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定年時代
 
  東京版 平成23年10月下旬号  
「浅草に恩返し」 青春の地で座長公演  長門勇さん

長門さんの夢は自身の半生を基にした舞台「東京浅草物語」の上演だという。「浅草フランス座、『三匹の侍』、芸能界でのあれこれ…。面白い芝居になると思いますよ」
「生きていればこそ」
 テレビ時代劇「三匹の侍」や金田一耕助シリーズなどでおなじみの長門勇さん(79)が20日(木)、青春の地・浅草で座長芝居に挑む。浅草の劇場で過ごした10年が芝居人生の原点だという。芸を競った仲間の多くが鬼籍に入る中、「生きていればこそ」と話す。「浅草で学んだ人情味。恩返し公演になれば」

 戦後すぐの浅草—。ストリップと軽演劇で華やかな時代、長門さんは同地にたどり着いた。岡山県倉敷市出身。高校を中退し1948年、旅回り一座の高尾光子劇団に入団したのがきっかけ。「浅草小劇場に住み込みで働き、ロック座、フランス座と移って浅草で10年。いつもトップを狙っていた」と振り返る。

 「当初、芝居はストリップのおまけ」。そんな客の反応も、浅草のコメディアンにとっては芸を磨く絶好の場に。思い出の舞台は八波むと志とコンビを組んだ「お軽勘平」という長門さん。「帝国劇場でも演じた」と笑みを浮かべ、「コントが面白くなった時代。客の目当ても逆転してきました」。

 その後、テレビ時代の到来で軽演劇の役者が注目されるようになると、渥美清や谷幹一、関敬六など同僚が次々とテレビの世界へ。「生計を立てることを考えて劇場から離れられず出遅れた」。そう語る長門さんも、五社英雄監督に抜てきされ、テレビ時代劇「三匹の侍」に浪人役で登場。人懐っこくとぼけた雰囲気ながら、実はやり術の達人—。「おえりゃあせんのう」の口癖とともに一躍全国区の人気に。

良き好敵手を糧に
 「気が短くてケンカっ早い。大の負けず嫌い」。柔らかい物腰とは対照的に長門さんはそう言い切る。とはいえ、手を上げたり、感情をまき散らしたりはしない。ライバルの存在を意識し、心の内で闘志を燃やしてきた。「渥美も八波も一匹おおかみ。師もなく気楽だったし“色”が違ったから良かったのかも」

 内に秘めた思いを発奮させ、芸で昇華—。そんな長門さんの信念は中高年へのエールにも通じる。「先の時間が限られているのだから、他人ともめ事を起こしてもつまらない。嫌なことがあっても反対されても“こらえる”。そして敵を味方にするように運んでいくことが大事。いい意味で心から仲間にできるよう、1人でも味方を増やすように自分の心を修業しなさいよ。この年齢になって自分も少し分かるようになった(笑)」

「降板しない」
 「人間生きてなきゃダメですね。浅草時代の仲間はみんな死んじゃった」とどこか寂しそうな長門さん。年間約半分は舞台に立つという現在、「健康が何より」としみじみ話す。

 「『降板』という言葉が一番嫌い」。自身も一度だけ舞台を降りた経験を持つ。2年前、本番直前の稽古の最中に脳梗塞で倒れた時は、「楽しみな舞台だけに悔しかった。病室でもせりふは全て頭に入っていたのに足元がふらついて点滴、静養。二度とあんな思いはしたくない」と話す姿に当時の無念がよみがえる。幸いにも症状は軽く、その後、「仲間の舞台を手伝いに九州など地方を回ったのがいいリハビリになった」。

 降板の悔しさも今では舞台に上がる活力だ。20日(木)には浅草公会堂で、劇団にんげん座公演「六区あさくさ大通り」に出演する。最盛期には30以上の劇場や映画館が軒を連ねた浅草六区。吉原の灯が消え、テレビ時代の到来、関西ストリップの進出…。「今は物見遊山のお客さんが多いかな」と長門さん。変わりゆく青春の地に切なさもあるのだろうか、思いをはせ、「浅草のためだったら」と出演を決めた。

 舞台では「自分の弟子のような存在」と見込んだ歌手、伊東剣との共演など楽しみもあるようだ。「本当にいい声なのになぜか売れない。人が良すぎるからかなぁ。芝居でいじめて育てたい。歌が良くて立ち回りも芝居もできれば、鬼に金棒でしょう」と笑う。

 「詩情、人情味豊かな芝居が好き」と話す長門さん。大好きな映画「シミキンの浅草の坊ちゃん」(清水金一主演、47年)の中から、「浅草の唄」(サトウ・ハチロー作詞)の一節を口ずさむ。

 「♪強いばかりが男じゃないと いつか教えてくれた人〜♪」

 そして柔らかな口調で続ける。「定年(時代)ということは『老け込むな。これからだぞ』という意味ですね」

劇団にんげん座公演 「六区あさくさ大通り」
 20日(木)、浅草公会堂(地下鉄浅草駅徒歩5分)で。昼の部正午、夜の部午後5時開演。

 劇団にんげん座「浅草シリーズ」第9弾。作・演出:飯田一雄、共同演出:日高仁、出演:長門勇、熊澤南水、伊東剣ほか。

 全席指定5000円。にんげん座チケットセンター TEL.03・3589・8479

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