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植物と暮らす楽しみ 「エコロヴィレッジ」主宰・神田隆さん |
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神田さんが自らリフォームした築200年の古民家。周囲の里山も再生した |
6月、横浜・イギリス館で講演会
「植物と共に生きる暮らしの愉(たの)しみ」を提唱し、群馬県利根郡片品村で宿泊もできるオーガニックガーデンファーム「エコロヴィレッジ」を主宰する神田隆さん(58)。最近では、2013年の「国際バラとガーデニングショウ」でターシャ・テューダーの庭を手掛けたことでも注目された神田さんが、6月、山手の横浜市イギリス館で講演会を開催する。講演では築200年の古民家や周辺の里山の再生活動などから得たこと、都会でも実践できる豊かな暮らしについて語る。
神田さんの主宰する「エコロヴィレッジ」は、“尾瀬の郷”と呼ばれ、自然環境に恵まれた群馬県片品村にある。約10年前にこの土地に出合った神田さんは、長い時間を掛け1人で里山の再生に力を注いできた。
「築200年の古民家は、購入した当時は家が傾いていてとても住める状態ではありませんでした。寝袋を持ち込んで泊まりがけで修復することを繰り返し、数年かけて宿泊していただけるようになりました」
神田隆さん |
冬はマイナス20度近くになるという厳しい環境下での作業にくじけそうになったこともあったそうだが、「1人でもやり遂げる、という意志がないと何事も成し遂げられない」と言い聞かせ、完成にこぎつけた。
広大な敷地には、農場や池も作り、ガチョウやヤギも住む。番犬も飼っているが、鹿や熊など野生動物とも適度な距離を保ちつつ共存している。ほぼ自給自足の暮らしで、同地を訪れた人はアメリカ人絵本作家のターシャ・テューダーのような豊かな暮らしに驚くという。ちなみに飼っているヤギは、ターシャが飼っていたものと同じ種類だ。
以前は荒れ放題だった敷地も、神田さんが手入れをするようになってから夏には庭に蛍が出るようになった。
「環境に良くないものをやめるだけで自然といいものが集まってくることが確信できました」と喜ぶ。
できる範囲で今日から始める
神田さんは、「街暮らしでも自然と共に豊かに暮らすことはできます」と話す。
「都会暮らしは車に頼らないのでよく歩きますし、敷地も狭いので無農薬での栽培を実践している方も多いでしょう。神奈川県は緑も多いですしね。今日からでも環境に害を与えると思われるものを出来る範囲で選ばないようにする、身近な自然を楽しむ、これを実践すると、だいぶ生活の豊かさが違ってくると思います」
「エコロヴィレッジ」の広大な敷地には農場や池もあり、夏には庭に蛍が現れる |
植物を襲う害虫の最大の防御策は、「庭に出ること」と神田さん。庭に出てよく観察すれば、早めに虫に気付くことができるし、早めならば薬も使わずにすむからだ。「英語で庭師をガードナーと言いますが、ガード(防御)する、という言葉と同じ語源なんです」
神田さんが実践するオーガニックな暮らしや庭園保全活動などは、日本の良い面とイギリスに習ったものを融合させたもの。国をあげて自然や文化遺産の保全活動に取り組んでいるイギリスからは、学ぶものが多いと言う。横浜での講座では、そういったことも含めて講演する。
「イギリスもかつては貴族ですら土地を維持できず、切り売りした時代がありました。が、さまざまな人の働きかけによって問題を乗り越え、豊かな風景が残る今に至っているのです。保全活動もオーガニックファームも、わたしたちの世代には結果が出なくても次の世代には良いものが渡せる。そのために何ができるかを考えていきましょう」
講演会の問い合わせは右記を参照。エコロヴィレッジの問い合わせは Tel.044・951・2038 |
英国の館と庭園保全の取り組み
エコロヴィレッジ・カントリーハウス&ガーデンのお話
6月30日(木)、午後2時〜
会場:横浜市イギリス館(みなとみらい線元町・中華街駅徒歩8分)。40人。3000円。
申し込みはN・G・SジャパンTel.03・3782・8977 |
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