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昨年のイギリス館の装飾では、特別にマントルピースも作製した |
12月1日から恒例のクリスマスイベント開催
山手西洋館では12月1日(月)から毎年恒例の人気イベント「世界のクリスマス」を開催する。ことしのテーマは、「クリスマス、その語り継がれる憧憬(どうけい)」。代々受け継いできた伝統や文化は、いつの世も人々を魅了する。子どもの頃に体験したきらびやかなクリスマスの光景への憧れは、永遠に記憶に残したい宝物だ。「アジア、ヨーロッパ各国、アメリカの伝統的なクリスマス装飾と文化をご紹介します。開港の街ヨコハマ、とりわけ多くの西洋館が残るこの山手で、ぜひ歴史と文化を感じてください」と、イギリス館館長の天野典子さん(59)は話す。
このイベントは、2000年から開催され、ことしで15回目となる。イギリス館以外は毎年飾り付けのテーマ国が変わり、ことしは日本、フランス、イタリア(アッシジ)、スペイン、シンガポール、アメリカ(ニューヨーク)、フィンランドに決定した。
天野典子館長 |
「世界のクリスマスの準備には約半年かかります。6月ごろから装飾を手掛ける方を探し、各館のテーマの詳細を決め、必要なもののリストを作ったりしているうちに、あっという間に12月になります」と天野さん。天野さんはイギリス館の館長としてはもちろん、世界のクリスマスの総合的な担当者として、縁の下から支えている。
全体のテーマ以外に、各館には細かいテーマも設ける(ことしのテーマは近日発表予定)。例えば昨年のイギリス館のテーマは、ロイヤルベビーの誕生を祝って、「新しい家族とともに迎える初めてのクリスマス」。そのテーマに沿って、カーテン、食器、ナプキン、クッションにいたるまで全てにストーリー性を持たせ、部屋を飾った。また、マントルピース(暖炉周りの装飾)をクリスマスのために特別に作製。カウチ(寝椅子)やドレッシングチェストなどを特別に借用して搬入するなど大掛かりな装飾も行われた。
格調高い装飾と新しいアイデア
2013年の「山手西洋館 世界のクリスマス」には、イギリス館だけで4万6000人、全体では28万人を越える来館者が訪れた。本物の西洋館で開催されるクリスマスという要素に加え、協賛会社を多く得られることで格調高い装飾ができることが、成功の背景にある。
ことしのイギリス館のクリスマスコーディネートを手掛けるのは、ティーインストラクターとして日英で活躍するスチュワード麻子さん。イギリス在住の強みを生かした装飾が期待される。
「もちろん、そのほかの館の飾り付けも見逃せません。『ヨーロッパの国ならどこも似たようなものじゃないの?』と聞かれることもありますが、文化性は多岐に渡ります。また、今回は日本の飾り付けもあります。見比べて、それぞれの歴史や文化を感じとってください」と天野さん。
コーディネーターが提案する新しいアイデアも参考にしてみよう。昨年は火事の心配のいらないキャンドル型LEDライトや、洋菊を使った新しいフラワーアレンジが提案され、好評だった。
開港以来、多くの西洋館が建設され、関東大震災を乗り越えて、復元、保存されてきた。その陰には、多くの人や近隣住民の支えがあった。そういった背景を踏まえながら各西洋館を回ると、よりいっそう深い感動が得られることだろう。
なお、開催中の週末は非常に混雑するため、ゆっくり見学するなら平日がお薦めだ。
イギリス館では、期間中にコンサートも開催する。
- 12月13日(土)午後2時、ジャズコンサートinイギリス館。2500円(ワインまたは紅茶・茶菓子付き)。要予約。35人。
- 12月24日(水)午後2時、クリスマスコンサート「歌のレストラン」。無料。先着60人。
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美横浜山手西洋館のクリスマス……12月1日〜25日まで、8館で開催
・山手111番館…日本
・イギリス館…イギリス
・山手234番館…フランス共和国
・エリスマン邸…イタリア共和国
・べーリック・ホール…スペイン
・ブラフ18番館…シンガポール共和国
・外交官の家…アメリカ合衆国
・山手68番館…フィンランド共和国
館の外観をイルミネーションで彩る「光のファンタジー」は一足先の11月21日(金)から開催する。またイタリア山庭園では12月20日(土)の日没後にキャンドルガーデンが開催される。
問合せはイギリス館 Tel.045・623・7812 |
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