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奥深くて面白い“坊さんワールド” 僧侶・白川密成さん |
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24歳で住職になるまでは、書店に勤務していた白川さん。「本は読むのも書くのも大好きです」 |
白川さん原作の映画「ボクは坊さん。」公開
24歳で足を踏み入れた“坊さん”ワールドは、想像以上に奥深い世界だった! 高野山開創1200年に当たることし、24日から新米僧侶の日々を描いた映画「ボクは坊さん。」が上映される。原作者は、四国八十八ケ所霊場、第57番札所・栄福寺の住職・白川密成さん(38)。「僕たちお坊さんが、どんなことに悩んだり喜んでいるか、また仏教にどんな言葉があるのかが伝わればうれしい」と話す。
「ボクは坊さん。」の“ボク”こと主人公の白方進は、愛媛県今治市の栄福寺に生まれ育つ。高野山大学在学中に修業し、その後、いったん地元の書店に勤務する。ところが栄福寺の住職だった祖父が突然倒れ、急きょ、予想よりも早い24歳で寺を継ぐことに。
映画では、俳優・伊藤淳史が扮する“ボク”の奮闘ぶりが見どころ。毎日の務めに加え、寺に出入りする業者や檀家(だんか)とのやり取り、住職チームで行う野球、友人の結婚によって発生した問題の解決など、日々さまざまな出来事に遭遇する。最大のヤマ場は、住職になって初めて取り仕切る葬儀だ。突然の大役に“ボク”は怖気付いてしまう。
我々は「お坊さんならできて当たり前」と思うが、どんな職業でも最初から上手くできる人はいない。実際、白川さんも初めての葬儀ではとまどいも大きく、「自分が葬儀を取り仕切るということが想像できない」というプレッシャーから過呼吸に。エッセーにはそんな格好悪いところも包み隠さず、ありのままをつづった。
「本を書くまでは、お坊さんである僕たちをリアルなものとして見られていない気がしていたんです。ぼくたちが何に喜んで何に悲しんでいるのか、また弘法大師の言葉は日常生活にも生かせるよ、ということを伝えたかった」と振り返る白川さん。
現在、住職になって14年目。経験も増えてきた今、以前よりも自身の仕事に誇りを持てるようになったという。
原作本「ボクは坊さん。」と、近著「坊さん、父になる。」は共にミシマ社から刊行(各1728円)。 |
“鳥の声、風景も経典”
「これまでに何度かお葬式をあげた経験から、人は人を“送る”ことができるものなのだと分かったんです。お葬式は、手を合わせたり花を手向けたりするのと同じで、人間がずっと続けてきたことで、必要不可欠なもの。そのことに気付いたとき、自分の仕事が必要とされていることがうれしくなりました」と白川さんは笑顔を見せる。
栄福寺は、いわゆる“お遍路”の第57番札所である。「四国の中でも観光客が絶対に来ないような、山深い場所(笑)」(白川さん)にあり、現在でも昔ながらの田園風景が残っている。映画の大半のシーンも同所で撮影され、白川さんは主演の伊藤さんに、経典の唱え方や法衣の着方、所作などの指導を行った。白川さんのお気に入りのシーンは、水田の横のあぜ道を葬式の列が進む映像だと言う。
「我々には見慣れた景色なのですが、あらためて見ると美しいな、と感動しました。弘法大師は『鳥の声も経典である、風景自体も経典である』というような言葉を残しているんです。言葉だけじゃなく映像ひとつで語るものがきっとあるはず。ぜひ映画でそれを感じてみてください」 |
©2015 映画「ボクは坊さん。」製作委員会 |
「ボクは坊さん。」 日本映画
「ALWAYS 三丁目の夕日」のスタッフが製作した、心温まるコメディー。
原作:白川密成、監督:真壁幸紀、出演:伊藤淳史、山本美月、溝端淳平、イッセー尾形。99分。
24日(土)から渋谷シネパレス(Tel.03・3461・3534)ほかで上映。 |
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