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  横浜・川崎版 令和2年9月号  
歌で愛を伝え、心を自由に  タンゴ歌手・香坂優さん

毎日起床後と就寝前の各1時間、瞑想(めいそう)をしていると香坂さん。「瞑想によりいつも自分の内面に向き合うことで、心を強く持ち、さまざまな苦難を乗り越えることができました。もう30年以上続けています。多くの人におすすめしたいですね」と話す
10月、横浜で待望のコンサート
 「歌は、あらゆる悩みから心を自由にしてくれます。そして、歌うことで人に愛を伝えられる歌手は天職です」と語るのは、今年で古希を迎えたタンゴ歌手の香坂優さん(70)。本場アルゼンチンで修業を重ね、耳の肥えた現地の大衆からも認められた日本人歌手の一人だ。10月には「コロナ禍」の状況下、久々のステージに立つ。「8カ月ぶりの舞台です。うれしいですね。現在、生の音楽を聴く機会が大幅に減少し、ストレスを感じている人も多いのではないでしょうか。“深い愛”を歌うタンゴで、皆さんの心を癒やすことができればと思っています」

 予定されているプログラムのうち、「恋は悲しみのタンゴ」(2012年)は有線放送ランキング9位まで上昇した、タンゴ歌手として自身最大のヒット曲。「麗しき人生」は15年発表のオリジナル曲。そして、アルゼンチン・タンゴの定番「カミニート(小径)」は、30年前に香坂さんがタンゴの道を踏み出したとき最初に練習した曲だ。当日のステージでは、自身の集大成を歌い上げる。「どのステージでも、お客さんとの一瞬一瞬を大切に歌っていきたいですね」

 香坂さんは1950年に出生。3歳にして飛び入りで参加した“子どものど自慢”での優勝を皮切りに、児童合唱団を経て芸能界入り。地元・名古屋のローカル・タレントとして活躍した。「地方局ですがテレビ、ラジオの司会やMC、果ては番組制作にまで関わらせていただきました」

 香坂さんは懐かしそうにこう続ける。「おかげでステージ度胸はもとより、後のプロデュース業につながる経験など、将来の仕事の土台となる体験を積むことができました」

 25歳で結婚を機に上京。東京のメディアでは地方局のキャリアは一顧だにされず、ならばとシャンソン歌手としてデビューする。「思春期に最愛の兄を亡くし、長らく悲しみに溺れていましたが、歌を歌えば心が癒やされました。それが歌手を選んだ理由です」

淡谷のり子に師事
 その後、幼い娘を抱えたまま離婚。歌手の道を継続するか、娘のため断念するかの葛藤に苦しむ。そんなとき、ステージで共演した大物歌手・淡谷のり子に押し掛けるように弟子入りし、悩みを吐露する。「先生と同じ年まで歌えるでしょうか?」

 淡谷は香坂さんを評し、「あなたにはタンゴが向いている。それがだめならば歌手は諦め、娘に尽くしなさい」と、タンゴ転向を強くすすめた。当時、香坂さんは40歳。これまでの経歴を捨て一からのスタートに戸惑うが、数カ月後には淡谷の指示で本場アルゼンチンに飛び、タンゴ歌手としてデビューを果たすことになる。スペイン語歌唱もおぼつかないまま現地入りし冷や汗を流すが、地元のタンゴの迫力にあっという間に魅了された。

 幼少時から、「女は不平不満を言うな」としつけられたという香坂さん。「タンゴに歌われる現地の女性は自己主張が激しく、私も抑え付けられていた感情を解放して歌うことができました。淡谷先生の見立てに間違いはありませんでした。今でも感謝しています」

 アルゼンチンの歌謡文化も香坂さんを引き付けた。「日本の芸能界は、『売れる、売れない』が物差し。でも同地の大衆は耳が肥えており、無名でも外国人でも歌がうまければ誰でも認めてくれました」

本場で武者修行
 アルゼンチン、そしてタンゴに魅了された香坂さんは以降、日本で資金がたまれば、度々アルゼンチンに単身留学。帰りの飛行機代を払うと残った2ペソを握りしめ帰国の途に就いたことも。「マリアーノ・モーレス、オルランド・トリポディーら、当時の巨匠に頼み込みレッスンをつけてもらいました。理想が高すぎたせいか、いつも挫折した気分で帰っていましたね(笑)」

 本場に通じる歌声を磨いた香坂さんだが、日本でタンゴを歌う機会は限られた。「一語一語の発音が短く、約3分間の歌に濃厚な物語を紡げるスペイン語独特の歌詞と、それに合わせた日本歌謡にはない音域の広さ、曲調の複雑さがタンゴの魅力。ただ、それゆえに日本語訳詞を曲に乗せるのが難しく、ヒットが出にくいのです」

 そのため、自分の歌う場の確保のためと、アルゼンチン・タンゴの歌謡文化を日本に広めるため、“タンゴプロデューサー”にも従事。本場のアーティスト招へいなどを手掛けるようになる。当初はお金に振り回され、ストレスで声が出なくなり歌手生命の危機に陥ったこともあるというが、「歌を商売ではなく、文化として日本に根付かせたいのです。言葉が異なっても、メロディーと歌詞の持つ心のようなものが伝われば感動は共有できます。それが文化だと思います。今後もストレスに耐え、挑戦を続けていきます」とほほ笑む。

 現在は歌手、プロデュース業のほか、後進育成のため講師業にも取り組む。また、スペイン語のタンゴ歌唱だけではなく、母国語たる日本語での歌唱にも力を入れている。「日本語でもスペイン語でも、歌に込める気持ちは変わりません。歌うことで世界に愛を広げ、差別も貧困もない世の中の実現に、少しでも貢献できればと考えています」

♪アルゼンチン・タンゴ・コンサート
 10月6日(火)午後1時半、神奈川県民ホール(みなとみらい線日本大通り駅徒歩8分)小ホールで開催予定。

 予定曲:「エル・チョクロ」「パリのカナロ」「恋は悲しみのタンゴ」「麗しき人生」「カミニート」「ラ・クンパルシータ」ほか。演奏:チコス・デ・パンパ(バンドネオン・鈴木崇朗、バイオリン・永野亜希、ピアノ・宮沢由美、コントラバス・田辺和弘)、歌:香坂優、ダンス:Nana&Axel。

 全席指定5500円。問い合わせはインターナショナル・カルチャー Tel.03・3402・2171

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