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  東京版 平成19年2月下旬号  
“音楽の極み”目指して   オーボエ演奏/宮本文昭さん

「"B級ランチ"が大好き」と鎌田さん。旅先でおいしい店を探すのが得意だとか。健康法は温泉と鎌田さん流「がんばらないスクワット」。やり方は近著「ちょい太でだいじょうぶ」(集英社)に詳しく紹介
 
オーボエ演奏活動に終止符
経験をより進化

 日本におけるオーボエ奏者の第一人者・宮本文昭さん(57)が、3月31日で40年にわたるオーボエ奏者としての活動に終止符を打つ。若年性アルツハイマー病を描いた映画「明日の記憶」のメーンテーマ曲を担当し、ジャズやフュージョンのアーティストたちと共演するなどクラシックの枠を越えて活動する宮本さん。生涯現役で演奏活動を続ける音楽家も多い中、人気絶頂ともいえる中で終止符を打つのはなぜか。現在、全国各地でファイナルコンサートシリーズを開催している宮本さんは「音楽の道を極めたいから」と、その真意を語る。

 「プロのオーボエ奏者としての活動をやめるのは『新たなスタート』という意味ではないです。今まで積み重ねてきたものを生かしつつ、より発展させて音楽を深めていくためなのです」。開口一番宮本さんは熱く語る。

 ことし3月で終止符を打つことは、3年ほど前に決めた。「年を重ねると指、唇、呼吸法が衰えます。自分は12年くらい先にそうなると思う」。年を重ねれば情感が出る、と生涯現役で続投する演奏家も多い。だが宮本さんは、「それをやると、自分の体力と『情感が出る』という部分とがかみ合わなくてジレンマに陥ると思う。ジレンマを味わうのは嫌です」と、きっぱり。

 「音楽の道を極めたいと思っているんです」。だから一番いい時にやめる。「12年たって力が落ちてからやめて、ほかに音楽の仕事をもらえるかな? 本当に終わりになっちゃう。僕は終わりにしたくない。一番いい時に例年の2倍くらいのコンサートをやって、自分のパワーを見せておけば、『こんなことやらせよう』というお話もいただけるんじゃないか。興味を持ってもらうためにも、早めに手を打っておこうと思ったのです」。情感も、オーボエを吹かず違った形で表わせるようになればいいと考える。

肩書決めずに自由でいたい
 そもそも宮本さんは、オーボエを演奏したくて音楽の道に進んだのではなく、クラシック音楽がやりたくてオーボエを選んだ。

 15歳の時、テノール歌手だった父親が参加した「第九」の演奏を聞いた。「オーケストラとコーラスが一緒にパワーのある音でガーっときて、『これだ! すごい! おれが聞いているアメリカンポップスよりずっといいや』と思ったんですね」

 クラシック音楽の道に進むといってもピアノやバイオリンを始めるには遅い。オーボエを選んだのは、値段が安くて、演奏者が少なかったから。
 その後ドイツに留学し、エッセン市立交響楽団、フランクフルト放送交響楽団、ケルン放送交響楽団で首席オーボエ奏者を務めるなど世界的に高く評価されてきた。

 「オーボエでずいぶん音楽を勉強させてもらいました」。繊細でしんみりとした美しい音色が魅力の木管楽器、オーボエ。音楽に入るための"ドア"をオーボエで開けてみると、中にはいろんな世界があった、という。

 オーボエとミスマッチとも思われるようなエレキギターと共演したり、多彩なジャンルの音楽家と共演してきた。「これからもクラシックだけでなく、幅広く音楽に携わっていきたいです。プライベートではオーボエを吹きますよ」

 やはり惜しい気もするが、決意の固い宮本さん。気になるのは今後の活動だ。東京音楽大学の教授は続ける。小澤征爾さんの勧めもあって、近年指揮をする機会が増えた。音楽プロデュースも行っている。指揮、音楽プロデュース、作曲、執筆…可能性は未知数だ。変わらないのは、中身が音楽であるということ。

 「いつまでも自由でいたい。肩書は人間を決めちゃう。『宮本文昭です』と言ってわかってもらえるようになりたいです」

 すでに宮本さんの頭の中にはいろいろな構想が浮かんでいる。例えばプロデュース業。ホールの内装や外装、コンサートの内容、休憩、食事、宿泊先、翌朝のスケジュールまで全部プロデュースしたいと目を輝かす。

 そうしたコンサートのプロデュースとオーボエの演奏の両立はできない、という。オーボエには、リードを削るなど細かな作業を含めてたくさんの時間とエネルギーを費やされる。「今まではどこに行っても『オーボエ吹いてくれ』と言われた。それはオーボエ奏者としてはうれしいけど、自分がプロデュースしたい演奏会は、オーボエがあまり必要ない、ダイナミックな曲を演奏するものだったりします。やっとオーボエのたがを外せます」

 今、人生の節目を自ら作る。これから先も成功すると、自分を信じている。18歳の時、海外留学が今ほど自由にできなかった時代に、宮本さんは単身ドイツに渡った。船とシベリア鉄道を使って、片道切符だけ持って。ドイツにいながら就学ビザや就労ビザ取得に奮闘した。そんな経験が不安に打ち勝つ自信を養ったのかもしれない。

 演奏活動を始めた当初は、「オーボエというマイナーな楽器で、今みたいにソロリサイタルを毎年何十回と開けるなんて思っていなかったです」。自分は運がいい、と。「だから、オーボエやめても運がいいんだろうな」と笑う。宮本さんは人生を楽しんでいる。「苦しんでもしょうがないからね。今、力いっぱい演奏会をやっています。会場いっぱいのお客さんが来て、明るく『がんばれ』と言ってもらえるなかで楽器とお別れできる。本当に幸せだなと思います」。宮本さんが"音楽の極み"を表現してくれる日が楽しみだ。

  21日(水)発売のラスト・クラシックCDアルバム「ファイナル・オーケストラスペシャル・ライヴ オーボエ協奏曲集」。同時にメモリアルベスト・アルバム「Fumiaki Miyamoto」、3月に自叙伝も発売

【コンサート情報】

♪THANKS!宮本文昭&フレンズ
期間 : 3月28日(水)、29日(木・追加公演)
時間 : 午後6時半〜
場所 : 東京文化会館大ホール(JR上野駅徒歩1分)
料金 : S席1万円〜C席5000円
電話 : 03-5237-7711

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