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  東京版 平成20年6月上旬号  
演劇の世界で“遅咲きの花”  俳優・クレージーキャッツ/犬塚弘

「俳優としてはまだまだ。これからも精進していきます」と語る犬塚弘さん
 
 7日(土)から映画「春よこい」が公開される。同作で認知症の老人役を演じるのが、俳優でクレージーキャッツのメンバー、犬塚弘さん(79)だ。今ではクレージーキャッツのメンバーも谷啓さんと桜井センリさんの3人になってしまったが、犬塚さんはことし出演作が次々と公開され依然元気に活躍中だ。俳優として地位を確立した犬塚さんが、クレージーキャッツ時代のエピソード、50歳を前に演劇の世界に飛び込んだ時の思い、そしてこれからについて、息つく間もなく語った。

映画で認知症の役
 昭和の時代、お茶の間を楽しませてくれたクレージーキャッツ。その結成時からのメンバーである犬塚さんだが「ぼくは基本的にドタバタが好きじゃない」と言う。「先祖代々、固くて細かい家系。それがぼくの基本」

 商社勤務の父親がロンドンで集めたジャズレコードなどが家にあり、犬塚さんは幼いころからジャズばかり聞いて育った。ミュージシャンになろうと思ったのは、アメリカ人とけんかして当時勤めていたIBMを退社してから。家にある楽器とレコードで練習し、バンドを結成してナイトクラブに売り込んだ。

 そして演奏活動をする中で知り合った故・ハナ肇に「人を笑わせて、自分たちも楽しむような変わったバンドを作らないか?」と持ちかけられた。当時、バンドマンはまじめな顔をして演奏していた。初めは「できっこない」と思った犬塚さんも、ハナのアイデアに共鳴した。

植木、谷が加わって
 当初は「なんでふざけなきゃいけないんだ」と怒って出ていくメンバーもいた。だが犬塚さんが初対面で「人を引き付ける魅力がある」と感じた故・植木等と谷啓さんの加入でまとまったと言う。そして1950年代後半から“クレージーキャッツ”として演奏した。

 人が集まればもめごとも。けんかして解散しては何もならない。ベース担当だった犬塚さんは、自分が女房役になろうと思った。ほかのメンバーに対する注意を自分に言うように、とハナにこっそり告げた。そこを本人が聞けば「まずかった」と思うだろうから。

50歳を目前に“転身”
 クレージーキャッツはテレビ番組「シャボン玉ホリデー」などにも出演し、長く人気を集めた。だが「ハナに『思いっきりやれよ』と言われたけど、自分はおふざけが性格的にできない」。

 そのうち犬塚さんに転機が訪れる。シリアスな内容のドラマに出演することになったのだ。演技をした犬塚さんは「水を得た魚でしたね。けいこを何遍もして作り上げていくのが好きなので」。宇野重吉にかわいがられ、舞台の役者と親しくなるにつれ、徐々に感化されていったと言う。

 演技に夢中になった犬塚さん。演劇への出演依頼もあったが、事務所は「出演料が安い」と犬塚さんに話す前に断っていた。「結成から25年。このままではいけないと思った」。メンバー個人の活動が忙しくなり、グループでの活動は少なくなっていた。

怒鳴られ続けた日々
 犬塚さんは事務所社長に「演劇の世界に行きたい。辞めさせてくれ」と頼んだ。もちろん社長は反対。貧乏になっても、自分の好きな道を行きたいと頼み込み、交渉10回目で「つらかったら戻ってこいよ」と認められた。

 そこから「青春になっちゃった」。当時、犬塚さんは50歳になろうとしていた。「それから10年間は貧乏だったけど、楽しかったね」

 けいこを始めてみると、演出家に怒鳴られ、ののしられる日々が続いた。「何しゃべっているか聞こえないよ!」と言われ、大きな声を出すと、「大きな声出すだけが芝居じゃない。愛をささやくせりふも聞こえるように言え!」と。最初は隅で泣いていた。個人レッスンもして努力し続けていると、ある日「声が聞こえるようになったな」と演出家に言われた。「『しめた!』と思いましたね」

 それから多くの作品に出演し、映画、舞台、テレビドラマと俳優の仕事が中心になった。それでもクレージーキャッツ全員での仕事があれば参加した。「大事な場所ですから」

 ことしは映画だけで「ポストマン」「春よこい」「カメレオン」…と出演作が続く。「元気でいたから使っていただいている」。舞台を経験したから3ページにわたるせりふも覚えられると言う。そして人生経験の蓄積も演技に生かされているとも。

根はミュージシャン
 型破りなバンドを結成し、50歳を前に演劇の世界に飛び込む…、一見自らの手で成功を収めてきたようだ。だが犬塚さんは「ハナに会ったのも偶然。偶然の連続でここまで来た」と。「これからも“意欲的”に仕事をするということではなく、与えられたものに対してアイデアを引っ張り出して、演出家と相談して作っていきたい。それが楽しい」

 すっかり俳優としての地位を確立した犬塚さん。ベースも弾かなくなった。だがクレージーキャッツ50周年の年に発売したCD収録で約20年ぶりに弾くと、足の親指の先からボコボコ湯がわいてくるような感じがしたという。次第に手が動き始め、譜面以上の演奏ができた。収録が終わってもなかなか興奮は静まらない。「根はミュージシャンなんだね」



  『春よこい』
ジャンル:日本映画
監督:三枝健起
出演:工藤夕貴、西島秀俊、時任三郎、犬塚弘
上映時間:108分
HP:http://www.harukoi.com/(外部サイト)
7日(土)から丸の内TOEI【2】(TEL:03-3535-4740)ほか全国上映。
昭和の佐賀県唐津市呼子町。家族の暮らしを守るため、修治は誤って殺人を犯し、逃亡してしまう。小学生の息子・ツヨシは大好きな父の帰りを待ち続ける。そして妻の芳枝は、残された息子と認知症のしゅうととの暮らしを気丈に支える。だが、ある日、新聞記者・岡本が修治の記事を書いたことによって、新たな展開を迎える。

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