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ツバメは人間のそばでしか子育てできない。
撮影:佐藤信敏 |
情報集め保護活動
「幸福の鳥」として昔から愛されているツバメ。しかしその数は急減しており、日本野鳥の会の調べによると、40年前に比べて4割の人が減っていると感じている。またヒバリも、都心部から姿を消しつつある。そこで日本野鳥の会では、2012年からツバメの保全活動を、ことしからヒバリの保全活動を開始。無料で小冊子を配布し、巻末のはがきで全国からツバメ、ヒバリの情報を収集している。「ツバメは人の一番近くで子育てをする鳥です。またヒバリの姿や鳴き声もかつてはとても身近なものでした。野鳥と人が共存する風景を日本に残したい。ぜひご協力ください」と同会の篠木秀紀さん(38)と吉倉浩子さん(45)は呼び掛ける。
「最近、ツバメが減っている」。そんな声が日本野鳥の会の会員から聞こえるようになったのがここ10年。そこで日本野鳥の会は、2012年から「消えゆくツバメを守ろうキャンペーン」を開催。小冊子を無料で配布し、巻末のはがきでツバメの情報を集めた。テレビや新聞での宣伝効果もあり、これまでに約1万件の情報が寄せられた。「ありがたい悲鳴でした」と喜ぶ篠木さんと吉倉さん。
ところが喜んでばかりもいられなかった。調査の結果、40年前と比べて4割の人がツバメの数が減っていると実感していることが分かり、しかもその原因についてショッキングな結果が出たのだ。
吉倉さん(左)と篠木さん |
「ツバメの数が減ったのは、里山の減少、農薬などでえさとなる虫が減っていることなどさまざまな理由がありますが、実は人間による巣の撤去も大きな理由の一つだったのです」(篠木さん)。ふんが汚い、という理由で巣を撤去する例は珍しくないという。
「日本では鳥獣保護法のもと、都道府県知事の許可がなければ卵やひながいる巣を落とすことは違法です。でも、法の力をふりかざすのではなく、“ツバメを大切にしよう”という気持ちを伝えていくことでツバメを守ることがわたしたちの希望です」(吉倉さん)
ツバメが人間の生活圏で子育てをするのは、天敵のカラスやヘビから卵やひなを守るため。ツバメは人間の存在に守られながら生きている生物なのだ。
「ツバメは人と自然の共存の象徴であり、バロメーターでもあります。虫も植物も野鳥もいない空間は、人間も暮らしにくいでしょう。お互いにバランスを保って暮らしていくのが理想ですし、そういう気持ちを次世代に伝えていかなくては」(吉倉さん)
夏が終われば、ツバメは南の国へ向かう。そしてまた翌年、3000〜7000キロを飛んで、子育てのためにはるばる日本にやって来るのだ。
「ことしもツバメが来たかな、あの巣は大丈夫かな、と見守るだけでも十分に保護になります。無関心が一番いけないので、ぜひご家族やご友人と一緒にツバメを見守ってください」(篠木さん)
減少が心配されるヒバリ |
ヒバリはツバメ以上の減少
同会はことしからヒバリの情報募集も開始。ツバメ同様、ヒバリに関する情報をまとめた小冊子を無料で配布。巻末のはがきのアンケートでデータを集めている。
「かつて、美しいさえずりを響かせて空高く舞い上がっていくヒバリの姿は、春の風物詩であり、日常的な風景でした。ヒバリの名前を知らない人はいないと思いますが、ツバメ以上に数が減っています。ぜひ多くの方に現状を知っていただき、データの収集にご協力をお願いいたします」と2人。
ツバメ、ヒバリの小冊子の申し込みは、Tel.03・5436・2630、またははがきに希望冊子名、氏名、生年月日(西暦)、性別、〒住所、電話番号、どこで小冊子のことを知ったかを明記し、〒141‐0031 品川区西五反田3の9の23丸和ビル 日本野鳥の会「ツバメ(ヒバリ)小冊子」プレゼント係へ。 |
バードメイトピンバッジ
2013年度版ツバメ・ヒナ |
会員を募集
同会では自然保護活動を支援する「日本野鳥の会」の会員を募集している。「会員になるのにあたって、野鳥に詳しくないと、ということはまったくありません」とのこと。「自然を守る活動を応援したい、というお気持ちだけで十分です。もちろん、ご自身も保護活動や野鳥観察会を楽しみたいという方も歓迎しています。お気軽にご連絡ください」。また寄付も受け付け中。1口1000円の寄付でバードメイトピンバッジをプレゼント。入会など問い合わせは Tel.03・5436・2630
ホームページは「日本野鳥の会」で検索。 |
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