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役者歴60年 年に一度は映画に戻る 女優/奈良岡朋子さん |
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「芝居を見てくださった方々が『篤姫』(奈良岡さんがナレーションを担当)見ていますよ、とおっしゃるんですよ」と奈良岡朋子さん。宮崎駿監督の「崖の上のポニョ」ではヨシエの声を担当。(NHK大河ドラマ「篤姫」のナレーション収録室で撮影) |
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劇団民藝での舞台を中心に活動している奈良岡朋子さん(78)が年に1回必ず出演するのが映画「釣りバカ日誌」。三國連太郎ふんする「スーさん=鈴木建設会長」の妻「久江」役で9作目から出演を続けており、最新作でもさりげなくスーさんを支える。日本映画の全盛時代に育った奈良岡さんにとって「釣りバカ」は年に1回、映画のセットに戻ってこられる大事な“場所”だという。
普段は舞台で活躍
1948(昭和23)年に劇団民藝の前身である民衆芸術劇場に入った奈良岡さんは、ことし役者歴60周年を迎えた。個性派俳優の滝沢修、宇野重吉らに会えると思って劇団員募集に応募し合格、父・奈良岡正夫と同じ画家になることを断念して芝居の道に─。その時に「絵筆は取らない」と決めた父との約束を今も守り続けている。
そんな奈良岡さんが「釣りバカ」に出演していて思うのは、この映画は「それぞれの世代が明るいエネルギーをもらえる作品」だということ。「五木寛之さんの言葉ではありませんが、“うつの時代”ともいえる現代を生きる人たちの中には、定年問題を抱えている人や、会社の中にあって人間関係でぎくしゃくしている方たちも多い。それが“浜ちゃん”みたいに型破りな人の生き方を見ることで、目の前が開けることもあるのではないでしょうか。少なくとも映画を見ている間は」と奈良岡さん。
「大切なのは好奇心」
16歳の時に敗戦を迎え、「生き残った」という思いを持つ奈良岡さんは人生について、「自分一人ではなく大勢の人々に支えられ、かつ目に見えない力に背中を押され、前から引っ張られて生きていくもの」と考えている。
主役を生かす
脚本の山田洋次から勧められた自らの役についても、「会長夫人だからといって別に気取っているところはないし、帰ってきただんなさんを労(いたわ)るわけでもない。たんたんと送り出し、そして迎え入れる。あくまでスーさんと浜ちゃんの回りを囲む脇の一人として役に立てれば」と話す。
自分に厳しく
同期の大滝秀治とともに民藝の代表を務め、子どもや孫の世代と一緒に365日のほとんどを“演劇の旅”で回る奈良岡さん。「この間まで北海道を『ドライビング・ミス・デイジー』で回ったんですが、ホテルと駅、空港を行ったり来たりしているだけ。せいぜいバスの窓から景色を眺めています。体調維持のために休日もホテルの部屋から出ることはありません」。大切にしているのは好奇心を持つこと。若い劇団員から教えられることも多いという。「少しでもいい役者になろうと思うと自分に厳しくないと…」と、奈良岡さんはどん欲な“役者魂”を見せる。
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「釣りバカ日誌19〜ようこそ!鈴木建設御一行様」
監督:朝原雄三
出演:西田敏行、浅田美代子、常盤貴子、三國連太郎
上映時間:110分
丸の内プラゼール(TEL:03-3214-3366)ほかで全国公開中。 |
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