験を伝えるために漫画家になった」。自身の原点を見つめ、同じく“引き揚げ漫画家”の故赤塚不二夫やちばてつやらを誘い、少年期の戦争体験を漫画に託してきた。現在、漫画家たちの「八月十五日の会」代表を務める森田さん。漫画を通して戦争をなくし、平和を願うメッセージを伝えている。

 東京生まれの森田さんは、生後3カ月で旧満州(中国東北部)の奉天(瀋陽)へ渡った。父は軍関係の袋物を製造。母は生まれたばかりの弟の世話で忙しく、森田さんは日本人住宅地の外に出て中国人の子たちとよく遊んだ。

 6歳の夏、穏やかな生活は一変した。「8月15日の敗戦を境に友達が消えた。僕の4つ下の弟を買おうとする中国人もいた」と森田さん。初めて人が殺される瞬間を見たのは、日本兵の処刑だった。

 1946年、民間人の引き揚げが開始。森田さん一家も荷物一つで奉天から汽車に乗った。行く先は日本への帰還船が出る葫蘆(ころ)島。現地召集でシベリア送りにされた父は途中で脱走し、命からがらの合流だった。

 「屋根のない貨物用の無蓋(むがい)車に人がすし詰め状態で、落ちないか不安だった。汽車は予告なしに何度も停車した。用を足そうと降りたところで突然出発し、置き去りにされた人も。僕も我慢できず、父親に腰を押さえてもらって立ち小便をした。真っ赤な太陽と延々と続く地平線に向かって—」


引き揚げ当時と現在の森田さんを、自身のキャラクターが囲んだ絵
NYから「引き揚げ」
 7歳で山口県仙崎に引き揚げ、東京へたどり着いた森田さん。小学5年で新聞配達をしながら漫画を投稿。高校2年でデビューし、「丸出だめ夫」「ロボタン」などで赤塚不二夫と並ぶギャグ漫画の売れっ子に。しかし70年に少年漫画をやめ、ひとコマでその瞬間を描く一枚漫画修業のためニューヨークへ。

 日本人として初めて「LOOK」誌などに採用されたが、ビザの関係で開いた書店が7日間で倒産し、2度目の“引き揚げ”。帰国後も一枚漫画を世界各国の漫画展に応募し「賞金男」として活躍した。

 「記憶が風化する前に描いて残したい」。戦後50年の95年、森田さんは中国からの引き揚げ漫画家に呼び掛けた。「フイチンさん」の故上田トシコや「釣りバカ日誌」の北見けんいち、「ダメおやじ」の古谷三敏ら9人の漫画家が集い、「中国引揚げ漫画家の会」が誕生した。中国からの引き揚げの苦労を語り合うのは初めて。赤塚とちばてつやが奉天の同じ小学校に通っていたことが分かれば、上田は引き揚げ当日の朝に父を失ったことを明かした。それぞれが死と紙一重の連続で、「満州での生活と引き揚げ体験があったから漫画家になった」と一致した。

 9人にはギャグやユーモア漫画という共通点も。広大な地平線を見て育ったおおらかさ—。赤塚がそれを「メーファーズ」という中国語で表現したと森田さんは回想する。「現実を受け入れるより仕方がないという意味。まさに『これでいいのだ』。赤塚さんのところは赤子の妹が日本に着いた30分後、息を引き取った。それでも、『母ちゃんに孝行したな。かわいい時に死んでよかった』と涙をこらえていた。彼もつらいものを見たのでしょう」

中国各地で漫画展
 9人は体験集「ボクの満州」(亜紀書房)を発表し、98年には京都府の舞鶴引揚記念館で引き揚げ漫画展を開催。森田さんはさらに「8月15日」を漫画家が文章と漫画で描く漫画展も発案した。戦争体験者が8月15日の記憶を文章にまとめ、漫画家がその絵を描くという試み。高倉健や黒柳徹子、山田洋次らも参加し03年8月、大田区の後援で実現した。今では120人以上の会員が「八月十五日の会」を支えている。

 漫画展は中国にも渡り、09年8月の南京の抗日記念館をはじめ、北京や瀋陽でも開催された。南京では会期が11カ月に延長され、250万人近くの人が見たという。「この漫画は、少年少女時代を思い浮かべて描いた絵日記のようなもの。正直に描いているし、創意はないから中国の人たちもちゃんと見てくれた」と森田さん。「B29の絵を見て『中国では日本の爆撃にあったけれど、日本人も同じような被害を受けていたとは知らなかった』と話す若者もいました」

 現在は「100年後の8月15日」をテーマに、若手や中国人の漫画家にも参加を呼び掛ける。酒とたばこ、「寅さん」を愛する75歳。ちゃめっ気とユーモアのある漫画で、平和の輪を広げていく。

「もう10年もすれば…  消え行く戦争の記憶—漫画家たちの証言」
 赤塚不二夫、ちばてつや、森田拳次ら「中国引揚げ漫画家の会」のメンバーが自身の引き揚げ体験を描く。
(今人舎・1944円)

(一財)日本漫画事務局八月十五日の会は、巡回展や書籍の販売を行っている。Tel.03・3843・5618
http://815.surpara.com/

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