定年時代はアクティブなシニア世代の情報紙
ASA(朝日新聞販売所)
からお届けしています
会社概要
媒体資料
送稿マニュアル
広告のお申し込み
イベント
お問い合わせ
個人情報保護方針
サイトマップ
HP更新日 →
新聞発行日の翌々日(水曜日)
新聞発行日 →
第1月曜日:東京/埼玉/千葉/横浜・川崎/茨城
第3月曜日:東京
旅行
|
おすすめ特選ツアー
|
趣味
|
相談
|
食
|
仕事
|
学ぶ
|
これは便利これは楽々
|
リンク
|
インフォメーション
定年時代 東京版 平成19年8月上旬号
戦争は“個”を破壊する
監督/新藤兼人さん
戦争を繰り返さないためにも、「戦争であったことは伝えなくちゃいけない」と熱く語る新藤さん
自らの体験 映画化
日本映画界最高齢の現役監督、新藤兼人さん (95) の戦争体験をドキュメンタリー・ドラマとして映画化した「陸 (おか) に上った軍艦」が公開中だ。監督は、“新藤組”の助監督を長く務めた山本保博さん。新藤さんは同作に原作・脚本でかかわり、また証言者として出演して自分の体験を語っている。「個が破壊されるから戦争はしてはいけない」。“戦争反対”という立場から熱く語る新藤さん。自らを“仕事師”と言い、映画への情熱を、生ある限り燃やし続ける。
"弟子たち"と制作
1944 (昭和19) 年春、当時松竹大船脚本部のシナリオライターだった32歳の新藤さんは召集令状を受け、広島の呉海兵団に二等水兵として入隊した。
新藤さんは振り返る。「国家の命令を拒否するという気持ちはありませんでした。ただ、シナリオライターとしての仕事が遮断されることが残念でしたね。戦争に行けば死ぬに決まっていますから」
新藤さんと一緒に召集された100人は、まず予科練 (海軍飛行予科練習生) の兵舎の掃除をした。終わると60人がマニラへ送られた。最終的に94人が戦場へ。残ったのは新藤さんを含めた6人。それぞれ家族がいて、以前は仕事を持っていた。彼らは映画に描かれているように、軍隊で死と隣り合わせの中、過酷な体罰を受け続けた。だが、そうした二等兵の戦記は、これまでの映画などではほとんど伝えられてこなかった。
新藤さんが訴えたいこと。それは「戦争のむなしさみたいなこと」。国が過ちを重ねて国民を犠牲にして終戦になった、その一端をこういう状況だったと訴えたい、と話す。
妻亡くした孤独を克服
生ある限り仕事
靴を前後逆に履いて、前進しているが退却しているようにみせるという作戦が劇中描かれている。「そんなことで戦争に勝てないでしょう? 国民がどうなっても構わないから戦争をやるんだ。間違っているでしょ」
「戦記では『何島で何万人死んだ』と十把ひとからげに言われる兵隊にも個々の人生があったんだ」。夫婦で生活していれば、夫の戦死で家族が「破壊」される。だが個々のことを考えていたら戦争はできない。人間性を無視し、個を破壊して行うのだと。
新藤さんの語気が強まる。「平和な国家を作るということは家庭を守るということです」。国民が仕事をして生きて、かけがえのない家庭を作っている。それが国を作っている。「『平和のための戦争』などいかなるスローガンがあろうとも、家庭を破壊しているのは間違いない。『平和のための戦争をやる』。これほど矛盾をはらんだことはないでしょう」。個が破壊されるから戦争はしてはいけない、と新藤さんは繰り返す。
新藤兼人さん出征の朝の写真。左から2人目が新藤さん (C) 近代映画協会
戦友の無念背負う
新藤さんは、一緒に召集され、亡くなっただろう94人の代わりに生きていると言う。「家庭を破壊されて死んだ、無念の思いを伝えなくてはならないという考えがあるんです。その思いから出発して、わたしの全作品がある。94人の恨みを背負っているんです」
50年に独立プロダクション、近代映画協会を設立し、これまで「訴えたいこと」を映画に表してきた新藤さん。「裸の島」(60年)、「生きたい」(99 年) で2度モスクワ国際映画祭グランプリを受賞。「原爆の子」など戦争をテーマにした作品や、3番目の妻、乙羽信子の遺作となった「午後の遺言状」など数多くの映画を制作してきた。執筆した映画のシナリオは、約240本にのぼる。
記憶に癒やされる
私生活では3人の妻に先立たれた。「伴侶を失うということは孤独ですよ。子どもや孫がいるから孤独ではない、ということではないね。だけど孤独と、自分の仕事を生きるということとは違っていますね。自分の仕事で生きているわけだから孤独を克服しなきゃならんですね」。同業者であった最初の妻がいたからシナリオが書けた。2番目の妻がいたから子どもを育てられた。乙羽信子がいたから仕事を続けられた、と。「それぞれ素晴らしい人だった。非常に色鮮やかに記憶のなかに残っていて、いい思い出があります。そういうものが孤独を癒やしてくれる。死んでいるけど死んでない」
ことしは次回作「花は散れども」の制作に取り掛かる新藤さん。その次のシナリオも考えているという。故郷広島に原爆が落とされた瞬間を映画化するという長年の構想もある。伝えたいことはたくさんある。
「仕事師だから、より良い仕事をしたいと思ってやっています。仕事をしながら死にたい。わたしに限らず人は生きている限りしっかり生きなきゃいけないと思う。仕事をして」
『陸に上った軍艦』
出演 : 新藤兼人、蟹江一平、滝藤賢一
語り : 大竹しのぶ
上映時間 : 95分
ユーロスペース
(TEL:03-3461-0211) にて上映中
ページの先頭へ
最新号
令和7年過去の記事一覧
令和6年過去の記事一覧
令和5年過去の記事一覧
令和4年過去の記事一覧
令和3年過去の記事一覧
令和2年過去の記事一覧
令和元年過去の記事一覧
平成31年過去の記事一覧
平成30年過去の記事一覧
平成29年過去の記事一覧
平成28年過去の記事一覧
平成27年過去の記事一覧
平成26年過去の記事一覧
平成25年過去の記事一覧
平成24年過去の記事一覧
平成23年過去の記事一覧
平成22年過去の記事一覧
平成21年過去の記事一覧
平成20年過去の記事一覧
平成19年過去の記事一覧
トップ
|
会社概要
|
媒体資料
|
送稿マニュアル
|
広告のお申し込み
|
イベント
|
お問い合わせ
|
個人情報保護方針
|
サイトマップ
当ホームページに掲載されている全ての文章、写真、イラスト等の無断複製・転載を禁じます。
Copyright Shimbun Hensyu Center Company. ALLrights reserved.