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  東京版 平成26年4月下旬号  
80代「奇跡の歌声」を披露  ソプラノ歌手のリナ・バスタさん

6月、6度目の来日をするリナさんは「私も(一緒に来日する)息子も日本が大好き」と柔和な笑みを見せる。「憩いの家」や来日公演で知り合った日本人の友人や弟子も多い。「礼儀正しくて気持ちの良い人ばかりですね」
6月に来日公演
 50代で再デビュー、80代の今もソプラノの美声—。イタリア人歌手のリナ・バスタさん(84)は「奇跡の歌声」と、世界の聴衆を驚嘆させる。30代半ばで音楽活動を控え専業主婦になったが、音楽家のための高齢者施設「憩いの家」入所を機に、ステージに復帰した。6月にはリサイタルのため来日し、オペラの名曲を中心に歌う。リナさんはほほ笑む。「歌い続けていれば年を重ねた今も、日々新たな発見があります」

 イタリアの作曲家ベルディが100年余り前、ミラノに設立した「憩いの家」。老人ホームのイメージを覆す入所者の音楽活動や暮らしぶりは昨年、日本公開された劇映画「カルテット! 人生のオペラハウス」(ダスティン・ホフマン監督)のモデルになった。リナさんの「憩いの家」入所は30年ほど前。施設の入所年齢よりはるかに若かったが、34歳年上の夫がいたため、夫婦そろって居を移した。その数年後、夫は死去。周囲の強い勧めを受け、ほぼ20年ぶりの活動再開を決意したリナさんは振り返る。「『憩いの家』では多くの人との出会いに恵まれました」

 イタリアのシチリア島に生まれたリナさんは14歳の時、ミラノの音楽院に入学。16歳でソプラノ歌手としてデビューし、オペラを中心に活躍した。ベルディの「椿姫」や「リゴレット」で主要な役を務めた充実の日々。第2次世界大戦のさなかも戦火を縫うようにしてステージに立った。

 しかし、31歳で結婚した後、指揮者だった夫から、歌手を続けることを強硬に反対された。離婚も考えたが、「結婚から4年ほどして、泣く泣く私が折れた」と明かす。夫が演奏旅行で留守の際、ひそかにコンサートに出演した以外は、人前で歌うことはなくなった。だが、「家でこっそり練習を続けていた」。そんな母親を見て育った一人息子はピアニストになり、6月の来日公演でも伴奏を務める。「息子と一緒に音楽ができるのは幸せ。夫と違って『女は家』と言わないしね(笑)」

正しい発声法で
 「憩いの家」では長く「最若手」。第一線を退いた指揮者や歌手、演奏家たちとの交流が、くすぶっていたリナさんの“情熱の火”をかき立てた。軽やかで透明感がある上に、しっとりした印象も醸すソプラノの美声…。30代以降、喉を酷使しなかったことが幸いしたともいわれるが、「正しい発声法を身に付け、それを維持していれば、おばあちゃんになっても結構歌えるのよ」と笑みを見せる。

 「憩いの家」で催されるコンサートは一般の人も聞けるとあって、リナさんの「奇跡の歌声」はまたたく間に評判に。やがて施設の外でも歌うようになり、国外からも出演依頼が相次いだ。リナさんは結婚前と再デビュー後を比べ、「テクニック自体は変えていない」と話す。ただ、「人生の経験を重ねた今だからこそ、分かることもある」。作者が歌詞や楽譜、オペラの台本に込めた思いを「ひもとけるようになった」と言い表す。新たな発想と工夫により磨かれた表現力、構成力には、「熟成の境地」との称賛も。現在は後進の指導にも力を注ぐとあって、「毎日、時間が足りないくらい」と快活に笑う。

日本人弟子も出演
 1998年の初来日は、「憩いの家」敷地にあるベルディの墓を訪れた日本人が、たまたまレッスン中のリナさんの歌声を聞いたことがきっかけになった。6月は6度目の来日で、「日本のお寺や古い町並みをまた訪ねたい」。一方、今回は「日本では初めての本格的なリサイタル」と言うだけに、「親しみやすいナポリの民謡もお聞かせしたい」と意気込む。リナさんの教えを受けた日本人歌手2人もステージに迎えるとあって、「芸術の感動は国境と世代を超えて共有できると体感していただければ…」。

 リナさんは「『憩いの家』に入らなくても、音楽は続けていたはず」と話す一方、「『憩いの家』がなければ、私の晩年は違う形になっていた」と明言する。愛する音楽に打ち込める今、「再び羽ばたいているという喜びが私を包んでいる」。加齢による衰えを軽視しないが、前向きな姿勢は揺るぎない。「(歌手として)進歩と成長が実感できれば、自分を年寄りと思う必要はありません」


ことし2月にも来日し、「なんでも!クラシック2014」公演で歌ったリナ・バスタさん。指揮者として共演した青島広志は「年齢の差も言葉の壁も感じなかった」と目を見張った=東京芸術劇場
♪軌跡の歌声 リナ・ヴァスタ
ヴェルディ音楽家の家から生まれた感動!

 6月8日(日)午後2時開演、東京オペラシティコンサートホール(京王新線初台駅直結)で。

 ベルディ「運命の力」「椿姫」、プッチーニ「修道女アンジェリカ」など、オペラの名作中のアリアを熱唱。イタリア歌曲やナポリ民謡も。出演:リナ・バスタ(ソプラノ)、上江隼人(バリトン)、笛田博昭(テノール)、ビンチェンツォ・パスクァリエッロ(ピアノ)。

 全席指定5800円。光藍社 Tel.050・3776・6184

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