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  東京版 平成24年9月上旬号  
過去に胃がん克服、声が出る限り現役  演歌歌手/渥美二郎さん

大病を経験し、「1日を深く味わう大切さに気づいた」と話す渥美さん。「怒った顔は周囲を嫌な気持ちにさせるので、“人間の環境破壊”。同じ時間が過ぎていくなら笑顔で過ごしたいですね」
「ステージが救ってくれた」
 足立区出身の演歌歌手・渥美二郎さん(60)が8月、還暦を迎えた。独立3年目の37歳の時、スキルス性胃がんの告知を受け、命の終わりを覚悟した。胃と脾臓(ひぞう)を全摘出し、その後も再発や転移の恐怖と闘いながらリハビリの日々。「ステージで歌うことで免疫力が高まり、自分の命を救ってくれた」。歌える感動をかみしめながら取り戻した歌声—。明るいステージをモットーに、「声が出なくなった時が定年」と笑顔で話す。


 古賀政男の音楽に慣れ親しんだ渥美さんは、16歳から酒場をギターで歌い歩く「演歌師」としてプロの道に入った。3曲歌って200円という時代。「8年間の演歌師生活で持ち歌は1000曲に。大卒初任給2〜3万円の頃、月15万円は稼いでいました」

 遠藤実に師事し1976年、CBSソニーから歌手デビュー。第3弾の「夢追い酒」(78年)が累計280万枚の大ヒットに。演歌で初めて「ザ・ベストテン」(TBS)に出演したほか、79年の暮れには日本有線大賞グランプリをはじめ数々の賞を受賞、NHK紅白歌合戦へ初出場も果たした。その後も、13人が競作する中で売り上げ1位を記録した「釜山港へ帰れ」(83年)、2万6000人を動員した国技館での10周年記念ファイナル公演(86年)など充実の日々を送ってきた。

“つかえ”に苦しむ
 転機は89年9月。渥美さんは胃に違和感を覚えた。「食欲がない。胃潰瘍かな」。11月からは新宿コマ劇場で恒例の1カ月公演。万全で挑むため検査を受けると、待っていたのはがんの告知だった。

 「ほぼ末期に近かった」と振り返る渥美さんの表情がくもる。医師の宣告に「もう助からないと思った。現実なのか夢なのか体がしびれる感覚でした」。6時間に及ぶ手術は無事に済んだものの、多くの不安が頭をよぎった。闘病を支えたのは、年明けに予定していた初めての海外公演。低迷していた時期に激励してくれたのが日系人も多く住むハワイの人々だった。「長くは生きられない。最後かもしれない」と医師を説得、すぐに退院しリハビリを開始した。

 胃がない食生活。課題は体重を落とさないために食べる量を保つことだったという。1日5回の食事に1時間以上を費やした。栄養ドリンクも飲み続け、食後は腸を動かすためウオーキングも。

「つかえ」や逆流、口に入ったものが直接腸にいくことから起きる不調の数々…。「食べたそばから吐き出してしまい、その分また補給しなければいけない。つかえの繰り返しは本当に苦しかった」

 復帰後初のハワイ公演には日本から約100人、現地のファン約1400人が駆け付けた。2時間半のコンサートに「まだ歌える」と自信を手にした渥美さん。「1、2曲目は我慢したけど、最後に泣かせてもらいました」

23年間、転移なし
 傷口の痛み、食べ過ぎによる腹痛…。術後10年近くは、手術による“後遺症”が日常生活の障害に。それでも月に数回、少しずつステージに立ち、体を慣らせてきた。思うように出なかった歌声も回復し、「60歳の今、声の響きや抜きなどは昔と全く同じ」と笑う。

 腹式呼吸、気持ちの高揚—。渥美さんはステージの力をかみしめる。「健康であることが当たり前ではないと知り、『今日が最後』のつもりで歌ってきた。感動の度合いが深いので免疫力が上がったのでは…。術後23年間、1回も再発や転移がなく、医師も驚いています」

 ステージでは、自らの闘病経験も伝える。握手会をすれば、5人に1人は同じように病気をした人やその家族だとか。「歌を聞いた人から『元気が出た』と言われるのが何よりうれしい。僕は医者ではないけれど、病気の人たちの役に立っている、と思うと自分にとっても励みになります」

60歳からの「仕事」
 95年には歌手仲間と「人仁(にんじん)の会」を発足させ、阪神・淡路大震災チャリティーコンサートを毎年開催してきた。当時、生まれた子が高校を卒業するまでを目標にしてきたが、昨年の東日本大震災を受け、「今後もできる限り継続したい」と渥美さん。全てを贈呈してきた純益金は18回で4665万円を超える。

 人仁の会の活動に加え、自ら弾くギターで歌うアルバム「演歌師」の発表が、人生後半のライフワークだ。渥美さんの原点ともいえる“流し”の雰囲気が味わえる同作は今夏、第2弾が発売されたばかり。「ギター1本ではあらが見えやすい。声だけで勝負するから難しいけれど、そんな仕事ができる体を取り戻せたことがうれしい」。健康維持のため、スクワットとストレッチを日課にする。特に3年前から始めた「真向法」という健康体操で、今では180度の開脚ができるほど柔軟に。

 渥美さんは今、歌の深みを知る。歌詞の裏にある感情や表情が分かる年齢になり、今までより曲のテンポを落とし、味わいながら歌っているという。例えば、「夢追い酒」もその一つ。「飲みたくなる気持ちが今なら分かる。この味が“夢追い酒”か。だからヒットしたんだな」とにこり。

 「声が出る限り定年のない職業。好きな歌をまた歌わせてもらえる今、定年を少しずつ延長し、いい歌を届けていきたいです」

「演歌師 PART2」
 昨年発売されたデビュー35周年記念アルバム「演歌師PART1」に続く第2弾。北千住で流しとして音楽活動を始めて45周年の渥美二郎が、本人のギター1本のみによる弾き語りで昭和の名曲や自身のヒット曲、リクエスト人気曲を歌う。「影を慕いて」「おんなの宿」「上海帰りのリル」「なみだの花」など全18曲を収録。3000円(送料別)。

 問い合わせ・注文は渥美プロモーション TEL.03・3226・1726(平日午前11時〜午後6時)
 2013年1月31日(木)には、草加市文化会館(東武伊勢崎線松原団地駅徒歩5分)で「新春!渥美二郎コンサート」(昼夜2回公演、SS席6000円)が予定されている。

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