|
歌番組「ザ・ベストテン」で「迷い道」と「かもめが翔んだ日」の2曲がランクインし、同じ日にその両方を歌ったこともあった、と振り返る渡辺さん |
横須賀市出身で、昨年デビュー35周年を迎えたシンガー・ソングライターの渡辺真知子さん。70〜80年代にかけて「迷い道」「かもめが翔んだ日」など多くのヒット曲を生み出し、日本レコード大賞の最優秀新人賞も受賞している。最近は、アルバム「腕の中のスマイル」「Amor Jazz」を続けてリリース。前者は自身のヒット曲やカバー曲などで構成し、後者はラテンジャズ色を強く打ち出した。3月9日(土)には横浜でライブも開催する。「ファンの方に、『いまだに前に進んでいるんですね、振り返らないんですね』と言われます(笑)。いつも“今”と“先”を見ていたい」と笑顔で語る。
♪現在、過去、未来♪
で始まる「迷い道」で、1977年に鮮烈なデビューを果たした渡辺さん。
「『迷い道』が出来上がるまでは苦労しました。サビを移動したり、歌詞をもっと赤裸々に、きれいごとばかりじゃなく、と要求されたり。まるで原石を磨くように、わたしの内面の皮をべりべりはがされ、むかれてできた曲です。出来上がった時は半泣きでした」
そのかいあって曲は大ヒット。その後も次々とヒット曲を生み出し、一躍売れっ子に。
「月曜日から金曜日まで毎日歌番組があって、2、3年先までスケジュールはびっしり。テレビに出て、すぐに家に帰って曲を作ってという毎日でした」
あれから35年、昨年から今年にかけて渡辺さんは2枚のアルバムを連続して発売した。「腕の中のスマイル」と、「Amor Jazz」(共に3000円)だ。
「『Amor Jazz』は、ワールドカップやオリンピックで日本中がうわーっと盛り上がったあの熱い躍動を音楽でも作れないかな、と思って制作したものです。優れたミュージシャンがたくさん協力してくださって、特に『愛の讃歌』のアレンジは非常にすばらしいです」
一方、「腕の中のスマイル」には、オーケストラとセッションした「かもめが翔んだ日」や、同郷の山口百恵の代表曲をカバーした「横須賀ストーリー」などを収録した。
CDは大手レコード店で販売中 |
常に“今”と“先”を見て
渡辺さんのアルバムの収録曲やステージで歌う曲を見ると、ジャパニーズポップスから、ジャズ、ラテンとその音楽性は幅広い。35年の積み重ねで自然とそうなったという。
80年代中盤からバンドブームが始まり、グループに属さない渡辺さんは「いす取りゲームからちょっと外されたような」感があった。歌番組も減り、周囲には音楽から離れていく者もいたが、渡辺さんはそうしなかった。
「少しもがいたりもしましたが、いつか時代が変わることがあるかもしれないから、それまでに次の自分を作っておかないと思いましたね」
そこで渡辺さんは海外に渡り、ジャズやラテンなどのジャンルに挑戦。「30代、40代になってようやく他人の作品に目が行くようになりました」
50代に入り、心機一転、渡辺さんは個人事務所を立ち上げる。「温室を出て」、もっとダイレクトに音楽を作る道を選んだ。
「これからやりたいことのひとつは、昭和の歌謡曲のカバー。昭和の曲は、プロが四苦八苦して作った、1音1句のみんなで歌えるすばらしい歌ばかり。ぜひやりたいですね」
進化し続けている渡辺さんだが、コンサートでは自身のヒット曲も必ず歌う。
「他の歌手の方のステージを見ていても、やっぱりヒットソングはすごいと思いますね。大事に歌わなきゃと思います。でも自分が活性化していないと、鮮度が落ちてきてしまう。歌い手が飽きていたら、聴いている方もつまらないでしょう。常に“今”と“先”を見て曲を作り、歌っていきたいです」 |
コンサート情報
3月9日(土)午後5時半、8時半の2回公演。モーション・ブルー・ヨコハマ(横浜赤レンガ倉庫内・みなとみらい線馬車道駅徒歩6分)で。
ジャズを中心としたステージ。自由席6500円、4人まで利用可能のBOX席あり。予約 TEL.045・226・1919 |
|
| |
|