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「天使のハーモニーは、心のハーモニー」 港南区のハンドベルサークル「エルバ」 |
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優雅な見た目とは裏腹に演奏はハード |
音の響きの美しさや金色に光る楽器の輝きなどから「天使のハーモニー」と称されるイングリッシュ・ハンドベル。横浜市港南区を中心に演奏活動を続けているイングリッシュ・ハンドベルサークル「エルバ」は、11月3日(月・祝)に戸塚区のさくらプラザでコンサートを開催する。「美しい楽器のイメージと違って演奏は体力が必要で大変です。でも、音がそろった時の喜びは一度味わうとやめられません。一番大切なのは演奏者全員の心のハーモニーです」と同サークルの小林わか枝さん(58)、小川亜理さん(57)、下羽聖美さん(52)は話す。
演奏は体力勝負でハード、音がそろえば快感
18年前、同じ幼稚園に通う子どもの保護者が集まって結成された「エルバ」。エルバとはイタリア語で芝生、草の意味で、寝そべりたくなるようなやすらぎの音楽を目指そうと名付けられた。現在は17人で活動している。
通常「ハンドベル」と呼ばれる楽器は、正しくは「イングリッシュ・ハンドベル」という。400年前にイギリスで生まれ、アメリカで発達した。教会の鐘から発展した楽器のため、宗教曲で使われることが多く、クリスマスが近付くと街角でよく耳にする。
エルバでは演奏に5オクターブ61個のベルを使う。おのおのが複数のベルを受け持つ。その上で、まるで1人が演奏しているかのように、音と音が途切れないように聴かせることが、曲の仕上がりを左右する最大のポイントだ。「音はベルを振れば出ますが、タイミングを合わせるのが難しい」と話す小林さん。「だからこそ飽きないです」(3人)。
ベルの大きさは大小さまざま。小さいもの(手前)はバナナほど、一番大きいものはスイカほどの重さと大きさになる |
自主練習が命
ベルの大きさにはかなりの差があり、一番小さなベルはバナナほど、大きなものはスイカほどの大きさと重さ。
「1人が持てるベルは2個〜4個。大きいベルは両手で持ち上げないといけませんが、小さいベルなら8個持って、持ち替えながら演奏します」(小川さん)。「練習は週に1回、4時間。あとは家でひたすら手順を覚えるイメージトレーニングをします」(下羽さん)
持ち曲は多数
演奏活動の繁忙期はやはりクリスマス付近だが、それ以外の季節でも老人ホームや保育園などで演奏を頼まれることも多く、曲のレパートリーは幅広い。
「宗教曲だけでなく、クラシックや映画音楽、ジャズ、ポップスやハンドベルオリジナル曲なども演奏します。意外にも民謡を演奏しても違和感がないので、11月のコンサートでは八木節なども演奏します」(小川さん)
ハンドベルは別の楽器の曲をアレンジして演奏されることが多いが、実はオリジナル曲にも繊細なベルの音の特性を生かした良曲が多く、エルバでも積極的に演奏している。
クラシック、民謡、オリジナルとエルバが手掛けるジャンルは多様だが、曲ごとに気持ちを切り替えて演奏するのも楽しいとか。
左から下羽さん・小川さん・小林さん |
「一つの曲に全員で同じイメージを持ち、その音を作っていく奥深さが一番の醍醐味(だいごみ)。最初は片足だけ突っ込んだつもりが、気付いたら両足ともはまっていました(笑)。音楽にはこれで終わりという限界がなく、いつまでも追求できるから幸せです」(小林さん)
「1人1人の責任が重く、チームワークが何よりも大切な楽器のため、最近では学校のサークル活動などに取り上げられることも多いようです。難しさはありますが、聴いているより弾いている方が楽しい楽器だと思います」(下羽さん)
結成してから今日まで18年の間には、それぞれ子どもの受験などで忙しい時もあったが、3人ともエルバの活動は休まなかったという。「むしろ、エルバがあるから頑張れました」と笑う。 聴く人も弾く人も癒やす力のあるハンドベル。天使のハーモニーをぜひ体感してみよう。 |
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