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「近所付き合いはけっこうあります。毎年花見をしますし、太極拳も一緒にやったり。自宅のある川崎は都会とカントリー(田舎)の間という落ち着きがあって好きですね」とルー大柴さん |
映画「WAYA!~宇宙一のおせっかい大作戦~」出演
30代で売れっ子タレントの仲間入りを果たし、2000年に入り再ブレークして世間を驚かせた俳優のルー大柴さん(57)。現在、上映中の映画「WAYA!〜宇宙一のおせっかい大作戦〜」にも旅芸人役で出演中だ。「演じることが好き」という気持ちは一貫して変わらないが、「エンターテイナーとして自分が表現するものを楽しんでいただけるのなら何でもやってみたい」と、幅広いジャンルで活動している。60歳を目前にする今、大切にしているのは「いくつになっても挑戦する気持ち」だと話す。
映画「WAYA!〜宇宙一のおせっかい大作戦〜」でルーさんが演じるのは、商店街の重鎮、シゲさんのかつての親友で現在は旅芸人の男だ。映画の舞台は、名古屋駅と名古屋城を結ぶ、円頓寺(えんどうじ)商店街。出店者同士は古いも新しいも仲が良い。少々おせっかいが過ぎるのもご愛嬌(あいきょう)で、商店街の青年団長・勘太郎は30年間商店街の世話をしてきたシゲさんにサプライズイベントを計画する。若いころ真剣に役者を目指していたシゲさんは、当時の芝居仲間だった親友と仲たがいをし、35年来一度も会っていない。そこで2人を本番の舞台上で仲直りさせようというのだ。
ルーさん自身も「幼稚園に通うころから演じることが好きだった」と話す。
「実家は印刷店をやっていてその後を継がなきゃと言われて育ったのですが、中学を卒業したら旅芸人になる、と宣言しまして。困った母がなんと映画評論家の淀川長治さんに相談の手紙を書いちゃったんです。まさか来ると思わなかった返事が来て、『これからの役者は学がないとだめだ、気持ちは分かるけれど高校に行きなさい』と書いてあった。それで高校に行って演劇部に入りました。今にしてみれば笑い話ですけれど、あれこそ『わや』。母のおせっかい以外の何物でもない」と苦笑する。
映画のタイトルにもなっている「わや」とは名古屋などの方言で物事を駄目にすること。作中では、昔ながらの商店街の中で「わや」から再生する人、応援する人のドラマが繰り広げられている。
「演じる情熱、変わらない」
30代半ばでブレークし、40代では全テレビ局で番組を持っていたルーさんは、その後舞台に活動の場を移行。50代に入ってマネジャーが代わり、ひと回り年下の彼の勧めでブログ(インターネット上の公開日記)を始める。それが再ブレークのきっかけになった。
「ブログを書くのは慣れるまで大変でした。何しろそれまでパソコンに触ったこともなかったので。最初は日本語だけで書いていたんですが、3カ月ぐらいすると自然にカタカナ英語がまじり始めて、“ルー語”の文体になったんです」。30代でブレークした時に一世を風靡(ふうび)した「トゥギャザーしようぜ!」「藪(やぶ)からスティック(棒)」などのルー語が若者に受け入れられ一躍話題を呼び、再びテレビに引っ張りだことなった。ルー語を多用したブログは見た目に反して落ち着いた内容。俳優として、また夫として時には父として語る温かい言葉がファンの心をつかんだのだ。
旅芸人に憧れた頃から現在まで演じることへの情熱は変わっていない。「自分ではない別の人を演じることで、この人はいったいどんな感覚で生きているんだろう、と探るのが好き」と目を輝かせる。その一方で、50代に入ってから「エンターテイナーとして、何でも挑戦したい」という心境になったという。特に最近はエコロジー問題に関心が強く、イベントなどに出席することも多い。
「若い時はとにかく世に出なきゃ、印象づけなきゃいけないという、わらをもつかむ思いで、右も左も分からずまっしぐらに突き進んでいました。でも今は、見てくださる方に喜んでいただけることがうれしいです」
心境の変化は私生活でも。数年前から茶道を始め、先日は茶人デビューも果たした。
「いくつになっても挑戦する気持ちを持たないといけないですね。まだ50代ですが、年を取るごとに新しいことを始めるのは面倒くさいなぁと躊躇(ちゅうちょ)します。でもやればできる。やって駄目だったら諦めがつく、そう言い聞かせて挑戦しています」。穏やかな目で語った。 |
(C) WAYA! LLP |
「WAYA!〜宇宙一のおせっかい大作戦〜」 日本映画
監督・脚本:古波津陽、出演:井戸田潤、矢崎滋、ルー大柴ほか。101分。シネマート新宿(TEL.03・5369・2831)で上映中。 |
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