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  横浜・川崎版 平成27年8月号  
中国版“おしん”を翻訳  徳田好美さん、隅田和行さん

息の合ったトークを繰り広げる2人。右が徳田さん、左が隅田さん
未経験者2人、力を合わせ3年で完成
 2004年に中国で出版され、またたく間にベストセラーとなった小説「春草」(裘山山=チウ・シャンシャン・著)の日本語訳がこの春に発売され、好評な売れ行きを記録している。翻訳を手掛けたのは、徳田好美さん(81)と隅田和行さん(77)。2人は翻訳のプロではない。共に趣味で中国語を習っており、勉強のつもりで翻訳に挑んだという。「主人公の春草(はるくさ)は、いわば中国版“おしん”です」と徳田さん。隅田さんも「不屈の精神を持った春草の姿に勇気をもらえたという声を聞くと、とてもうれしい」と翻訳した感想を話す。

 「春草─道なき道を歩み続ける中国女性の半生記」は、1960年代、貧しい農村に生まれた女性「春草」が、結婚を機に田舎を飛び出し、成功を夢見て奮闘する日々書いたもの。次々と襲い掛かる不幸にもめげず、前だけを見て突き進む主人公・春草。本国ではテレビドラマ化もされ、中国で知らない人はいないとさえ言われるほどの人気作だ。

 作者のチウさんは、主人公と同世代の50代。本作を「おしん」をイメージしながら書いたという。鋭い観察力で、あまり知られていない近代中国の生活環境や市井の人々の暮らし、時代背景をつぶさに描く。時代は違うが日本との共通点も多く、徳田さんと隅田さんは訳しながら懐かしい思い出がしばしばよみがえったという。

 「僕のおふくろは28歳で夫を亡くして苦労しましたが、それでも子ども2人を大学に出させてくれました。昔の人、僕らの親の世代はたくましかった」と、亡き母の思い出を重ねる隅田さん。

 「1986年に春草は初めて汽車に乗ってトイレを使おうと思うのだけど、垂れ流しだから怖くて使えないというシーンがあります。私が子どものころの日本の汽車と一緒です」(徳田さん)

 「作中、春草が恐る恐る初めてエスカレーターに乗るシーンがありますが、私も昔、小倉(現北九州市)のデパートのエレベーターで同じ光景を見ましたよ。その人もその時初めて乗ったのでしょう、エレベーターが動き出すと『おおー !! 』と叫んでいましたね(笑)」(隅田さん)

 一方で、農村部と都市の格差や男女差別、国営事業の内情など、「日本とは違う社会背景にあらためて驚いた」と2人は振り返る。

中国への理解を深めるきっかけに
 徳田さんと隅田さんの2人は元・日立金属の社員で、共に現役の時から中国語を習っており、退社後の現在も勉強を続けている。「春草」の翻訳は、先生に勧められ、勉強の一環で挑戦した。それぞれ分担を決めて取り組んだが、完訳には3年かかったという。

 「始めのうちはゆっくりやっていましたが、出版の話が見えてきてからは集中的にやりました。朝3時に起きて3、4時間訳すという生活を3カ月くらい続けました」と、素人とは思えないエネルギーを注いだ隅田さん。徳田さんは「次々と起こる出来事をテンポよく訳すために、余計な説明を削除しつつも原文のニュアンスを損なわないようにするのに苦労しました」と振り返る。

 出版に至った経緯は、隅田さんが偶然、新聞で日本僑報社を経営する段躍中さんのインタビューを読み、連絡したことが発端だった。段さんは中国で新聞記者をしていたが、日本に留学していた妻を追って来日。その後、出版社を立ち上げたという経歴の持ち主で、日中友好の懸け橋となるべく、国内外でさまざまな活動を行っている。隅田さんはその心意気に胸を打たれ、原稿を託す気持ちになったという。

 段さんは「中国での『春草』の人気の高さはよく聞いていました。中国への理解を深めてもらういいきっかけになると思いました」と出版に踏み切った。

 「中国人が『おしん』を大好きなように、『春草』も日中に共通する人物だと思う。こんな人が中国にもいることを知ってもらいたいし、ありのままの中国も見てほしい。それこそ文学の果たすべき役割です」と段さん。

 「『春草』が日本と中国、お互いをよく知るいいチャンスになればうれしい」と3人は声をそろえる。

 本の問い合わせは Tel.03・5956・2808


(2484円・日本僑報社)
春草 ─ 道なき道を歩み続ける中国女性の半生記 ─
 著:裘山山 監修:于暁飛 翻訳:徳田好美 隅田和行

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