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  東京版 平成26年6月下旬号  
「戦争の犠牲はいつも市民」  報道写真家・石川文洋さん

65歳で日本縦断徒歩の旅、68歳の時には四国遍路の旅を敢行した石川さんは、紛争地の現実をかみ締める。「日本を歩いて再確認したのは、平和ということ。縦長の地形は気候や文化の変化に富んでいる。過疎高齢化が進む村、年間自殺者3万人…。決していい状況とはいえないけれど、それでも戦争をしている国や地域と比べれば平和で豊か。あえて比較して伝えたいんです」
軌跡がドキュメンタリー映画に
 ベトナム戦争従軍取材から50年—。報道写真家の石川文洋(ぶんよう)さん(76)はベトナムをはじめ、アフガニスタンや各地の紛争地、故郷・沖縄の現実を世界に伝えてきた。そんな石川さんの軌跡をたどったドキュメンタリー映画「石川文洋を旅する」が21日から上映される。「戦争は市民を犠牲にする。それを伝えていくことが僕の残された人生です」

 長野県諏訪市に暮らして20年。「沖縄に生まれ、なぜこんな寒い所に住んでいるのか」。石川さんは笑う。映画は、75歳になった石川さんの日常に約1年密着。ベトナム、沖縄をともに旅し、その生い立ちと青春を見つめる。

 4歳の時、千葉県船橋市へ移住した石川さん。父は小説や映画の脚本を書く作家で、監督を務めた「護佐丸誠忠録」は戦前の首里城などが記録された貴重な映像だ。ただ、石川さんは昔から機械が苦手で、学生時代は映画評論家を夢見た。両国高校定時制に進み、昼は毎日新聞社で給仕として働いた。19歳で毎日映画社に入社し、ニュース映画のカメラマン助手を担当。1960年の安保闘争を連日撮影するなど、活気ある現場で経験を積んだ。

 ところが64年、石川さんは退職し世界一周無銭旅行を計画する。「世界を見たかった」。日本を脱出し、オランダ船で香港に渡った。ニュース撮影の技術を買われて香港のスタジオで働いていた同年8月、(米軍がベトナム戦争へ本格介入する契機になった)トンキン湾事件が勃発。取材でベトナム共和国(南ベトナム)の首都サイゴン(現ホーチミン)へ。

 翌65年1月から4年間サイゴンで暮らし、南ベトナム政府軍・米軍の同行取材を行った石川さん。転機は従軍してすぐのこと。日本テレビのスタッフとドキュメンタリー「南ベトナム海兵大隊戦記」を制作した。米軍海兵隊の作戦を、軍の中隊長を中心に描いた同作が日本国内で放送されると、当時の官房長官から「映像が残酷すぎる」と注文が付き続編の放送が中止に。石川さんは慣れないスチール写真に転向しながら取材を継続し、「ベトナム最前線 カメラ・ルポ 戦争と兵士と民衆」(67)などの本を出版した。

沖縄を重ねる
 初めての戦争取材だったベトナム。沖縄戦を経験した祖父母を知る石川さんは「どちらも地上戦。ベトナムと沖縄を重ねていた」と複雑な心境を振り返る。戦場では兵士の中に残酷さと優しさを見た。「捕虜にした人間を殴ったり、指や首を切り落としたり。だけど、そんな残虐行為をする兵士たちが従軍カメラマンの僕にはとても親切で、根は優しいことも知った。戦場では常に『殺す・殺される』という関係の中にあるんです」。石川さんは、人間性を変える戦場の“過酷な日常”を身をもって体験した。

 同じベトナム人が二分され、憎しみ合う構図。実の兄弟が敵味方として殺し合わざるえない状況。「人は、立場が変われば憎しみ合うのか。戦争の中で人間は変わってしまうのか。大人の戦争に子どもが巻き込まれ、死んだり傷ついたり…。ただ、僕もその場で銃を手にすれば、撃ち続けていたに違いない」。石川さんは長年の戦争取材で確信した持論をこう語る。「状況が兵士をつくる。軍隊がいるから戦争になるんです」

体験を語り継ぐ
 帰国後、朝日新聞社に入社(69〜84)以降も、故郷の沖縄をはじめ、爆撃下の北ベトナムや75年のベトナム戦争終結などを撮影してきた石川さん。「報道カメラマンの役目は、第三者に伝えること。一人でも多くの人に事実を知らせたい」。社会への関心が戦場へ駆り立てる原動力だ。「格好よく言えば、読者の代表と思ってやってきた」

 写真展や講演などで戦争の実態を伝える活動は続く。先日、銀座ニコンサロンで開かれた自身の写真展では「戦争と平和・ベトナムの50年」を紹介した。

 任務を遂行する兵士、傷つき捕虜となるベトナム人、大人の戦争を見つめる少女…。軍隊側から撮った戦争の中にさまざまな立場が見て取れる。一方、入国が困難だった北ベトナムでも取材し、水路工事に励む若者や爆撃下の通学路を行く子どもたちのたくましい表情を捉えた。戦後の復興や、戦時下で撮影した家族のその後を追った写真のほか、枯葉剤・不発弾に今も苦しむ庶民の姿など戦争の後遺症も石川さんは伝える。「カメラマンがあれほど長期にわたって最前線で撮影できたのは後にも先にもベトナム戦争だけ。でも戦争の構図は同じで、犠牲になるのは民間人。それを伝えていくのが僕の役目かな」

 そして中高年世代にも呼び掛ける。「今、日本に欠けているのは日本の戦争がどうであったかという総括をすること。相手の側から考える視点が大事です。すると現代の戦争も、ベトナム戦争もつながってくると思う。まずは、戦争を体験した人たちが、若い人に語る機会をつくることから始めたいですね」


©大宮映像製作所
「石川文洋を旅する」 日本映画
 企画・監督:大宮浩一。109分。21日(土)から、ポレポレ東中野(Tel.03・3371・0088)で上映。

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