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  横浜・川崎版 平成25年7月号  
茨木のり子の詩を朗読  横浜市の「朗読の会」

発表会では、詩のイメージに合った衣装をまとって朗読する
 詩人・茨木のり子が死去してことしで7年。横浜市で40年近く活動する「朗読の会」は、28日(日)に県立神奈川近代文学館で開催する発表会のテーマに、茨木のり子を選んだ。当日は、主に詩集「歳月」「倚(よ)りかからず」などから選んだ作品や、彼女の遺書も朗読する。「茨木さんには、りんとして頼もしい顔と、没後に出版された『歳月』で見せた亡き夫に寄せる限りなく優しい女性の顔があり、どちらもあますことなく朗読いたします。どうぞ聞きにいらしてください」と、同会の長谷川房子さん(79)は話す。

発足40年…最高年齢93歳、平均年齢75歳
 「朗読の会」は、「夕鶴」などで知られる女優・山本安英の最後の弟子、西本朝子さん(75)と夫の児玉朗さん(73)が主宰。南区の男女共同参画センターで月2回のレッスンを行っており、生徒の最高年齢は93歳、平均年齢は75歳。夫を亡くした人や介護中の会員も多いが、朗読の魅力にはまると皆なかなかやめられないという。


長谷川房子さん
 「朗読する時はふだんのおしゃべりよりも口を大きく開けて大声を出すので、お腹もすくし、ストレス発散にもなります」と笑顔で効能を述べる長谷川さん。レッスンに行く前になんとなく体の不調を感じても、「声を出しているうちにすっきりして」、終了後は足取りが軽くなることもよくあるとか。

 「字を見て瞬時に声に出して読むという動作は前頭葉を刺激するそうなので、認知症の予防にもいいそうですよ」と続ける。
 しかし、朗読の一番の魅力はやはり何と言っても「もうひとつの人生との出合い」だという。黙読ではなく、何十回も声に出して繰り返し読むことで、「本の中の登場人物が自分の中に住みついて、別の人生を歩んでいるような気さえする。だからやめられない」と長谷川さん。長谷川さん自身、朗読の会に入会して33年になる。

 かつて劇団に所属していた西本先生のアドバイスも的確だ。

 「先生はやはり言葉に対する鋭い感覚をお持ちなので、自分にはなかった解釈を教えてくださいます。1回言われただけでは分からなかったことも、何度も読んでいるうちに理解できます」。その年齢なりの楽しみや理解度の深さがあるのが、朗読のだいご味だ。

 28日に県立神奈川近代文学館で開催する発表会では、「歳月—茨木のり子の世界を朗読する—」と題し、茨木作の童話、詩などを朗読する。会員の中でも茨木ファンは多く、長谷川さんもその1人。

 「初めて読んだ時は衝撃を受けました。『わたしが一番きれいだったとき』『自分の感受性くらい』などが好きですが、亡くなった後に出版された『歳月』の詩はまたがらっと変わって、とても女性らしくて優しさにあふれていて、驚きました」 その両面を表現すべく練習に励んでいる。

 「ご来場をお待ちしています」

「歳月—茨木のり子の世界を朗読する—」
 28日(日)午後1時半〜3時半、県立神奈川近代文学館(みなとみらい線元町・中華街駅徒歩10分)で。入場無料。問い合わせは長谷川 TEL.045・479・2173

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