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定年時代
 
  東京版 平成19年3月上旬号  
本当の自分を“書画”で表現   アーティスト/滝本洋子さん

「我書アートは自分を映す鏡です」と話す滝本さん。腕にとまっているのはインコの「チュウ」
 
「我書アート」を創作・普及
 内なる声に耳を澄まし、わき出る思いを書につづる「我書(わしょ)アート」。誰もが制作できる"書画"を生み出した滝本洋子さん(56)=江東区=は、筆を持つ人に語り掛ける。「本当の自分を表現して」。倒産で散り散りになった家族、貧窮、離婚…。両親や別れた夫を恨んだ滝本さん自身が、我書アートを通し「心のありよう」を変えた。今、苦しむ人に笑みを向ける。「心の闇を知る人こそ、光を感じることができるのです」

 滝本さんは我書アートの創作・普及に努める傍ら、エッセーや童話を書く。創作の幅は広いが「原点はひとつ。自分自身を愛し大切にする心を訴えたい」。静かな中に、強い思いを秘めた口調だ。

 大田区に生まれた滝本さんは、父親が鉄工所を経営する裕福な家庭に育った。しかし15歳の時、鉄工所が倒産。父親は滝本さんの知らない間に姿を消した。母親はいつの間にか「知らないおじさん」と一緒になり、2人の弟とも離れ離れに。

 「お金がなく、風俗産業以外のバイトは何でもやった」と言う高校時代。やっと買ったギターを弾くときだけつらさを忘れた。卒業後、フォーク歌手・中村洋子としてデビューし、TBSのテレビドラマ「赤い靴」の主題歌(1971年)を歌った。坂本九が歌った「独り暮らし」(82年)の作詞もしたが「住まいはずっと三畳一間」。最後に所属したプロダクションの社長からは「君は商品。言われたことをやれ」と反論すら許されなかった。

 25歳過ぎに大手企業のサラリーマンと知り合い結婚。歌の世界を去り主婦になった。夫は団塊の世代の企業戦士。「自分を殺して尽くしても、幸福感が得られなかった」と15年間の結婚生活を振り返る。

 
我書アートワークショップでは、6時間余りも熱心に創作に励む
感情や気持ちを素直に
 「自分の心にうそはつかない」。離婚の時に決意した。もともと好きだった美術。別れてしばらくたった44歳のころ、急に「何かを描きたい」という衝動にかられ墨と筆を買った。最初の作品は「何度見てもただの落書き」。試行錯誤の繰り返し。「あんたがいるとコメの減りが早い」とつぶやいた母親、再会後に滝本さんをののしった父親らへの憎しみから「良くない言葉を書いたこともあった」と言う。

 それでも「感情や気持ちを素直に書けばいい」と思い、制作を重ねるうちに自らの「心の癖」が見えてきた。自分を慈しめなかった「ちっぽけなわたし」。いつしか両親や別れた夫らの「心の痛み」に思いをはせるようになった。

 「ありがとう」

 ある日、滝本さん自身が「意外でした」と振り返る言葉を書いていた。涙があふれた。

 「恨みはいつしか消えていました。我書アートは心を映す鏡ですね」


滝本さんの我書アート「魂の目」
 

 滝本さんが我書アートの「ワークショップ」を始めたのは03(平成15)年。「一人ひとりの思いは違う。わたしは(参加者が)内面を見つめるお手伝いをするだけ」。かつてはひた隠しにした過去も話す。

 「欠点や負の感情を見つめることから、内面の変化が始まる。わたしの経験が役に立つのなら」。若者もいるが、参加者の多くは中高年だ。開催数は全国各地で数百に上り、幾度も参加する人が少なくない。

 ワークショップ1回に割く時間は6時間余り。参加者も10人程度に抑えており「ビジネスにはなりにくいですね。貧乏神とは今も同居中」と笑う。実際の同居者はインコの「チュウ」。「13年間一緒に暮らしています」と笑みを浮かべた。

 創作活動を通し「感謝の心」を育てた滝本さんも、強い悲しみには心が揺らぐ。しかし「今は現実を受け入れ、前向きに進んでいます」。最近は墨と刷毛(はけ)で創作する独特の「コンシャス(意識の)アート」にも情熱を注ぐ。

 「人間は言葉にできない何かをたくさん持っている。その何かを表現したいのです」

 2人の弟と、昔のつらい話を笑いながらできるようになった。昨年春、がんの父親の最期をみとった。78歳の母親とは今、笑顔で話ができる。


『我書アート ワークショップ』
日時 : 21日(水・祝)、午後1時半〜午後8時(休憩込)
場所 : 渋谷区内
参加費 : 1万6000円(軽食、材料費など込み)※作品を額に飾る額装を希望する人は別に4000円必要。
問い合わせ : (TEL)090-6542-6551(田中)
ホームページ : http://washoart.com/

 滝本さんには、我書アート作品集、エッセー、童話などの著書がある。2年前に発刊した大人の童話「ジュンと帽子とぬいぐるみ」には、ファンタジーあふれる内容に、体験がもたらす人間的成長や生きる素晴らしさといったメッセージを込めた。
滝本さんのホームページ : http://pureyoko.com/


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