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  東京版 平成23年11月下旬号  
津軽弁で“笑い”探し  伊奈かっぺいさん

「12月のライブは、世間話がこんなに楽しいものとは知らなかったと思いたい方々への一夜です。酒のない居酒屋とでも思っていただければ分かりやすいかも」とかっぺいさん
「方言詩人」は多芸多才
 津軽弁を駆使した語り口と、ユーモアあふれるステージ—。青森市在住の“方言詩人”伊奈かっぺいさん(本名:佐藤元伸=64)が12月、下北沢でトークライブを開く。日常生活に題材をとったペーソスある独特の笑いの世界を創り上げてきたかっぺいさん。「方言やなまりを使って、いかに遊ぶかが大事」。言葉の多様性を信じ、暮らしの中に“小さな笑い”を探している。

 詩人、歌手、俳優、ラジオパーソナリティー、イラストレーター…。多彩な顔を持つかっぺいさんは回想する。「6畳一間の暇つぶしだった日記。それが今に通じる原点です」

 弘前市出身。学生時代、永六輔出演のテレビ番組「夢であいましょう」(1961〜66年)の題字に憧れたかっぺいさん。「通信教育でレタリング(デザイン文字)を習い、吉永小百合という名前を何百回と書いた。『永』の字には、とめ、はね、はらいの全ての要素がある。もちろん、サユリストでもあります」

 地元の短大卒業後、青森放送に就職が決まったのもこの特技のおかげ。「デザイン文字で書いた履歴書を送ると面白いからと“文字通り”採用されました」

 しかし、陽気な人柄とは対照的に、かっぺいさんの青春時代は孤独の日々。両親を10代で亡くし、姉の嫁ぎ先での居候生活を経て、20歳の時に青森市に移ってからは長く一人暮らしが続いた。

 「毎日が退屈で仕方ない」という中で寂しさを埋めたのが日記だ。「毎日必ず、楽しい話だけを書く」と定めた独自のルール。とはいえ、目の前の現実は暗いことばかり。「仕事も手につかず毎晩、明るい話を創作することで頭がいっぱい。それだけ寂しくてつらかったんでしょうね」

自費出版が転機に
 転機は74年。日記に書きためた“小さな笑い”を方言詩集「消ゴムでかいた落書き」として自費出版することに。当時は石油ショックの真っただ中。紙不足という世情も頭になく、満期になった預金を使って発行にこぎつけたかっぺいさん。その後、ひょんなことからラジオで詩集を朗読すると、津軽弁の語り口が受けてレコード発売が決定。東北地方を中心にタレント活動も始め、会社員と二足のわらじを履くことに。

 86年には日本テレビ系「かっぺい&アッコのおかしな二人」などで活躍の場を全国に拡大。都内でも渋谷ジァン・ジァンで11年間定期的に津軽弁トークコンサートを開き、幅広い世代の人気を集めたかっぺいさん。「基が日記でこんなに売れたのはアンネと私くらい」と笑わせる。

 人といかに違うことを考えるか、自分の頭からひねり出すか—。それがかっぺいさんの昔からのこだわりだ。「1つの言葉があれば正面だけでなく横や斜めからも見たくなる。曲がりたくなって、言葉のあみだくじをしちゃう」と今では自身の癖も笑いのネタに。

 「方言の保存、普及を唱える気はない」。かっぺいさんはきっぱり話す。「今、この方言を使って遊べる人がいるなら一緒に楽しみたい」と言葉遊びの立場を強調する。方言を手段に選ぶのは、「自由に表現できるから。標準語は便利だけど専門家が多いので」。

 ジャズシンガー・伊藤君子と一緒に津軽弁のジャズを発表したり、古典文学の「枕草子」「方丈記」を津軽弁に翻訳したり…。07年の定年退職以降、かっぺいさんのユニークな活動はさらに進む。「古典作品は著作権料がかからないので助かります。古文を解釈して現代語(標準語)に置き換え、それを踏まえて津軽弁に訳しているというささやかな自負がある(笑)。今後は百人一首も全て津軽弁で訳したい」と意欲的だ。

 「昔はなまりが笑われたり、『方言を直せ』と言われたりした時代もあった」とかっぺいさん。自身も会社員時代、コマーシャル制作などでの苦い体験を持つだけに、「最近はテレビでもいろいろな方言が紹介されるし、伝統芸能の世界でも地方出身者が活躍している。自分も方言で一人前と言われるようになった」とほほ笑む。

 12月には、厳しい状況でも「笑いとユーモア」を忘れない東北人のたくましさを織り込んだトークライブに臨む。「3・11」東日本大震災直後のライブでは「何もかも笑い飛ばすのは難しい」と無力感を味わったかっぺいさん。「老いの自覚」にもため息が出るという。それでも前に進むための言葉をひねり出す。

 「人間、過去を振り返るようになればおしまいかもしれないと思いながらも、振り返れるおかしな過去があったことに感謝。60歳を過ぎると若者にはない40年前、50年前の思い出があります。そういう強がりを言わないとやっていけないよ」


イラスト:伊奈かっぺい
「伊奈かっぺいライブ〜その四〜 …すこ〜し訛って ずう〜っと訛って…」
 12月16日(金)午後7時開演、北沢タウンホール(小田急線下北沢駅徒歩5分)で。
 出演:伊奈かっぺい、竹田裕美子(ピアノ)、山上進(津軽三味線・尺八・横笛)。
 全席指定、前売り3500円(当日3800円)。問い合わせは北沢タウンホール TEL.03・5478・8006

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