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  東京版 平成23年6月上旬号  
満月の光で地球の神秘写す  月光写真家/石川賢治さん

銀閣寺や桂離宮などの建造物や「源氏物語」など、日本には月との因縁が深い文化が残る。「大自然の中では満月の光は意外に明るいんです。影も足元の花の色も分かるし、肉眼で風景が分かる。地平線からは満天の星が広がるという世界です」と石川さん
 太陽光のわずか46万5000分の1—。満月の光だけで撮影する“月光写真家”石川賢治さん(66)の写真展「月光浴」が、調布市で開催中だ。「地球上の宇宙実感」という衝撃から四半世紀。石川さんは満月の光が照らす神秘的なブルーの世界を求め、旅を続ける。「太古から続く地球のむき出しの美しさを味わって」。夜の神秘を写し出す満月の旅へ—。

「むき出しの美しさ味わって」
 太陽の下とは異なる海底や海の表情。また世界遺産のマヤ遺跡、先住ハワイアンの女性レネと赤くマグマが昇るハワイ島…。写真展では、満月に照らし出された神々しい地球の姿が紹介されている。

 少し暗めのブルーの光—。世界規模でロケを続ける石川さんは都会を離れ、大自然の中で満月が見せる“地球の色”を追う。くしくも3月の東日本大震災以降、停電で暗闇の夜を経験した人もいたはず。「文明に邪魔されない、太古から続く地球の美しさを見ることで、ひとときの安らぎになれば」と石川さん。「昔は、夜は暗かったし東京にも月見台があった。小学校の時、月明かりがつくる自分の影を踏みながら帰った思い出があります」

太陽光と同じ発色
 福岡県出身の石川さんは日大芸術学部写真学科卒業後、万博のポスターなどを撮る老舗の広告会社に入社。1976年のフリーランス転身後も、広告カメラマンとして時代の最先端で活躍してきた。

 転機は84年夏、ハワイのカウアイ島。月明かりの下、1人でホテル近くの海まで行くとそのあまりの明るさに驚かされた。「海と水平線といくつかの雲。海面を1羽の鳥が飛んだ瞬間、『月光で撮れるかも』とインスピレーションを受けた」

 同年秋、サイパンでそのひらめきが思いがけず実を結んだ。夜のジャングルで見つけた白色のジンジャーのつぼみ。「影でも写るかな」。遊び半分でポラロイドカメラを向けると、「太陽光と同じ発色で写っていた」。

“地球上の宇宙”に感動
 写真史150年の中でも前例がなく、写真界の常識を越えていた月明かりでの撮影。「地球上に存在する宇宙を実感した」という経験に体が震えた石川さん。「その衝撃を1枚の作品にしたい」と月光写真の道のりが始まった。

 「一期一会です」。勘と手探りの日々を重ねた石川さんは、月光写真の撮影条件の厳しさをかみ締める。29.5日に1回という満月の周期、季節による軌道(月の高さ)の違いはもちろん、国や地域で異なる湿度、大気の状態なども計算しなければいけない。いくら狙いを定めても花の開花時季とタイミングが合わなかったり、撮影時、曇りや雨になれば撮れなくなる。ヒマラヤの霊峰を撮りにトラが出る危険地帯を登ったこともあれば、屋久島の杉の原生林の撮影では、光を遮っていた周囲の落葉樹が葉を落とす冬に再訪して撮ったことも。「条件は自然任せ。『(チャンスを)いただいて撮影している』という感覚です」

夜の暗さを楽しむ
 太陽光の46万5000分の1という世界では、「露出計は動かないし、オートフォーカスも使えない。全てがマニュアル撮影」と石川さん。「出たとこ勝負の世界」と笑うように撮影者の腕が試される。「今日は(自分の手のひらの)この線まで見える明るさかな」。手相を頼りに露出をはかり、暗闇の中、被写体との距離を自身の目で推測するのが石川さん流だ。普段から高速道路の車間距離確認板や、近所での花の撮影を通し、距離感や露出調整など感覚の訓練を続けている。

 小学校の教科書などでも使用される石川さんの月光写真。写真展には世代を問わず、女性客が多い。「癒やされる」という声以上に石川さんが印象を受けるのが、「懐かしい」という定年世代の感想。戦後、焼け野原の日本で育っただけに、「今の時代、こんなに明るいと夜空を見上げる習慣もなくなってしまう。ニューヨークやパリでも暗い所はある。防犯の意味もあると思うけど、夜は暗くていいんじゃないかな」。

月光浴のススメ
 マダガスカル、ガラパゴス、サハラ砂漠…。石川さんはここ10年、「最初の衝撃1枚」をテーマに新作を撮り続けている。来年か再来年を目標に作品を発表する構想だ。

 「月の周期で生活するようになった」。月光写真がライフワークになってからの変化を話す。「大自然の中のリズムはどの国も同じで、ゆっくりと時間が流れている。人間が持っている本来のリズムです」。1カ月ほどの撮影旅行に行くと考え方にもゆとりが生まれてくるという。「あれもこれもから、1日に何か一つできればいいと思えるように。それが心地いいんです」

 人工光が少ない原っぱや浜辺…。石川さんは身近な場所での月光浴を勧める。「夜、少しでも自然の中にいて、薄暗く青い月の光を浴びると、想像以上の明るさにびっくりするはず。風や水の音、鳥や虫の鳴き声も聞こえてきて癒やされる。インスピレーションが豊かになるし、定年世代なら懐かしい記憶を思い出すことも。昔見た色を孫にも教えてあげてください」。懐中電灯と敷物が月光浴の必需品だ。満月の夜、家族で語らう安らぎの時間にしてみては—。


「ブラックサンドビーチ」 (ハワイ島)
石川賢治 月光写真展
「月光浴」 〜海とマヤ遺跡・神秘の地球〜

 19日(日)まで、調布市文化会館たづくり(京王線調布駅徒歩3分)1階展示室で。入場無料。事業課 TEL.042・441・6150

石川賢治さんのホームページ http://gekkouyoku.com

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