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“想像力が平和を導く” Bunkamuraル・シネマ 中村由紀子さん |
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毎年、カンヌやベルリンなど世界中の映画祭に通う中村さん。「ほとんど体力勝負ですね」と笑う |
パリ壊滅阻止を描いた映画「パリよ、永遠に」公開
第2次世界大戦末期、ナチス・ドイツ占領下のフランスは、ヒトラーによる「パリ壊滅作戦」が実行されようとしていた。しかしパリは守られた。そこには、勇気ある1人の男による一世一代の駆け引きがあった—。この歴史的事実を基に作られた映画「パリよ、永遠に」が7日(土)から東京・渋谷のBunkamuraル・シネマで上映される。ル・シネマの上映作品の選定を担う中村由紀子プログラミングプロデューサーは、「未来を想像する力があれば、闇の中に光を見付け出すことができるのでは」と話す。
1944年8月、「パリを爆破せよ」とヒトラーは命じた。戦時下のベルリンが廃虚と化したことが、許せなかったからである。
ヒトラーの命を受けパリ入りしたドイツ軍パリ防衛司令官コルティッツはドイツの敗北を確信していたが、任務を断ることはできない。橋という橋、エッフェル塔、オペラ座、ノートルダム大聖堂などに爆薬を仕掛け、作戦決行日も決まり、後は指令の電話を掛けるだけだった。1人の男がホテルの部屋に現れるまでは—。
その男とは、中立国スウェーデンの総領事、ノルドリンク。彼はコルティッツにパリ爆破を思いとどまらせようと、時に正攻法で、時にユーモアを織り交ぜながら説得し始める。
昨年のベルリン映画祭でこの作品に出合った中村さんは、「人間は時に愚かなことをします。ですが、人間であるがゆえにできること、なせるすべもある。それをこの映画は描いているのです」と話す。
また、「この映画の素晴らしいところは、未来を想像することの大切さが描かれていること」だとも言う。
パリならではの景色も見どころ
「劇中、ドイツとフランスのこれからの未来を想像しよう、と呼び掛けるシーンがあります。目の前のことだけにしがみ付かず、闇の中に光を見付け出す—。なかなかできることではありませんが、それができたからこそ、ノルドリンクは語り継がれる人物になったのだと思いますね」
開館から26年、常に「“世界”を感じられる映画を」(中村さん)選び、上映し続けてきたル・シネマらしい一作だ。
「今のパリが存在する背景にどんな歴史の礎があったのか、男性はもちろん、パリを愛する女性もきっと楽しんでいただけます。パリならではの小道具、景色も見どころです。映画は国も時間も飛び越えることができるもの。『パリよ、永遠に』は70年の時空を超えて、平和について今一度考えようと私たちに呼び掛けているのではないでしょうか」 |
© 2014 Film Oblige - Gaumont - Blueprint Film - Arte France Cinema |
「パリよ、永遠に」
監督:フォルカー・シュレンドルフ、出演:アンドレ・デュソリエ、ニエル・アレストリュプ。83分。
7日(土)からBunkamuraル・シネマ(Tel.03・3477・9264)ほかで上映。 |
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