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夫婦で“環境漫才” 漫才コンビ/林家ライス・カレー子さん |
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余り布で作った赤のブレザー、「元はペットボトル」という生地で作ったドレスを身にまとう林家ライスさん(左)カレー子さん |
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“笑い”で環境問題の啓発を─。環境カウンセラー(環境省認定)の資格を持つ漫才コンビの林家ライスさん(66)とカレー子さん(59)の夫婦は、身近な環境問題をネタに全国各地へ“出前漫才”を行っている。北海道から鹿児島まで20年間で約1500回。「話題のニュースをかみ砕き、分かりやすい言葉で環境行動を促したい」という2人は、「思いは地球規模、行動は足元から」とぴたりと息を合わせる。
思いは地球規模 行動は足元から
“うるさいくらい”訴える 余り布や古着を加工したステージ衣装に身を包み、小気味よい漫才を展開するライスさんとカレー子さん。ユニークな芸名は「ハヤシライスが好きな三平師匠が付けました」。
「1時間半は当たり前」という環境漫才のネタにはごみの減量問題から福祉、防犯、定年後の夫婦関係まで自らの体験や実験がデータとして織り込まれる。こまめな節電や洗剤を使わない洗濯に加え、「7割が水分」という生ごみの捨て方など“もったいない精神”を地で行く2人は節約生活を楽しむ。2人のなれ初めも環境夫婦ならでは。“バツイチ”のライスさんと結婚したカレー子さんは「36年前、わたしが夫として再利用しました」。
元はなし家のライスさんは、10年間のブランクを経て1976年に林家三平に弟子入りした。2年後にはカレー子さんも入門。その後、結婚式の司会など “ピン”の活動が続いたが、87年に夫婦で漫才コンビを結成。日本文化使節団でのブラジル慰問や施設での漫才などネタが受けずに何度も涙を流したというが「見せる地獄に、見る極楽」と地道に話芸に励んできた。
「自分の足で動いてネタを作ろう」と“出前漫才”を開始したのは88年。「60歳以上が3人集まれば交通費のみで全国どこへでも」をコンセプトに全国各地を回る試みは、両親を早くに亡くした2人にとって「親孝行のつもりもあり、ボランティアでした」。
環境問題への関心もそんな身近な経験がきっかけ。「ボルネオで戦死した父の慰霊に行くたびに森林伐採やハイウエーの拡大を目にした」というライスさんに対し、「娘のPTA活動でごみ処理施設を見学して混合ごみの現状に驚いた」とカレー子さん。営業先の分別されない“ごみ事情”が決め手となって「自分たちのできることでこの問題を伝えよう」と環境漫才を開始した。
92年以降、“環境視察ツアー”を自ら企画した2人。「テロや鳥インフルエンザ問題など渡航に苦労した」というが、アメリカやオーストラリアなど世界各地を回り、環境に対する温度差を体感した。
東南アジアのあるホテルでは「宿泊したホテルのすぐ裏の池に泡まみれになったイグアナの姿。原因はホテルから垂れ流しになったシャンプーやせっけんだった」とカレー子さん。また、ごみのポイ捨てを積極的に注意する国があれば、暗闇の中、たばこの吸い殻がホタルのように飛び交う国も。これらの旅行で「環境問題はうるさいくらい訴えるのがちょうどいい」と2人は実感したという。
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(各地の自治体や学校などで)積極的に環境活動に参加する2人 |
★林家ライス・カレー子事務所
「牛乳パック100枚で入場無料」という地元・武蔵野市での環境寄席がことし5月で20回を数えるなど定着してきた環境漫才。ライスさんとカレー子さんの胸には、漫才を見た小学生からの「将来の夢はあるけど地球がだめになったら夢はかなわなくなる」という感想が今も残る。
エコバッグや“マイはし”、こまめな電気の節約など、「自分のための行動が地球のためになるのが“環境”。自分勝手な使いすぎは“エゴ”ロジーです」とカレー子さん。「チリも積もれば」を実感してほしいと願う2人は「みんなができる範囲でやることが大事です」とほほ笑む。
「これからは人生の総仕上げ」と環境漫才に意欲を見せるライスさん。相方のカレー子さんとともに「思いは地球規模、行動は足元から」と今日も元気に舞台に立つ。
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