定年時代
定年時代はアクティブなシニア世代の情報紙
ASA(朝日新聞販売所)からお届けしています
会社概要 媒体資料 送稿マニュアル
広告のお申し込み イベント お問い合わせ
個人情報保護方針 サイトマップ  
HP更新日 → 新聞発行日の翌々日(水曜日)
新聞発行日 → 第1月曜日:東京/埼玉/千葉/横浜・川崎/茨城
  第3月曜日:東京
トップ 東京版 埼玉版 千葉版 横浜・川崎版 茨城 高齢者施設 プレゼント
旅行 | おすすめ特選ツアー | 趣味 | 相談 |  | 仕事 | 学ぶ | これは便利これは楽々 | リンク | インフォメーション
定年時代
 
  東京版 平成22年1月上旬号  
広く深く…落語の極みへ  落語家/桂文珍さん

慌て者で思いこみの激しい2人が噺(はなし)の軸となる古典落語「粗忽長屋」が「最近のお気に入り」と桂文珍さん。「全体の雰囲気に流されやすい日本人の弱点」が笑いの中に浮かび上がるよう、独自の脚色を加えている
 
   
 古典の妙味、新作のインパクト─。“分かりやすい爆笑落語”が持ち味の桂文珍さん(61)の芸域は幅広い。テレビ出演を含め、「若いころから、いろいろやってきた結果」と言うが、「今はシンプルな高座に戻っている」。そうした変化を「進化か劣化か分からない」と笑いながらも、「年とともに、芸は“深化”している」と手応えを語る。4月には国立劇場10日連続独演会。「2010年は『広くて深い』落語の極みへ、また一歩進みたい」と意気込む。

笑いの“癒やし力”
 1995(平成7)年1月、文珍さんは、神戸の自宅で阪神・淡路大震災に遭った。家屋は倒壊し、「死んでもおかしくなかった」。つぶれた家をバックに家族で写真を撮った。「なぜか笑顔で写っていた。笑わなければ、やっていられなかった」。震災から15年たつが、文珍さんの記憶は生々しい。「嘆きのどん底に行った時、底を打つのは笑いの“癒やし力”では…」。ストレスの多い現代は「みんな、笑いを渇望しているように思える」と話す。

 兵庫県篠山市に生まれ、ラジオの落語を聞いて育った文珍さん。大学の落語研究会の活動で桂三枝と出会い、三枝の師匠・桂文枝(5代目)に弟子入りした。

これからが“熟れ時”
 次々新作を発表したほか、高座にシンセサイザーを持ち込むなど、「若いころは勢いがあって無鉄砲な面もあった」と回想する。テレビ番組でも売れっ子になり、一時期は十数本のレギュラー番組を抱えた。さまざまな芸人との共演を通し「あらゆる状況に対応する野戦型の芸を身に付けた」と笑う。

 「それでも落語は自分の大本という考えは揺るがなかった」。映像文化の功罪を知り尽くす文珍さんは、映像にはない落語の魅力を「自由自在にイメージの翼を広げられる楽しさ」と言い表す。言葉や所作、表情だけで観客の想像を膨らませる噺(はなし)の世界。「50代からが収穫の時期」と、長年話芸を磨く落語を農耕に例える。「60代、70代と年齢を重ねる中、さらに芸を深めることができる」。例えば想像で演じていた年配の「だんなさん」が、60代の今は自然体でできる。古典落語の中には「人の心の奥に入っていくような優れたものが多い」。古典で「いいプレー(噺)ができた」と感じた時は「お客さんの笑顔の奥に、明治・江戸時代が見えてくる気がする」と表情を緩める。「初めて落語に接する人の心もつかみたい」。噺の舞台や時代背景の説明を、笑いの中に“くるめる”巧みさも持つ。

改作・新作も
 文珍さんは死語が多く廃れていた古典の時代設定を変えるなど、“作品のリニューアル”にも力を注ぐ。新作は「以前ほど作っていない」と言うが、金銭へのとらわれを、皮肉を交えつづった「老婆の休日」、初歩の英語力があれば十分楽しめる全編英語の「ヘイ! マスター」などは落語通にも人気が高い。

 言葉遊びやニュースにちなんだ話題を矢継ぎ早に盛り込むのも特徴だ。例えば手をつなぐ鳩山首相夫妻。「互いに5本の指を絡めていますな…。本当にハトみたい」。観客の年齢層は、芸域と同様幅広い。

 4月には、国立劇場大劇場(千代田区)で、10日連続独演会に挑む。“観客動員”は計1万6000人で、「人類史上初(笑)」。大劇場では主に歌舞伎が上演されるとあって、「会場の空気感を生かし、芝居噺にも挑む」と意欲を見せる。日替わりゲストは立川志の輔、桂春團治ら東西を代表する人気・実力派。「自分が『この人の噺、聞きたいな』と思う方に出演をお願いした」と笑みを見せる。

老いを楽しむ発想
 50代以降は「体のメンテナンスに気を遣うようになった」と話す。毎日午前6時前に起きトレーニング。10日連続独演会にも「体力面の不安はない」と意気盛んだ。若いころに比べ「お酒が弱くなった」と感じる時があるが、「少ない量で酔えて『お得』と思っている」と“老いを楽しむ発想”を表現する。80代でも元気に活躍する落語家が多いだけに、「わたしはこれからが熟れ時で、売れ時」。連続独演会は「プレッシャーにもなる」と言うが、「プレッシャーは、芸の新陳代謝につながる」と前向きだ。「新しい年も“前のめり”で進んでいきます」

 
「桂文珍国立劇場10日連続独演会」
4月6日(火)〜15日(木)、国立劇場大劇場(地下鉄半蔵門駅徒歩5分)で。各日午後3時開演。日替わりゲストは次の通り。
▽6日=柳家花緑▽7日=立川談春▽8日=桂春團治▽9日=林家正蔵▽10日=春風亭昇太▽11日=桂米團治▽12日=笑福亭鶴瓶▽13日=立川志の輔▽14日=春風亭小朝▽15日=桂三枝。
S席5000円、A席4000円。1月30日(土)から一般発売。
問い合わせ:サンライズプロモーション東京TEL0570・00・3337

ポイントページの先頭へ
東京版
最新号
→ 令和6年過去の記事一覧
→ 令和5年過去の記事一覧
→ 令和4年過去の記事一覧
→ 令和3年過去の記事一覧
→ 令和2年過去の記事一覧
→ 令和元年過去の記事一覧
→ 平成31年過去の記事一覧
→ 平成30年過去の記事一覧
→ 平成29年過去の記事一覧
→ 平成28年過去の記事一覧
→ 平成27年過去の記事一覧
→ 平成26年過去の記事一覧
→ 平成25年過去の記事一覧
→ 平成24年過去の記事一覧
→ 平成23年過去の記事一覧
平成22年過去の記事一覧
平成21年過去の記事一覧
平成20年過去の記事一覧
平成19年過去の記事一覧
   
定年時代読者のためのおすすめ特選ツアー
 
 
定年時代
トップ | 会社概要 | 媒体資料 | 送稿マニュアル | 広告のお申し込み | イベント | お問い合わせ | 個人情報保護方針 | サイトマップ
当ホームページに掲載されている全ての文章、写真、イラスト等の無断複製・転載を禁じます。
Copyright Shimbun Hensyu Center Company. ALLrights reserved.